万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

アメリカは単独武力行使に正義を掲げよ

2017-11-10 10:40:27 | 国際政治
米中首脳会談 北朝鮮問題で温度差が浮き彫りに
 トランプ米大統領のアジア歴訪の山場でもあった米中首脳会談では、注目されていた北朝鮮問題については、両国間の立場の隔たりが浮き彫りになったようです。同大統領が対北武力行使に含みを持たせる一方で、習近平国家主席は、あくまでも経済制裁と“対話”による解決という従来の立場を崩さなかったのです。

 朝鮮半島情勢は、北朝鮮が対米核攻撃可能なICBMを実戦配備するまで残された時間は1年余りとされ、トランプ大統領自身も、時間が経てば経つほどリスクが増大し、もはや時間的な猶予がないことを認めております。最悪の状況とは、中国側の主張を尊重したばかりに“時間切れ”となり、中国の云う“対話”は、北朝鮮の核・ICBM保有を前提とした交渉に変じてしまうことです。仮にこうした事態に至っても、中国は、“騙された方が悪い”と開き直ることでしょう。

 もっとも、仮に、今般の首脳会談後、中国が対北経済制裁を徹底し、その結果、即、北朝鮮が核・ICBMの開発放棄を前提とした交渉に応じる可能性もありますが、ロシア側の出方次第では、この手法は通用しません。北朝鮮は、同国の核保有を容認するロシアを唯一の庇護国と見なし、非核化はむしろ遠のくことでしょう。また、中国の制裁強化の効果として短期間で北朝鮮が態度を変更したとすれば、国際社会において黒幕が中国であるとする印象は強まります(かくも容易に北朝鮮に核放棄をさせる力が中国にあるならば、何故、先にそれをしなかったのか?中国は、結局、アメリカ、並びに、国際社会を欺いたのではないか?)。

 何れにしても、アメリカは、重大な決断を迫られることとなりますが、中国の容認なき武力行使を決意した場合、最大の問題点となるのは、第三次世界大戦に発展しかねない中国の軍事介入です。仮に、米軍単独による軍事制裁に伴うこのリスクを最低限に押さえるためには、アメリカは、中国の介入を極力抑えるべく、国際社会の支持を得るに越したことはありません。その一つの手段が、武力行使に先立ってアメリカの自国の正義と国際法上の合法性を明確にし、併せて、多くの諸国や人々が同意し得る戦後構想を公表することです。因みに、第二次世界大戦にあっては、大西洋憲章や大東亜共同宣言が公表されており、戦争の大義が掲げられると共に、陣営や国民を纏める求心力ともなりました(大東亜共同宣言にも、アジアにおける反植民地主義において人類史的な大義があったが、今日の北朝鮮に正義は皆無…)。

 この構想が万人が納得し得るものである限り、中国に対する心理的圧力として作用し、北朝鮮擁護のための軍事介入を躊躇わざるを得ない状況に置かれることでしょう。もっとも、各国のマスメディアには、チャイナ・マネー、並びに、リベラルの影響が浸透しており、米軍による単独武力行使には批判的でしょうが、第三次世界大戦を招きかねない中国の軍事介入には、“平和主義”の建前から反対せざるを得ないはずです。

 国際社会の安全が確かとなり、国際法秩序が維持され、かつ、狂気に囚われた独裁者が支配するカルト国家による軍事的脅威から解放されるならば、多くの諸国、並びに、人々は、アメリカの単独軍事行動に正義を認めることでしょう。正義の問題提起は、近年、マスメディアが創り出した風潮によって疎んじられる傾向にありましたが、正義の如何は、想像以上に重大な影響を及ぼします。アメリカは、暴力に対抗するための正義の力の必要性を説くことで、北朝鮮問題の解決に臨むべきではないかと思うのです。

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