万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

北方領土へのロシアのミサイル配備ー日ロ経済協力はストップでは?

2016年11月23日 14時04分26秒 | 国際政治
北方領土に最新鋭ミサイル=軍事化が一層鮮明―ロシア報道
 プーチン大統領の訪日を前にして、北方領土をめぐる動きも慌ただしくなってきました。こうした矢先、インタファクス通信の情報として、ロシアが択捉島と国後島の両頭に最新鋭ミサイルを配備したとする報道がありました。

 日本国内のマスコミの説明では、ロシアの狙いは北方領土の実効支配の強化にあるというものです。しかしながら、この見解、ロシア側のミサイルの使用目的を考慮しますと、あまりに表層的なように思えます。配備されたのは対艦ミサイルとされていますが、海上自衛隊を想定しての措置であることは一目瞭然です。実際に、APEC首脳会議が開催されたペルーのリマにおいて、プーチン大統領は北方領土全島のロシア帰属について明言し、経済協力を表明してきた日本国側の期待を裏切っております。北方領土については、ロシアの態度はむしろ硬化しているのです。しかも、北方領土がミサイル基地化するとしますと、近い将来、日本列島全域を射程距離に含める中距離核ミサイル、あるいは、大陸間弾道ミサイルが配備される可能性さえあります(それとも、ロシアは、今や、新自由主義の残された砦と化している日本国政府に対して圧力をかけているのでしょうか…)。ロシアによる実効支配の強化とは、アジア、否、全世界の軍事的パワー・バランスさえ崩しかねないのです。

 ロシアによる急速な北方領土の軍事基地化に対して、日本国政府の動きはあまりに鈍く、殆ど無反応です。アメリカのトランプ次期大統領が親ロ的であることから、対ロ関係については楽観視しているのかもしれませんが、最新鋭ミサイルの配備については、予定されている日ロ経済協力のプランの凍結や停止をも検討し、ロシアに対して抗議の意思を示すべきなのではないでしょうか。

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