万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

石破元幹事長の“トランプ大統領冷遇の薦め”に対する疑問

2017-11-06 15:24:00 | アメリカ
「反トランプ」に留意を=自民・石破氏
報じられるところによりますと、石破元自民党幹事長は、来日中のトランプ米大統領に対する安倍首相の破格の厚遇について、米国内におけるトランプ政権の低支持率を取り上げ、“留意すべき”とする見解を示したそうです。“必ずしも国民の全幅の信任を得ていない”として…。

 同氏の発言の行間を補いながらより、詳しく書き直してみますと、「ロシア疑惑なども影響しているためか、昨今の世論調査によるとトランプ政権の支持率は低く、トランプ大統領は、アメリカ国民多数の支持を得ているわけではない。日本国政府は、トランプ政権よりもアメリカの世論に応える外交政策を遂行すべきであり、訪日中のトランプ大統領に対しても、特別な待遇でもてなす必要はないのではないか」ということになります。言い換えますと、“トランプ大統領冷遇の薦め”となります。

 しかしながら、氏の見解には、疑問があります。そもそも、アメリカのマスメディアによる世論調査は、大統領選挙に際して露呈したように信頼性や正確性に欠けております。また、全ての政策に対する国民の評価を支持・不支持の選択だけでは調査できないという、世論調査の手法上の限界もあります。こうした点を踏まえましても、支持率の高低のみを根拠とした主張には警戒すべきなのですが、外国からの賓客に対して当該国内の支持率のみを以って待遇を変えてもよいのか、という儀礼、あるいは、道徳的な問題も提起されましょう。仮に、待遇支持率決定論に従えば、全体主義国家では指導者に対する不支持はあり得ず、支持率は公式には凡そ100%となるので、各国とも、独裁者に対して最大級の待遇を以って饗応せねばならなくなります。

  一方、日本国内の一般国民を見ますと、核・ミサイル開発問題を解決するために対北朝鮮政策に対する武力行使は致し方なしとする意見は決して少数派ではなく、就任以来、隘路に嵌っていた北朝鮮問題解決のために、大胆に政策を転換させたトランプ政権に対する期待感がないわけではありません。先の衆議院選挙における自民党の勝因の一つも、同党が掲げた対北強硬政策にありました。見方を変えれば、日本国政府は国内世論には応えたのですから、批判には当たらないこととなります。否、アメリカの一般国民に対して、日本国側が日米同盟を安全保障の要として重要視し、現政権の対北政策等を支持していることを示すためにも、米大統領に対する手厚いもてなしがアメリカ国内で報じられることは無益ではないはずです。

 以上より、石破元幹事長の支持率に比例した“冷遇の薦め”には首肯しかねるのですが、同氏の本音は別のところにあるのかもしれません。何故ならば、この発言に続けて、対中、並びに、対韓関係の強化を提言しているからです。発言の全体を読みますと、氏は、トランプ政権が進めてきた対北戦略的忍耐政策の放棄や対北武力行使等に反対しているのであり、“冷遇の薦め”の真の理由は支持率低迷ではなく、トランプ共和党政権の政策方針そのものにあるのではないかと推測されるのです。

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