万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

米国務長官の訪ロー対北強行措置の根回しか?

2017年04月06日 15時28分21秒 | その他
米国務長官、ロシア訪問へ 北朝鮮問題など協議
 報道によりますと、アメリカのティラーソン国務長官は、今月12日からロシアを訪問するそうです。両国間の議題として、シリア内戦、ウクライナ情勢、テロ対策、北朝鮮問題などが予定されているそうですが、緊急性からしますと、北朝鮮問題が主要テーマとして協議される可能性があります。

 トランプ政権の誕生により、アメリカの対北政策は180度転換し、従来の”戦略的忍耐”の方針は放棄されています。そこで、アメリカの一連の外交日程に注目しますと、この転換に際して、単独主義を唱えてきたトランプ政権も、新方針への円滑なる移行を実現するために、六か国協議のメンバー国に対して根回しを試みているようにも見えます。日本国に対しては、安倍首相の訪米時に際して既に了解を取り付けたと推測されますし、中国に対しては、習主席の訪米時において二者択一を迫る形で、米中どちらかによる対北強硬措置が選択されることでしょう。韓国については、軍事指揮権が米軍にあり、かつ、大統領選を控えた政権移行期間にあるため、アメリカの方針に従うものと見なされているかもしれません(この点、親北の候補者が大統領に就任する可能性がある新政権発足後の方が、合意を得るのが難しくなる…)。そして、六か国協議の残る一つのメンバー国がロシアであり、ロシアの合意さえ取り付ければ、アメリカの政策転換は、全ての関連諸国の合意の上で達成されることとなります。

 イラク戦争時には、大量破壊兵器に関する証拠が不十分であったため、米国主導の軍事行動に対して国際世論も割れましたが、今般の北朝鮮のケースでは、自ら核保有を宣言しているため、軍事行動を含む強硬措置の実施は、国際社会のコンセンサスと言っても過言ではありません。日本国内でも、対北軍事制裁に対しては、日頃から戦争反対を訴える絶対的平和主義者が少なくない左翼勢力からも反対の声は殆どないのです。北朝鮮包囲網が狭まっている現状に鑑みますと、ティラーソン国務長官の訪ロは、空爆を含む対北強硬措置の実行日が近づいていることを示唆しているように思えるのです。

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14 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
いつか来た道-朝鮮半島有事 (gateway)
2017-04-06 23:42:42
極東に配備されているロシア空軍が厳戒態勢に入ったと、プラウダが伝えたそうです。
Russia sets Far Eastern aerospace forces on high alert.
日本にとって、現下の最重要かつ最優先課題は朝鮮半島有事です。
安倍首相のみが、このことを正確に理解していると思います。
Unknown (Unknown)
2017-04-07 04:00:44
戦争が好きですね。ところでベトナム戦争はやる必要がありましたか?その後の経過では、ベトナムは開放経済でかつ対米関係も悪くないでしょう?
私なら、アメリカは韓国から退却すればよいと思いますね。韓国は河豚みたいな国ですから、きっとあたって金王朝は滅び、ベトナムみたいな国になると思いますね。
何しろ国防のイントラネットがインターネットと繋がれていて、ハッキングで秘密情報が漏れるような国ですからね韓国は。日本から買った旅客船を魔改造してひっくり返したり、ああ、ウルグアイ沖でも似たような事故があったみたい。とても共同で戦える国ではありません。共同で戦えば米軍兵士、大量に死にますよ。韓国兵はどこかに逃亡します。
Unknown (竹槍)
2017-04-07 06:35:44
極東ロシアの空軍が警戒態勢に入っているそうです。

中国は北朝鮮の日本海沿岸に5つの港を確保しています。また、新潟の土地を入手しており、日本侵略の意図は明白です。なんとかして、中国にそれを放棄させたい。

どさくさにまぎれて、ロシアが北朝鮮の日本海沿岸を占領してくれたいいのですが…。ロシアとしても、羅津港が中国に押さえられている現状は極東地域の安全保障にとって、よろしくないですし。
gatewayさま (kuranishi masako)
2017-04-07 07:59:45
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。
 日本国の政治状況を見ておりますと、何とも心もとありません。おそらく、日本国政府は、アメリカから情報を得ており、対策を後押しされているのでしょうが、マスコミや野党は、様々な問題を騒ぎ立てては混乱を引き起こし、対策の妨害しているとしか言いようがないのです。否、この工作活動の活発化こそ、有事が近い前兆なのかもしれません。
Unknownさま (kuranishi masako)
2017-04-07 08:02:50
 戦争が好きな人はいません。しかしながら、犯罪国家が出現した場合には、国際社会が対処しなければ、法を誠実に順守する善良なる国家が甚大なる被害を受けることになります。独裁国家から一方的に攻撃され、国土と国民が蹂躙され、過酷な支配の下で民族浄化をされかねないのですから。逆に、Unknownさんには、”犯罪が好きなのですね”と尋ねたいくらいです。
竹槍さま (kuranishi masako)
2017-04-07 08:07:38
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。
 北朝鮮問題は、米中間で解決を図るものとの憶測が有力でしたが、ロシアも介入する可能性も否定できなくなりました。ロシアが、中国の抑え役(バランサー)として一定の役割を果たすのであれば、この展開は、均衡的安定という観点からは、有効であるかもしれません。
Unknown (Unknown)
2017-04-07 09:43:09
その犯罪国家と言うのを抑止するには、基地外国家を抱え込ませるのが一番でしょう。原爆よりすごい核爆発となるでしょう。大日本帝国も抱えたから滅んでしまいましたから。毒を制するに毒をもってする。無駄な犠牲は省くということです。
Unknownさま (kuranishi masako)
2017-04-07 19:15:03
 ”基地外国家”とは韓国のことなのでしょうが、北朝鮮による核・ミサイル開発は、南北統一以前の問題ですので、南北分断の現状において対処する必要があります。
シリア空爆 (竹槍)
2017-04-08 01:10:16
びっくりしました!私はてっきりロシアを味方につけるものだとばかり思っていましたから。これでロシアの協力は得られなくなりましたね。北方領土問題に進展が無く、経済協力まで約束させられて、しかし対中・対北のためには、ロシアと対立するわけにはいかず妥協はやむを得ないとの見解が保守派で主流派でしたが、今回の件でおじゃんになりましたね。日本の妥協は一体なんだったのか。

トランプ大統領はシリア政府軍が化学兵器を使ったことを空爆の理由にあげていましたが、私はそれは建前だと思いました。本当は、不安定なトランプ政権が中国陣営の北朝鮮とリスクを伴う戦争をするにあたって、軍部&共和党から米国に忠誠を示すことを迫られたからではないでしょうか?自分はロシアの犬じゃありませんと。
竹槍さま (kuranishi masako)
2017-04-08 09:20:29
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。
 情報が不足しておりますので、正確には、判断しかねるのですが、トランプ政権発足後、米ロ関係は、微妙になっているように感じております(ロシア側に原因がある可能性もある…)。もっとも、今般のシリア空爆に関しては、米ロ間の関係が決定的に敵対へと向かう転換点となるのか、と申しますと、もうしばらく様子を見る必要がありそうです。何故ならば、ロシアもまた、対中関係に苦慮しており、米中関係を睨みながら方針を決めなければならない状況にあるからです。もちろん、国内的な要因に基づいており、軍部や共和党による”踏絵”である可能性はあるとは思います(ただし、二面戦争を避けたければ、通常は、対ロ決裂に至るリスクを伴う要求はしないはずでは…)。あるいは、北朝鮮問題に対するロシアの介入を防ぐために、先手を打ったとするシナリオも考えられます。

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