万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

北朝鮮のAIIB参加は許されるのか?ー中国の裏切り

2017-05-12 09:39:42 | 国際政治
なんと、北朝鮮が「一帯一路」サミットに ?!--文在寅効果か?
 韓国における文大統領の誕生を手ぐすねを引いて待っていたのは、やはり、中国であったようです。早々にTHAAD配備問題で文政権に圧力をかけると共に、経済面でも、5月14日から北京で開催される「一帯一路」サミットを前にして、北朝鮮を同構想に引き込むべく根回しを活発化させているそうです。今月初め頃から中国は、北朝鮮に対して同会議へ参加を呼びかけ、北朝鮮もこれに応えたというのですから。

 一方、現状を見ますと、北朝鮮の核・ミサイル開発問題は解決しておらず、朝鮮半島ではアメリカと北朝鮮との睨みあいが続いています。年内にも長距離弾道ミサイルの発射実験が実施されるとの憶測も流れており、”緊張緩和”とはほど遠い状態にあります。ところが、中国は文政権の誕生を対北政策の転換点と捉えて、堰を切るかのように北朝鮮の取り込みに邁進しています。あたかも、国際的な承認を得たかのように…。

 しかしながら、文政権の誕生は、あくまでも韓国の国内選挙の結果であり、日米をはじめ、国際社会全体が北朝鮮に対して宥和策に転じたわけではありません。実際に、北朝鮮に対する制裁強化を定めた安保理決議は今なお有効であり、仮に、中国が、「一帯一路」構想、並びに、AIIBに北朝鮮を参加させるとしますと、その行為は、当然に安保理決議違反となります。公然と対北経済支援の道を開くようなものなのですから。これまで国際社会が努力を積み重ねて構築してきた対北朝鮮経済封鎖網は、中国の”裏切り”によって水泡に帰してしまうのです。

 そして、中国による対北制裁緩和は、アメリカの対北政策の基本方針にも逆行します。トランプ政権は、中国に対して”重要な役割”を求め、対北制裁の強化を要求してきたからです。中国が、北朝鮮から核放棄の確約を得ている可能性も否定はできませんが、IAEAや米国などを中心に構成される何らかの国際組織による無条件の全国査察や監視下における核関連施設の確実なる破壊など、検証可能な形での核放棄でなければ意味がないことは、過去の歴史が証明しています。中北間の合意は、両国とも合意順守のモラルに欠くため、何時でも破り捨てることができる”紙切れ”に等しいのです。否、両国は、結託して時間稼ぎを行い、国際社会を欺こうとしている可能性すらあるのです。国際社会が気づいた時には、北朝鮮は、核や弾道弾ミサイルの開発に成功しているということになってしまうのです。

 中国は、対北宥和路線への転換によって、国際社会の努力を水泡に帰し、そして、アメリカの期待をも裏切ることとなるのですが、その先には、西はユーラシア大陸、東は太平洋地域へと広がる広大な”中華帝国”を見ているのでしょう。”一帯一路”というネーミングにこそ、現代にあって、世界の中心は中国であり、世界にただ一つの大帝国を建設せんとする同国の野望が込められています。しかし、今般の中国による北朝鮮の取り込みは、各国の政財界、並びに、国際社会の水面下で蠢いていた様々な勢力の動きをも表面化させる切っ掛けとなるのではないかと思うのです。

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