万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

中ロの代理戦化するアメリカ大統領選挙

2016-11-02 15:28:22 | アメリカ
米大統領選、支持率接戦で最終盤に
 FBIが民主党のクリントン候補の私用メール問題の再調査を開始したことから、ここにきて、アメリカの大統領選挙の行方は混沌としてきております。一部世論調査によりますと、共和党のトランプ候補が1ポイントのリードで逆転したとの結果も出ているそうです。

 世論調査の結果にはばらつきがあるものの、トランプ候補の急追は事実らしく、数日前までは圧勝が予測されていたクリントン陣営にも焦りが見られます。巻き返しに躍起になっており、クリントン陣営が、FBI長官に対してトランプ候補とロシアとの関係についての情報を開示するよう圧力をかけているとも報じられています。クリントン候補への支持率の低下は、直接には脱税容疑で有罪判決を受けた投資家からの多額献金による恩赦疑惑が影響しているのでしょうが、敢えてトランプ候補とロシアとの関係を取り上げたクリントン候補の心理には、自らの最大の弱点である中国マネー疑惑から有権者の関心を逸らしたいとする思惑があったのかもしれません。

 一連のアメリカ大統領選挙を観察しておりますと、今回の選挙には、以前には見られなかった特徴があります。それは、双方の激しい暴露合戦の結果として、民主党クリントン陣営に対しては献金を介した中国との関係が疑われる一方で、共和党トランプ陣営もまた、そのバックにロシアの存在が疑われている点です(トランプ候補自身が自ら親ロ的姿勢を見せていた…)。つまり、アメリカ大統領選挙を舞台に、中国とロシアが”代理戦争”を演じるような構図となっているのです。冷戦期にはあり得ない構図であり、少なくとも前回の大統領選までは誰もが想像だにできなかったはずです。この構図は、背後関係が疑われている中ロ両国の関係が比較的良好である点を考慮しますと、極めて奇妙です。一体、この現象は、何を意味するのでしょうか。

 今般の選挙に際しての暴露は相手候補にマイナスイメージを植え付けるための単なる誹謗中傷ではなく、FBIによる情報開示であるだけに事態は深刻です。選挙用プロパガンダとしての”噂”としては片づけられないからです。アメリカ大統領選挙は、アメリカが世界屈指の超大国であるからこそ、国際的な勢力争い、あるいは、政治的野望が渦巻くアリーナともなっている現実をも、まざまざと見せつけているようにも思えるのです。

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トランプとクリントンの攻防 (goen)
2016-11-03 10:42:14
 実に面白い、後期高齢者の死闘。人材不足に陥ったアメリカ、私達から観ると実に面白い。もしかしたらアメリカは大統領は誰でも務まるのかも知れません、不要なら抹殺する権利を誰でも持っている。それが市民が銃を放さない理由では..日本ならば江戸時代以前のの市民意識と治安の国なのでは。歴史と文化が熟成されていない、金と権力と武器..それがアメリカです。文化の熟成には300年近い期間を要する、アメリカは未だ未開で混沌とした社会である。科学と金と武器を手に武力を掲げた国家である事を忘れてはいけません。
 市民の銃携帯を義務づける事を真剣に考える市民が多いのは日本で言えば、下克上の時代で安土.桃山時代のレベルです。アメリカは後100年は必要な市民意識熟成の期間が必要でしょう。

 そんな訳で..今回の大統領選挙はトランプとなる可能性が高いです。インデアン国を略奪し国土を奪った一般的市民意識を代弁するガンマン大統領。彼の左右の腰には早撃ちの拳銃が一番似合うし市民の喝采が聞こえる気がします。
goenさま (kuranishi masako)
2016-11-03 13:09:44
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。
 合衆国建国の精神からしますと、アメリカは、自由や民主主義といった、当時にしては先端的な価値観を、具体的な政治制度として実現した点において、時代に先んじた国家であったのではないかと思います。また、アメリカの市民社会の自治意識の高さについては、トクヴィルなども評価しております。となりますと、現在、大統領選で起きている現象は、トランプ候補であれ、クリントン候補であれ、建国の精神からしますと、退行現象であるのかもしれません(もっとも、開拓時代を考慮しますと、市民レベルでは、等身大であるのかもしれないのですが…)。何れにいたしましても、アメリカが、民主主義、自由、法の支配、基本権の尊重…といった諸価値に背を向けるとしますと、国際社会もまた不安定化し、混乱を来すことでしょう。中国やロシアといった諸国が、軍事力を背景に領土的野心を今以上に露わにするかもしれません。日本国もまた、傍観者を決め込んではいられなくなると思うのです。
Unknown (北極熊)
2016-11-04 10:14:19
秀吉の刀狩は、確かにすごい事だったと評価すべきですね。 戦国時代に日本列島にあった兵器(鉄砲・刀剣)は、同時代のヨーロッパのどの国よりも多かったのだそうですから。 
大統領選の裏側に、中国vsロシアというのは確かに面白い視点ですね。そうであれば、個人的にはトランプを推してしまいそうです。(笑) トランプ氏への支持が根強いのは、良くも悪くも米国民の本音を代弁しているのだという気がします。 
北極熊さま (kuranishi masako)
2016-11-04 20:24:48
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。
 大統領選挙の背後に、中国やロシア、はたまた、何らかの国際経済団体が蠢いているとしますと、4日後の選挙は、全世界的な影響を及ぼすのではないかと思います。もっとも、日本国としては、どちらが大統領に選ばれたとしても、決して平坦ではない道が待っていることでしょう。日本国政府は、あらゆる事態に適切に対応できるよう、今から準備すべきではないかと考えております。

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