万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

タイ王国96歳の摂政代行ー長老という安定要素

2016-10-15 14:02:43 | 国際政治
枢密院議長、摂政代行に=新国王即位まで―タイ
 タイ王国では、国民の尊敬と厚い信頼を集めてこられたプミポン国王が88歳で逝去され、国内は深い悲しみに包まれているようです。こうした中、ワチラロンコン皇太子の即位が先延ばしとなり、新国王即位までの間、96歳という高齢を押してプレム枢密院議長が摂政を代行すると発表されました。

 報道によりますと、即位の延期は皇太子からの発案とされており、枢密院議長の摂政代行就任は、憲法上の規定に沿ったもののようです。しかしながら、ワチラロンコン皇太子については、その品行からして国民からの評判が芳しくない上に、軍部に支えられているとの指摘もあり、プミポン国王ほどの、国民を纏める力量は持ち合わせていないとされています。このため、ネパールの事例などもあることから、中国からの内政干渉も予測され、プミポン国王亡き後のタイの不安定化が懸念されていました。皇太子の即位延期も、おそらく、軍部をはじめとした何らかの政治的な思惑が働いているのでしょうが、タイの安定性を考慮しますと、長老の摂政代行は、少なくとも当面の間は、タイの急激な政情安定化を押さえる一定の効果があるのかもしれません。海外生活も長く、国民との距離のある皇太子が即位するよりも、伝統的タイ社会や文化との親和性、並びに、継続性という面において、国民と苦楽を共にしてきた長老の方が国民に安心感を与えるからです。人格においても高潔であれば、なおさらのことです。

 日本国でも、天皇の生前退位に向けての動きが始まっておりますが、民主主義が政治の基本的価値とされる今日にあっては、天皇や国王の役割は、統治ではなく統合に大きくシフトしてきています。高度な政治的判断力や活動能力を要しませんので、安定性の観点から、高齢であることをむしろ評価する考え方があっても良いように思えるのです。

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