万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

北朝鮮の”ICBM実験成功”情報の真偽?

2017-05-14 15:34:57 | 国際政治
北朝鮮、弾道ミサイル発射=新型30分飛行、日本海へ―米、制裁強化呼び掛け
 本日、北朝鮮は、国際社会からの自制の要求を無視し、日本海に向けて弾道ミサイルの発射実験を実施するに及びました。アメリカ政府は、大陸間弾道ミサイル(ICBM)ではない、との見解を示していますが、今般の実験は、北朝鮮による”ICBMの開発が完了した”とするメッセージである可能性は極めて高いように思われます。

 稲田防衛相の説明によりますと、発射されたミサイルは、高度2000キロメートルまで達し、凡そ800キロメートルの距離を30分間飛行して落下したとされています。高度、飛行距離、並びに、飛行時間から成る僅かな情報に過ぎませんが、仮に、この公表されたデータが事実であるとしますと、北朝鮮は、既に、アメリカ領域をミサイルの射程に入れていることを意味します。何故ならば、高度で表わされた縦方向の推進力を横方向の飛行距離に転換できれば、当ミサイルは、凡そ、アメリカ領域まで届くことになるからです。発射方向がロシア方面であるのは北極上空経由で最短5000キロメートルのアラスカを狙った可能性もあり、自衛隊元幹部の指摘によると、今般の実験では、射程距離は4000キロメートルを軽く越えるそうです。

 北朝鮮によるICBMの保有は、日本国にとりましてはアメリカの核の傘の弱体化、あるいは、消滅を意味するとの指摘は以前からあり、この意味において、日本国の安全保障上のリスクが格段に上昇します。アメリカもまた、北朝鮮に対する武力制裁に際しては、自国が核攻撃を受けるリスクを負うため、より慎重な判断を要することでしょう。”戦略的忍耐”や中国の役割への期待感から武力行使を躊躇っているうちに、北朝鮮に対して時間とチャンスを与えてしまったのであり、長年の対北宥和策は完全に裏目に出たのです。

 もっとも、今般の実験によって、アメリカが対北武力行使を躊躇うとしますと、このデータ情報は、事実であるのかを疑う必要があります。本事件を報じるニュース記事には、”韓国軍と日本政府によると…”とあり、発表されたミサイルに関するデータが正確であるのか否かは不明です。アメリカ政府が、ICBMではないと述べている背景には、米軍によってデータが確認されていない可能性もないわけではないのです(あるいは既にTHAADによって正確なデータを掴んでいる?)。

 仮に、データの正確性が疑わしいとすれば、韓国軍と日本国政府が、何故、”ICBMの実験成功”と判断せざるを得ないデータを公表したのか、その真相を探る必要も生じます。推測としては、(1)何らかのルート、あるいは、通信傍受によって北朝鮮得た情報を鵜呑みにしたまま韓国軍が発表した(北朝鮮の情報操作に騙された…)、(2)親北派の文大統領が北朝鮮に対する米軍の武力行使を阻止するために、韓国軍に偽の情報を公表させた、(3)THAADの配備・運用について韓国世論、並びに、文大統領を納得させるために、韓国軍が独断でデータを捏造した…などがあります。また、日本国政府についても、どこまで情報を正確に掴んだ上で発表したのか、疑わしい点がないわけではありません。

 本件については、まずは、北朝鮮のミサイル能力がICBMの保有と言えるレベルにまで達しているのかを見極める必要があります。そして、トランプ大統領は、北朝鮮のICBMの保有は許さないと明言しているのですから、北朝鮮は、さらに”危険な賭け”に出ているようにも見えるのです。真偽は不明なものの、アメリカが同情報を信じて譲歩しなければ、破滅への道が待っているという…。

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4 コメント

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う~ん、難しい (Unknown)
2017-05-16 05:09:48
ちょっと変なことを言いますけど、あれは補償金の釣り上げのためではないでしょうか。日本人にもいますが、隣家との境界に、例えば臭い木でも植えて、隣人が抗議したら「除けてやるから金を払え」と言う類。かの半島の人には結構いそうな気がするのですが。
「 ミサイル開発をやめろ、核開発もやめろ、じゃ、やめてやるからカネ払え」
トランプさんの方もタワーの一室で博打をやって付け馬にマフィアを利用したでしょうから、やくざの気分がわかるのではないでしょうか。「お、あの刈り上げ、巨額のカネを払えと言ってくるな、さて、その付けをどこにまわしたろうか、日韓は当然、中国にもロシアにも現物で払わせたるか」とか思案しているのではないでしょうか。
Unknownさま (kuranishi masako)
2017-05-16 07:43:48
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。
 ネット情報によりますと、北朝鮮は、日米中ロ韓に対して10年間で60兆円余りの資金を提供するように求めているとされています。真偽のほどは分かりませんが、こうした暴力団まがいの行為が許されるとしますと、国際秩序は崩壊することでしょう。おそらく、こうした恐喝には、応じないことでしょうし、否、断じて応じてはならないと思うのです。
STAR-WARS (北極熊)
2017-05-16 15:07:16
高度が2000kmでは、イージス艦のSM3の現行版はもとより、今後グレードアップされていくであろう新型のSM3ミサイルでも迎撃困難なようです。そうした高度からですと、PAC3での迎撃も、速度が速すぎてこれまた困難になり、かつてレーガン大統領が構想したSTAR-WARS計画のような人工衛星からのレーザーによる迎撃か、敵基地への先制攻撃しか、防衛上の選択肢がなくなってきているように見えますね。
北極熊さま (kuranishi masako)
2017-05-16 20:48:05
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。
 果たして、アメリカは、この事態に対してどのように対処するのでしょうか。報道によりますと、アメリカ領まで到達するには至っていないとする観測もあるようですが、アメリカに残された時間は僅かということにもなります。正確な情報がない現状では、判断は難しくなりますものの、北朝鮮問題の放置はもはや許されず、緊急の対応を要すると思うのです。

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