万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

中国企業の日本上陸ラッシュの行方-懸念される二重構造化と中国支配

2017-08-23 14:15:14 | 国際経済
 一昔前の“グローバル化”のイメージとは、全世界が一つの市場に統合され、“無国籍化”した巨大グローバル企業群が自由自在にビジネスを展開する開かれた市場、というものでした。この状態も果たして“理想”と言えるかどうかは疑問なところですが、現実は、このイメージとは違った問題を突き付けております。

 昨今の報道によりますと、最近、中国系企業の日本進出が目立ってきており、8月21日付の日経新聞には、“「紅い経済圏」日本へ”と題して中国企業が続々と日本市場でビジネスを開始する様を伝え、“上陸ラッシュ”と表現しています。スマホ決済の「アリババ集団」、民泊サイトの「途家」、自動車シェアの「摩拜単車」、旅行サイトの「携程旅行網」、通信機器の「華為技術」など、特にアメリカ発のプラットフォーム型の新ビジネスの分野を中心に日本市場への進出が相次いでいるのです。プラットフォーム型の新ビジネスは、“早い者勝ち”の面もあり(最初にネットワークを構築した企業が有利となる…)、商機を掴む中国企業の素早さには驚かされますが、日本国における“グローバル化”の行く末は、日本経済圏に中華経済圏がかぶさってくる二重構造化であるかもしれず、このリスクは、在日中国人や中国人観光客の増加を考慮しますと、上記の“グローバル化”よりも特定の外国による自国の経済支配という面において深刻です。

 グローバル市場の理想像では、特定の国が同市場において支配的な地位を占める状態を想定していません。企業は“無国籍化”されており、国境措置や規制も完全に撤廃されているため、政府の姿も殆ど見えません。ところが、今日、グローバル化の旗手を自認する中国は、この理想とは全く反対に、企業を政府のコントロールの下に置き(定款の変更による企業内共産党組織の設置…)、国境の壁や規制を高めています。グローバリズムを利用して他国の市場は開放させて、自国の企業を海外に進出させる一方で、自国市場については閉鎖性を高めるという手法は、まさに善性悪用戦略の経済版とも言えます(行き過ぎたグローバリズムは善性とは言えないまでも…)。

 このまま、中国企業による日本進出の増加が続けば、今や在日外国人数において最大となった在日中国人、訪日中国人観光客、並びに、帰化した中国系日本人は、中国企業の固定的な顧客となりましょう。日本国内にありながら、中国系の人々は、いわば中国経済圏の中で生きることになるのです。ここに、日本経済と中国経済との二重構造が出現するのですが、さらにその先には、日本経済が中国経済に飲み込まれる可能性も否定はできません。中国系の人々は縁故、即ち、ネポティズムが強いことでも知られていますが、日本企業に就職したこれらの人々は、中国系企業との取引を社内にあって後押しすると共に、華人ネットワークを駆使して中国経済圏の拡大に努めることでしょう。特に、人事権を握られますと、一般の日本人が排斥され、日本国籍の企業とはいえ、社風や経営方針が中国式に一変するかもしれません。東南アジア諸国でも、華人による経済の支配という同様の問題に苦しんでいることに示されますように、共産主義国家のイメージとは違い、本来、中国の人々は商才に長けております。拝金主義的な精神文化はお札を燃やす道教の葬礼の慣習にも見られる通りであり、日本国もまた、中華経済圏に飲み込まれる可能性があると言えるでしょう。

 今日、日本国は、グローバリズムの理想と現実の乖離に直面しております。日本経済が中華経済圏に飲み込まれる未来を、日本国民が望んでいるとは思えないのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。


にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村
『政治』 ジャンルのランキング
コメント (2)   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 憲法第9条に書くべきは無法... | トップ | イスラムテロの源流-古代の“... »
最近の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
支那に浸食される日本 (あずみ渚)
2017-08-24 08:54:59
おはようございます ここ近年、北海道の原野、離島などが支那の企業に買収されています 外国が我が国の領土を買いあさっているのに政府は何ら規制もしていません 毎日武装漁船が尖閣に侵入しているのに
それも黙認

国防動員法のある国の人間を高度人材、また観光客誘致としてどんどん受け入れています これでは政府は積極的に支那の属国化に邁進しているのではないか?と邪推してしまいます
グロ-バル化の波は今後も避けられず日本を含め世界がこれに翻弄されでしょう

国内に様々な矛盾を抱えながらグロ-バリズムを狡猾に利用する支那
遠からず世界の覇者になってしまうのでしょうか?
あずみ渚さま (kuranishi masako)
2017-08-24 09:21:21
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。

 米中経済摩擦は、「100日計画」が十分に達際されず、かつ、北朝鮮問題も絡み、激しさを増しております。日本企業も、本日の新聞記事にりますと、製造拠点の日本回帰が進んでおり、経済の対中依存度も低下しております。国際社会における対中警戒論の高まりを考慮しますと、中国の”一人勝ち”は阻止されるのではないでしょうか。独裁体制や国民弾圧を是とする中国共産党による世界支配は、人類にとりまして、悪夢でしかないと思うのです。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

国際経済」カテゴリの最新記事

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
ブログ作成者から承認されるまでトラックバックは反映されません。