万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

オーストラリアの二重国籍閣僚の辞任―日本国にも安全装置を

2017-07-26 16:34:29 | 日本政治
 報道によりますと、民進党の蓮舫代表の国籍関連書類の公表については納得しない国民も多く、未だに疑惑が燻っているようです。日本国内で政治家の二重国籍が問題視される中、海を隔てたオーストラリアでも、二重国籍の判明によって閣僚や議員の辞職が頻発しているそうです。

 オーストラリアと言えば、白豪主義は過去のものとなり、今日では、世界各国から移民を受け入れる多民族国家となりつつあります。“多様性を尊重する国”としてのイメージが強いため、今般噴出した二重国籍問題については、意外に感じる人も少なくないことでしょう。しかしながら、逆から眺めて見ますと、移民国家であるからこそ、他国に先駆けて二重国籍の問題を認識し、国制上に明確な安全装置を設けたとする見方もできます。移民の受け入れには、内政干渉、あるいは、外国支配のリスクが常に伴うからです。アメリカ合衆国憲法がその大統領就任資格において厳しい国籍要件を設けたのも、移民国家の自覚あってこそとも言えます。

 その一方で、日本国の場合には、国籍法において二重国籍は禁じられているため、二重国籍の政治家は当然に存在しないものとして統治機構の制度設計がなされています。蓮舫代表は、この制度上の盲点を突いた形で政治家となったのであり、既成事実化を目指していることは、代表続投や衆議院議員選挙への鞍替え出馬の表明からも分かります。それでは、日本国は、こうした現状を放置しても大丈夫なのでしょうか。

 国籍法は国によって違いがあるため、日本国一国が法律で二重国籍を禁じていても、他国籍を強制的に喪失させるための実行手段が欠けていたため、現実には日本国にも二重国籍者が存在しています。このため、政治家にも二重国籍者が存在する可能性があったのですが、これまで、誰もこのリスクに触れてきませんでした。二重国籍者が議員選挙に立候補するとは、常識的に誰も考えなかったからです。ところが、蓮舫代表の国籍疑惑が浮上し、疑惑が疑惑を呼ぶにつれ、俄かに、二重国政治家のリスクが表面化することとなりました。つまり、蓮舫代表こそ、国籍関連文書の公表により、二重国籍政治家の存在を証明した最初の政治家であったと言えるのです。

 その存在が明らかになった以上、二重国籍政治家に対するリスク対策を制度として実現しませんと、日本国の安全と独立が内部から脅かされる可能性があります(実際に、二重国籍状態において蓮舫代表が閣僚として行った政策は、日本国の国益を著しく損ねている…)。図らずも蓮舫代表は、自ら二重国籍政治家の存在証明をすることにより、安全装置設置の必要性をも証明することにもなったのです。具体的な安全装置に関しては、政治家に限りましては、立候補者や閣僚候補を対象として、二重国籍者を事前にチェックする予防制度を設ける必要があります。未然防止制度が完備されれば、以後は、二重国籍議員は生じません。過渡的な措置としては、現職の議員や閣僚もチェック対象とし、二重国籍の議員についてはその資格の停止も検討すべきです。チェックの手法については、調査機関を設けるという案もありますが、憲法、並びに、公職選挙法上の手続きの厳格化ですので、新たに立法措置を講じなくとも、立候補に際して提出する申請書の記載項目の変更や添付書類の追加、あるいは、他の国籍国への照会といった方法で対処できるかもしれません。

 なお、ネット上などでは、“日本国では、二重国籍の政治家を禁じていない”と、法律に明文の禁止規定がないことを盾に強弁を通そうとする識者も見受けられますが、それは、上述したように、存在していないことを前提としているからに他なりません(悪しき反対解釈…)。明文の規定がないにせよ、二重国籍政治家は国家の安全と独立に対する重大なリスクなのですから、参政権に関する法解釈は、二重国籍を禁じる日本国の国籍法に基づいてなされるべきではないでしょうか。

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