万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

対北軍事制裁の現実味-日本国に求められる覚悟

2017-07-29 15:18:50 | 国際政治
【北ミサイル】トランプ米大統領、北のICBM発射は「無謀で危険」 対抗姿勢強調 「あらゆる対策とる」
 報道によりますと、米陸軍のミリー参謀総長は、ワシントン市内で今月27日に開かれた講演において、北朝鮮問題について“時間切れが近い”とする認識を示したそうです。「百日計画」を念頭に置いた発言とも推測されますが、“朝鮮半島での戦争は悲惨だが、ロサンゼルスで核兵器が爆発するのも悲惨だ”とする解説も添えています。

 こうした中、翌28日には北朝鮮は、国際社会の懸念を一切無視して、再度、ICBMの発射実験に踏み切っており、アメリカ側の警告に対しても“どこ吹く風”の対応です。上述した講演でミリー参謀総長は、“熟慮の末の決断を下さなければならない”とも述べており、愚弄とも言える北朝鮮側の対応に業を煮やしたアメリカが対北空爆に踏み切るシナリオも現実味を帯びてきました。

 昨今のメディアの論調では、北朝鮮がミサイル搭載可能な核兵器、並びに、アメリカ領内に到達するICBMの開発に成功すれば、アメリカは、自国民の被害を考慮し、北朝鮮に屈せざるを得ないとする見方が大半を占めてきました。また、たとえ、アメリカに対する直接的核攻撃のレベルに達しない段階でも、同盟国である日韓等に配慮し、対北攻撃は思い止まるとする楽観的な見解も聞かれました。しかしながら、ミリー参謀総長の談には、武力行使に伴う犠牲の覚悟が窺えるのです。

 仮にこのまま北朝鮮の傍若無人な行動を放置しますと、近い将来、北朝鮮は、アメリカのみならず、全世界の諸国に対して核とICBMで脅しをかけることでしょう。否、韓国における新北派、文在寅大統領の誕生は、既に北朝鮮の核が脅迫効果を有している現実を示しています。暴力主義国家による覇権追求の悲劇は歴史が語るところですが、見境のない北朝鮮の行動を最終的には武力でしか止められないとしますと、如何なる犠牲を払ってでも戦わなければならないこととなります。古今東西の神話やおとぎ話では、人々を苦しめる怪物や邪悪な者が登場すると、勇気と力を有する正義の英雄が登場して成敗するものですが、この勧善懲悪のストーリー展開は、人類社会に普遍的に存在する“悪(自己中心的で貪欲な暴力主義者であり侵略者…)”との対峙を誰もが理解し得るように単純化して描いているのかもしれません(誰かが闘わなければならない…)。

 このように考えますと、アメリカが武力行使を実行する時期については、核を搭載したミサイルがアメリカの首都、あるいは、経済の中枢であるニューヨークに確実に届くミサイル攻撃能力を北朝鮮が有する以前の段階が最も可能性が高いと想定されます(それ故に、北朝鮮もICBMの実験を加速化させている…)。何故ならば、冷徹なリアリズムに徹すれば、この時期こそ、アメリカが払う犠牲が最小となるからです。そしてその選択は、日本国にとりましては、報復として北朝鮮から核攻撃を受ける覚悟を迫られていることを意味します。否、日本国は、アメリカに対して、“日本国のためにロサンゼルスへの核攻撃を甘受せよ”とは言えないはずです。国際法秩序が破壊され、人類が暴力国家に支配される将来が近づいている今日、日本国、並びに、日本国民は、犠牲を払ってでも守るべき価値はあるのか、という精神性をも含めた人類の存在に関わる根本問題を問われているように思えるのです。

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2 コメント

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北朝鮮空爆 (gateway)
2017-07-31 15:31:16
アメリカが北朝鮮を空爆すると、報復として北朝鮮が日本にミサイル攻撃を行うとします。この場合、アメリカは中国に対して報復攻撃を実行できますか。またロシアについてはいかがでしょう。
gatewayさま (kuranishi masako)
2017-07-31 18:32:39
 コメントをいただきまして、ありがとうとざいました。

 北朝鮮問題につきましては、”これ以上、放置できない”という点に関しては、揺るぎない基本原則ではないかと思います。問題は、できる限り犠牲を最小に抑えながら、目的を達成することです。その方法やシナリオにつきましては、必ずしも確定されたものがあるわけではないのですが、まずは、中国、並びに、ロシアの動きを押さえることが肝要ではないかと思います(まずは、ピンポイント式に北朝鮮を崩壊させる…)。それでも両国が、北朝鮮制裁を機に対米戦争に打って出るとしますと、戦うしかありません。最悪の事態に備えて、日米、並びに、周辺諸国は、ミサイル防衛の能力向上に最大限の努力を払うべきと思います。

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