万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

グローバル市場の覇者が共産国家というパラドクス

2017-05-16 16:52:24 | 国際経済
中国主導のAIIB、日本も早期参加を…二階氏
 軍事力においては群を抜いていたソ連邦も、統制経済の失敗により消滅する運命を辿ることとなりました。統制経済には市場経済に内蔵されている発展のメカニズムが欠如していますので、ソ連邦の経済は停滞を余儀なくされたのです。

 その一方で、共産主義国家は経済成長しないとするジンクスは、政治的には共産党一党独裁体制を維持しつつ、経済的には改革開放路線を選択した中国によって破られることになります。積極的な外資の導入と安価な労働力を武器に飛躍的な経済成長を遂げ、中国製品が全世界の市場に溢れかえる至るのです。2002年にはWTOにも加盟し、この時、誰もが中国は”普通の市場経済国家”に変貌した信じたことでしょう。

 しかしながら、中国は、真性の”普通の市場経済国家”へと移行したのでしょうか。改革開放路線に対する期待は、中国の国内経済にあって民間企業等の活動も盛んになり、中間層が形成されれば自然に民主化し、名実ともに普通の国家へと変化するというものでした。しかしながら、昨今の様子を見ておりますとこの見方は楽観的であり、むしろ、共産主義国家であったからこそ、中国は、破竹の勢いてグローバル市場を席巻したという見方もできないわけではありません。何故ならば、13億の人口を擁する巨大国家が、その廉価な人件費を武器に、国家を挙げて国際競争の世界に参加すれば、当然に、強大なる競争力を有することとなるからです。ソ連邦は、西側の国際経済や産業と切り離されていたため、経済力で西側陣営を脅かすことはありませんでした。ところが中国は、統制経済時代の経済停滞を逆手に取り、これに起因する安価な労働力を西側企業に提供することで輸出攻勢をかけたのです。政府系企業を温存しつつ、中国が西側諸国の企業を取り込んだことによって、”民主主義国家陣営”は、内側から切り崩されつつあります。

 そして今や、中国は、自らをグローバル経済の指導者と称して憚らず、自国中心の”中華経済圏”を構築すべく、一帯一路構想に象徴されるように、共産主義の特徴でもある政治と経済との結びつきを強めています。グローバル市場の覇者が政治的野心に満ちた共産国家というパラドクスに、果たして、民主主義諸国は耐えられるのでしょうか。

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4 コメント

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支那は世界の覇者になるか? (あずみ渚)
2017-05-17 08:25:16
おはようございます 支那は20年以上前から崩壊論が出ていましたが、共産党員の汚職、環境汚染 年数十万の騒擾などの内部矛盾を抱えながら経済・軍事力を高めてきました 
そして一帯一路やAIIB立ち上げなど国際社会に対しても大きな影響力を振るっています 近年、アフリカなどのインフラ投資、スリランカの港の99年間租借など かつての帝国主義の植民地経営みたいなこともやらかしています

日本の政財界は戦後、妙な贖罪感をもち巨額のODAや技術供与をし、結果尖閣諸島を毎日脅かされ
我が国にとって大きな敵を育ててしまったと思います

支那は多額の米国債を保持し貿易黒字国です
以前米国に対し太平洋を2分割しようと持ちかけたようですが、米中同盟ももしかしたらアリかもと想像してしまいます わずか70年前 支那国民党に煽られ
日本は米国と戦争をしました。 その再現もありえるかも・・・ 単なる妄想ですむならいいのですが

あずみ渚さま (kuranishi masako)
2017-05-17 09:06:12
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。
 中国が改革開放路線に転換した際には、皆が、やがて、中国は民主化された自由な国になるのではないかと期待したのではないかと思います。しかしながら、今般の様子からしますと、中国共産党は、”グローバル市場”を我が物顔で闊歩し、政治的にも覇権を追求しております。しかも、極めて狡猾であり、現在、トランプ政権を内側から揺さぶりつつ、メディアをも駆使して、アメリカを民主党時代の親中路線に戻そうとしているようにも見えるのです。日本国は、情報の収集を急ぐべきですし、米中接近の警戒を怠ってはならないと思うのです。
実態は清でしょう (Unknown)
2017-05-17 16:16:18
フランス革命は、後の国体、政体を考慮せずになされました。結果、共和制だけで五度、今また、ぐじゃぐじゃになるかもしれませんね。
中華人民共和国の創建者たちは、どんな国体、政体を描いたのでしょうか。たぶん、清をモデルにしたのでしょう。太子党は満州貴族、清は同盟、服属した他民族を登用したので、それに当たるのが、共青団と上海閥でしょう。主席は順番に、チャイナ7はバランスよく。
沿海州と外モンゴルはあきらめているでしょうが、それ以外は清の領土を回復するでしょう。
アメリカの衰退を見て世界の警察官はやらないでしょうが、世界一の大国を目指しているのは間違いないでしょう。もともとの国際的地位に戻るということです。
電波塔がエッフェル塔を基準にするように、新国家の創建者たちには、何かの基準があるはずです。
Unknownさま (kuranishi masako)
2017-05-17 19:47:25
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。
 清国の時代と今日とでは、国際社会のあり方は大きく変化しております。少なくとも、国際法の発展により、南シナ海等で行われているような拡張主義は違法行為、あるいは、侵略となりますので、国際社会が許さないのではないでしょうか。また、清国の内実とは世界に向けて誇れるようなものでもなく、貧困にあえぐ民衆、苦力と呼ばれた半奴隷の人々、世にも残酷な刑罰、犯罪者が群がる都市の魔界窟など・・・に満ちており、清国への回帰は悲劇でしかありません。中国の人々は、より健全であり、公正で秩序だった未来を目指すべきではないでしょうか(中国の人々は、全く発展も成長もしないのでしょうか?)。

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