万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

中国は文明国か?-古代文明の幻想

2017-07-24 14:52:50 | 国際政治
劉暁波氏追悼の集会、複数の人権活動家を連行か
 中国の民主化運動の象徴でもあった劉暁波氏の死は、全世界に中国共産党政権による民主化弾圧の過酷さを知らしめることとなりました。劉氏の遺骨は当局の圧力により海に散骨され、この世に留まることさえ許されませんでした。

 度重なる中国共産党政権による人権弾圧は、中国に対する評価さえ変えつつあります。鄧小平氏による改革開放路線以降、自由主義国の多くは中国も民主化プロセスを歩むものと信じてきましたが、今や、時計の針は逆回りに転じたかのようです。目下、中国では、習近平国家主席への権力集中が加速化し、北京市に次いで重慶市でもトップに習主席の側近を据えた人事は、同主席が、全国規模で人事権を掌握しつつある現状を示唆しています。

 20世紀に至り、共産主義革命によって共産党による一党独裁国家を建設したとはいえ、中国の伝統的な国家体制は、皇帝1人にあらゆる権力が集中する中央集権体制です。一党独裁体制もその変形であり、経済力をばねに軍事大国化した今日、習主席は、中華帝国の復興を公然と唱えて憚りません。その背景には、中華帝国は、世界に先駆けて出現した誇るべき文明大国であり、その復興を当然とする中華文明礼賛論があります。しかしながら、現代において文明と野蛮とを区別する軸を“他者に対する一般的な主体性承認”に置くとしますと、中華文明は、文明の名には値しないように思えます。中国の古来より、専ら自らを世界の中心とみなし、周辺国、否、全世界は自国に従属すべき存在にすぎないと見なしているのですから。

 紫禁城などに代表される中華帝国の過去の威光に目を奪われて、今日なおも中国を文明国と見做している人々も多く、こうした人々は、現在の人道問題や人権問題にも目を瞑りがちです。しかしながら、現代の価値基準からしては野蛮に分類される中国の伝統的国家体制(共産党一党独裁体制も含む)が、中国国民、並びに、国際社会にとってさえ望ましいはずもなく、主体性を無視された他の諸国は、常に、中国から侵害を受けるリスクに晒され続けるのです。北朝鮮等にも同様のことが言えますが、人類全体の文明化のためには、中国の体制移行こそ必要不可欠なのではないでしょうか。

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