久野康成公認会計士事務所/株式会社東京コンサルティングファーム(TCF)の 【国際化支援ブログ】

東京コンサルティンググループ(TCG)は、日本企業の収益改善・国際化をトータルサポート!!

監査は、本当に退屈な仕事?

2005年08月16日 | 所長と熱く語ろう!(久野康成)

さて、私のPWでのサラリーマン会計士生活が始まったわけですか、、、

面接の時に「コンサルがしたい」と、言った私でしたが、当然最初は、同僚と同じように監査部門に配属となりました。

当時、PWでは、10年で9割退職する。パートナーになれるのは、同期に一人と言われていました。私の同期は37名いました。夢膨らむ新入社員でしたが、その先に厳しい現実があることは考えもしませんでした。

ただ、漠然と愛社精神だけは芽生えていました。
私は、やっと、現存する会計事務所では世界最古のプライス ウオーターハウスのスタッフになれた。捜し求めた恐竜に出会えた気分です。

さて、監査の現場(フィールドと呼ばれてます。)で、実際に監査が始まりました。運良く1部上場会社の監査を担当させていただきました。PWは、外資系のクライアントが大半で、国内系の上場企業のクライアントが少なかったので貴重な経験を積ませていただきました。

最初に担当した勘定科目が『現金・預金』。銀行からの残高証明書と突合したり、小切手のカット・オフ・テストやバンク・トランスファー・テストなど勉強と実務の違いを思い知らされました。

しかし、そんな監査業務も半年過ぎると・・・
『よく考えたら、突合なんて小学生でもできる作業だよね。。』と思うになりました。
先輩たちも、「監査なんてつまらない業務だ」と言い放つ人も多くいました。
私も、監査なんてつまらない業務かもしれないと思うようになりました。

あれほど、勉強して取った会計士の仕事は、本当に小学生でもできる仕事だったのか、悩んだ時期もありました。

しかし、それに対して指針を示してくれたのが、
「The Price Waterhouse Audit」(PWの監査マニュアル)に示されているビジネス・アプローチでした。

ビジネス・アプローチとは、会社の数字にとらわれるのではなく、ビジネス全体を考えて、当時としては非常に日本では珍しいリスク・アプローチをする手法でした。

数字を見るのではなく、ビジネスを研究(当然、競合他社研究も含む)し、リスク評価をしながら監査手続きの選択や範囲を決めていくものです。

日本の監査の教科書では、今でこそ当たり前になっているリスク・アプローチですが、私は、当時、PWで初めて勉強しました。

監査は、手続きだけを見ていると小学生でもできそうですが、何を考えて手続きをするかは、非常に論理的で高度なものです。

そんな、監査業務に魅了されたスタッフ時代でした。