美しい久野・里地里山協議会 会員雑記帳

小田原市西部の丘陵の里地里山での生活文化

田んぼ体験

2010-07-31 13:57:24 | Take
神奈川県と美しい久野・里地里山協議会が共催して、21世紀の農学校さんが全面バックアップしてくれている田んぼ体験。

6月の田植えのときに、次回は夏休みに「田の草取り」で会いましょう!とお友達と別れました。
それから梅雨が過ぎ、あっという間に今日の日を迎えました。

でも、コソッと昨日の夕方、田んぼを見たら



あんまり草が生えていないんです。みんなにお仕事してもらうほど草が生えていません。これは、この田んぼが、少し前まで畑として使われていたかららしいです。

そんな訳で、久野のおじさんたちは、明日みんなが来てくれたら、秋になってお米を雀に食べられないように『カカシ』を作ろう、と決めて、せっせと材料をそろえました。

暑い中みんなが来てくれたので、日陰でカカシ作り。







みんなが着ていたお洋服を着せたから、きっと秋には雀もびっくりして近寄らないかな?


田んぼの横には久野川の支流坊所川が流れています。そこからの水で田んぼを作っているので、川の中も田んぼの中も昆虫や水生生物を始めいろんな小さな生き物がたくさんいます。顕微鏡で見たり、実際川や田んぼの中に入って見てみました。



川は深いから、長いはしごを降りなければいけないからチョット怖かったけれど、水が冷たくて気持ちよかったです。







今度は秋に収穫祭です。おいしいおコメが一杯取れるといいなぁ。


みんなで集合写真を撮りました


あっ、参加した人が見ていたら、コメントに感想を書いてくださいね。

農山村再生ファーラム(Ω)

2010-07-11 18:54:11 | Take
最後に、トップランナー市町村の取り組みとして、3つの事例紹介がありました。

新潟県佐渡市・高野宏一郎市長が、朱鷺の島ならではの農業振興を先ず紹介しました。
朱鷺の減少は、餌の減少と水場の減少がメインと考え、2007年12月に『トキと暮らし郷づくり認証』として3000円/10aの補助を計画。その条件は、無農薬や冬場の田んぼの水張り、などで、その計画には農協などの反対にあい、独自の米の販売ルートを開拓するなど困難を極めましたが、『経済的に成り立つか?』という発想ではなく、『絶滅の状況に瀕したトキをどうするのか?』と心情に訴えた結果多くの方の賛同を得た。いまではこの認証米は1234haから2000t以上出荷されている。
また、トキによりよい環境を作ろうと、レジ袋の有料化を全国に先駆け始めたり、ソーラエネルギー、バイオマス、公共電気のLED化などもしている。今後より推進するために農大と連携し、学生の研究場所として解放し、アイディアを構築してもらっている。

続いて長野長和町・羽田健一郎町長が報告。人口7150人、面積183.93㎢、うち林野面積171.62㎢(林野率93.31%)の全地を東京農大の実習フィールドとして開放し、学生には森林実習体験・森林整備や紙透き、花豆作り、炭焼きなどを体験してもらい、それは高齢の町への労働力としての担い手になる関係を構築している。
過年7000万円の補助金でダッタン蕎麦を売り出している。

最後に富士宮市・小室直義市長が報告。コンピューターのシリコンバレーのように、食品会のトップになるようにとフードバレー構想を立ち上げ、食を通じて人づくりをしている。
販売先は、東京農大の食と農の博物館で販売し、多くの消費者の感触を見て、次の商品開発に役立てているそうです。
また、近隣の三島市と『ともだち宣言』として、家庭で家族と食事を食べる意義を協力して盛り立てたり、日本で最初に『食の町づくり条例』を作った小浜市の中学生が東京に修学旅行に行く途中に富士宮市に寄って貰い、小浜市の物産を販売・PRしてもらい、交流と小浜市の若者に故郷の良さを体感してもらう、なども実施。
B級グルメとして、夕張メロン・宇都宮餃子と共に地域名が登録商標となった富士宮焼きそばは、その商標権を組合が持っていて、その売り上げは組合が市に寄付してくれるので、それだけで年間100万円になるそうです。

様々な知恵で、ジリ貧の農業が未来ある産業になっている事例をたくさん聞く事が出来ました。

農山村再生ファーラム(2)

2010-07-11 17:50:34 | Take
続いて各地からのプレゼンテーションがされました。
これは、僕は今まで存じ上げなかったのですが、2008年頃から始まった『東京農業大学と連携協力に関する協定』を結んだ地域からの報告でした。



北海道網走市・大場市長は、農大オホーツクキャンバスを通じて、同大学の教授が趣味で飼っていたエミューを町でも飼い「あばしり元気プロジェクト』を実施。

岩手県久慈市・山内市長は、白樺・琥珀・海女の町として、農大を通じて6000人の体験学習を年間を通じて受け入れている。農林水産業と言う言い方でなく、町の海業、町の山業、町の里業として明確に意識付けしている。

宮城県角田市・大友市長は、仙台の南40Kmと言う地の利ながら、農家が1/3を占める町として、顔の見える関係と言う安心・安全を売り物に、新しい農産物の開発を研究している。今は梅干造りが盛んになっている。

福島県鮫川村・大楽村長は、豆を使った街づくりをするため、まず生産意欲を湧かせるため、村が買い取り加工し販売をすることを実践している。

神奈川県厚木市・宮台副市長は、工業誘致をしながら、企業や大学と連携をして発展を努めている。

新潟県妙高市・引場副市長は、薬湯膳の郷づくりと題し、トレッキングコースの整備、温泉、食事で町おこしをして成功した。今は新たにハウス食品と提携して、カレーにあうお米作りとして『華麗米』を企画した。

新潟県上越市・村上市長は、中山間地域再生を掲げ2000年3月に食料・農業・農村基本条例を作り、また2008年には地域農業の維持回復を図る制度をモデル地区で実施している。経済面で自立できる農業を目指し、株式会社じょうえつ東京農大を設立し、農大のノウハウで農業再生を目指している。

山梨県小菅村・降矢村長は、村の1/3が東京都水道水の涵養林。しかし、1955年に2244人いた村民は、2010年には842人となり管理が難しい。そこで多摩川源流大学と称し、農大から常駐者1名を置いてもらい、農大の実習地として年間2000人の方に森林保全をお願いしている。

長野県木曽町・田中町長は、世界で唯一の無塩漬物「すんき漬け」の効能を農大の微生物研で詳細分析をしてもらいPR。すんきシンポジウム、すんきde元気、などのイベントを町をあげて実施。また木曽駒(木曽馬)によるホースセラピーもしている。

長野県白馬村・矢口係長は、1998年より観光客減少は始まり、長野オリンピックでも歯止めがかからなかった。そばガレット、みそ玉など地域の差別化・ブランド品をだしている。

愛媛県西条市・伊藤市長は、食料自給率70%から、逆に攻撃の農業を実施。タイ国への輸出事業をしている。昨年6次産業と言う言葉が提案されたが、当市ではかなり以前から1(農業水産業)×2(食品加工)×3(流通・観光)=6次産業の数式を提案していた。

鹿児島県瀬戸内町・房町長は、奄美大島内の瀬戸内町は真珠とクロマグロの町と紹介し、クロマグロはいまやアメリカや中国へ輸出している状態。しかし、頭と内臓とエラは、産廃として処理をしてもらっていたのを、東農大と共同研究し、魚醤油として発売できるようになった。引き続いて、ポン酢の開発も共同研究を進めている。このポン酢に関しては、廃工場を町が買い取り、共同研究所としてリフォームをした。

沖縄県宮古島・下地市長は、同じ離島同士石垣と共同で町のビジョンを考えている。サトウキビのバイオメタノールなどを農大宮古亜熱帯農場などの協力で実現に漕ぎ着けた。エコアイランドで生き残りをかける。

と報告の後、門間農大教授と平尾氏を司会に、前述の北川正恭・早稲田教授、そして高野克己・農大副学長、宮林茂幸・山村再生支援センター長をパネリストに交えて、全員でディスカッションをしました(上記写真参照)
前段で熱い報告もあったため、17時までのフォーラムは既にここで17時です。

農山村再生ファーラム(1)

2010-07-11 08:52:41 | Take
7月10日東京農業大学が主宰している『実践総合学校』が主催する標記シンポジウムに行って参りました。



色々と思うところもありましたので、2つ3つのテーマに分けて記載をさせて頂きます。
まずは基調講演。
元三重県知事、現早稲田大学教授の北川正恭氏によるものでした。



社会は、「安定期」と「激動期」を繰り返しながら進歩をしていき、為政者はなるべく「安定期」を長くさせ「激動期」を短期間で終息させるために努力するのですが、なかなかそうはうまく行かず、今まさに「激動期」真っ只中である、と語り始めました。
たとえば『江戸幕府』を例にとれば、300年もの長い間単独政権で大きな内乱も無いまま過ごせたのは、その政策を継続させる力『今をよし』という支持者が多かったことにほかなりません。それを『フォーキャスティング』と呼びます。
一方その末期、幕末は『今をよし』と思わない各藩の若者が、日本は海外とどう向き合うのか?それを徳川家一族に任せていいのか?という、継続ではない視点、つまりは未来像を描いて論じ合います。それを『バックキャスティング』と呼びます。
こうした過去からの断絶、過去そのものを解体し、白紙の上に新たな未来像を描く。作り直し、これがまた今求められているのではないでしょうか?

それは、自然界のエネルギーとマンパワーだけで産業を構築してきたイギリスでも、産業革命時には、動力と言う莫大な力をどう扱うか?で『バックキャスティング』をしたわけです。
大きな動力を動かすためには、大量のお金が必要となり、資本主義が確立していきます。
たくさんの人間によって動かすために、高給料で都会に人を集めます。
田舎にいるときは、何代もの間近しく接していた町医者や急患のときお手伝いをしてくれる近所の人もいないので、誰でもわかる総合病院が目立つところに必要となり、どの地方から出てきた人でも画一的な診療体系をするために健康保険が必要となり・・・・
そして今多くの国が実践している社会構造が出来上がっていくわけです。

1880年の日本は、廃藩置県真っ只中でした。その時の東京府の人口は36万人。全国で17位だったそうです。
1位は石川、2位は新潟、3位は愛媛・・・・。
それが130年で大きく人口分布も変わってしまったのは、既に誰もが周知の事実です。
このまま行けば一都三県で人口の50%になってしまうことも極論ではないし、事実人口増加をしているのは東京・沖縄・愛知くらいだそうです。
その一方限界集落は7300もの数を覚えます。
バックキャスティング・・・・未来像から見たこの人口分布は正しいのでしょうか? これをどう評価するかが、次の時代への提言につながると思います。

それはやはりお金を使って権力を集中させているところを変動させる必要があるでしょう。
『(地方が)陳情をしに東京に行く』は、地方自治の平等性を見ても明らかに差別があります。まずは地方自治の立ち位置を変える、ことから始めるべきだと思う、と語ります。

そして政党がそこに絡みますが、現在の政党は結局『仕事を取りに中央集権と結びつく』ためのもので、我が党に投票してくれたら、こんな仕事を持ってきて地方が潤いますと言っているに過ぎなく、本来の政治の姿勢ではないところに気がつかなければいけないと語ります。それは歳出論だけで歳入論を地方で語れないようにさせている部分を感じさせます。
マニフェストは、タックスイーターを納得させるものではなく、タックスペイヤーのものだと真摯に思い作成しなければいけないが、なかなかそうした公約がみつからないといいます。

農業に関しても、GDP9%が1%に、人口でも27%が4%になっていることは、どう見ても失策でしかない。つまりはこのままではダメなのにバックキャスティングで、新しい政策を作らず、あいも変わらず農水省=農協と経済省=商工会が利権を争っている現実です。
これに対して『でも、しょうがない』とあきらめているうちはフォーキャスティングです。

理論なき実践は暴挙です
実践なき理論は空虚です

過去のしがらみから辛くても脱却する、革命はいつも辺境から始まります。
未来を築きましょう。