まろの公園ライフ

公園から世の中を見る

失語症

2016年09月09日 | 日記

ススキのようでススキではありません。
南米アルゼンチンの草原地帯(パンパ)が原産の
パンパスグラスという植物です。

台風の通過で風の強い荒れ模様の天気でしたが
昨日は「見舞い」に行って来ました。
私が親しかった女性ディレクターが脳梗塞で入院中です。
現在はリハビリ専門の病院で社会復帰に向けて頑張っています。
最近はなかなか見舞いに行く余裕がなく
その後の経過がずっと気にはなっていたのですが・・・

久しぶりに会う彼女は
病院の規則正しい生活や食事の効果なのか
見違えるようにシェイプアップされた体ですこぶる元気でした。
それを見ただけでホッとはしたのですが・・・

ちょうどリハビリ訓練の時間とかち合ったので
外に出て時間つぶしのタバコを一服。
病院の前の柿の木はいい感じで色づき始めていると言うのに
彼女の症状は「一進一退」と言うのか
入院から半年も経つのに回復の速度が捗々しくありません。
体にマヒなどはなくピンピンしているのですが
脳の奥の言語中枢に予想以上のダメージが残っているのか
思うように言葉が出て来なかったり
言われた文字がすぐには書けなかったりと
そのストレスによる苛立ちを傍にいて肌で感じてしまいます。

病院の屋上にある歩行訓練用のスペース。
多くの患者さんが介護士の人と黙々と訓練に励んでいました。
彼女の場合は歩行訓練などはありませんが
小学生程度の漢字や作文のテストを繰り返しながら
懸命に「言葉」の回復を目指しています。
それは脳梗塞にともなう「失語症」とでも言うのでしょうか。
手足が思うように動かなかったり
体のどこかに痛いところがあったりするのも大変ですが
人間にとって欠かせないコミュニケーション能力
つまり「言葉」を失うことが、どれほどつらく悲しいことか
鈍感な私には想像も出来ません。

面会を終えて・・・
バス停までの道をトボトボと歩きながら
何度も何度も「ため息」が出て仕方がありませんでした。
とにかくリハビリは粘り強くやらないと・・・
などと励まして別れたものの
彼女の行先に待つ途方もなく長い道のりを思うと
社会復帰という空々しい言葉の響きに
無性に腹が立って仕方がありませんでした。