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最近ちょっとお疲れ気味

ブラジルでの工場見学(その7)NSK BRASIL LTDA.

2009-08-21 04:59:25 | 海外ものづくり事情

 世界有数のベアリングメーカーであるNSKは、現在世界各地に約30箇所の工場を有しています。うちブラジル法人のNSK BRASIL LTDA(サンパウロ州スザノ)は同社の海外工場の第一号で、70年に現地法人を設立し、72年から生産を開始しています。現在、従業員数は593人(うち日本人駐在員2名)で、3シフト24時間の操業体制で月産3,800千個のベアリング生産能力を有しています。
 ブラジルでのベアリング需要は世界全体の1%~2%と小さく、ブラジル工場の生産規模も同社グループの中でも小さい部類に入ります。他の工場の生産個数は、月産700万から1000万個であるのに対し、ブラジル工場はそれらの半分弱に過ぎません。しかし、ブラジル工場で生産するベアリングは多品種少量品が多いことから、生産性向上に向けてカンバン方式を積極的に導入した結果、工程中の仕掛品の最小化、不良率の低さ、品質の高さという点でグループ内でも際立って高い成績を収めているそうです。また、内製率が高く、ベアリングのケージ、鋼球も内製するNSKグループ唯一の工場でもあります。このように、ブラジル工場はNSKグループの中でも小さいながらも際立った存在といえます。
 
 
 工場内の撮影は禁止だったので、同社の美しい庭を撮影しました。

 ブラジルに進出しているベアリングメーカーは、同社のほかに、欧州系メーカー3社、米系メーカー1社があります。欧米系メーカーは生産品目を自動車用のテーパーベアリングに特化させているのに対し、同社が製造しているベアリングは様々な産業で用いられる汎用的なものが中心であり、生産しているベアリングの種類は非常に多いものになっています。
 このため、トヨタ生産方式を積極的に導入するほか、独自の生産設備の開発によって生産性の向上に努めています。この取り組みを支えているのが、優秀なブラジル人スタッフと、生産設備のメンテナンスを通じて内部で蓄積された技術です。残念ながら写真は撮影できなかったのですが、研削したベアリングの外輪、内輪をエアを使って次の工程に自動的に送る装置は独創的なものです。この装置はブラジル人技術者が開発したもので、アメリカ工場でも導入されているとのことでした。また、彼らは月産500個でも安く生産できる設備を開発中でした。

 ブラジル人技術者のポテンシャルの高さを実感した工場見学だったと思います。

※なお上記の内容は2006年1月に同社を訪問したときに伺ったお話を基にしており、現在は事情が変わっている点があると思います。

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