歯科コラム in BKK

タイでお住まいの方にとってお役に立てるような歯科情報を目指しています。

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前歯のコンプレックス

2012年05月21日 | 治療

 以前、当院で治療させていただいた方からメールをいただきました。上の前から2番目の歯が左右2本が先天的に欠損していたそうで、日本で治療を受けたけれど問題があって逃げ出してしまって治療途中のままで困っていたそうです。患者さんの紹介でわざわざタイにある当院でやり直したという患者さんです。以下、その文面です。
私は、歯がきれいでうれしかったので、差し歯にする以前よりよく笑っています。笑顔になりまして、それは、相手にも気持ちの良いものだと思っていました。がはははと歯と歯茎を出すことができるので、お互いに良いと思っていました。歯を見せて笑える幸せを得たのです。最近それについて、考える出来事がありました。
「すっごいきれいな歯並びだね。自分の歯?」と質問されてしまいました。私は首を振りました。それから、気分が落ち込みました。本物に似せて作ってもらい、私の歯並びかみ合わせについて、丁寧に作って頂いた歯ですから、私は、「人工物の美しさ」をわかっていたつもりでした。なぜ本物っぽく作るのか、それは、自分の天然の歯のごとく笑いたいからですよね。言わなくてもいいのにそういうことを言われて傷つきました。義手の人に「それ義手?」って言うのと同じかもしれません。口をつぐみながら「うふふ」と笑うよりも、「あはは」と歯をみせて笑ったほうがいいと思ったのですけれど、、、。
歯が悪いひと、折れてしまった人、無い人がいて歯医者さんがいたり、車をこすってしまって板金屋さんがいるように、世の中ってよくできてるなと思った
矢先そういうことがありました。私は自分が差し歯ですから、差し歯の人を見ると解ります。でも指摘して言いません。このひとも大変だなあと思います。相手の気持ちがわかるって大事ですね。痛みがわかるって大事ですね。しばらく落ち込みますが、私は受け入れて又「がはは」と歯と歯茎を見せて笑うでしょう。決して、きれいな歯を自慢しているわけでは無いのです。今まで笑えなかった分笑うのです。
私の返信が以下です。
久米(Sahaphaet)です。
お久しぶりですね。
大きく口を開けて笑えると患者さんに言ってもらえるのは歯医者にとって勲章みたいなものです。「自分の歯?」って言われて傷ついちゃったんですか。そんなこと気にしなくていいですよ。
中略
PS:人工の歯ですけれど劣等感持つ必要ないですよ。○○さんは人生で何も恥ずべきことをしているわけじゃありませんから。堂々と大きな口を開けて明るく笑ってください。周りの人もつられて明るくなりますから。
この方のメールをいただいて前歯のことでコンプレックスを持っていた方のことを思い出しました。歯を見られないようにとの配慮からかいつもうつむきかげんで話すときは片手で必ず口を隠しておられました。結局、この人も大きな口を開けて笑えるところまでもっていったのですが、お見合いの席で相手の男性から「キレイな歯ですね。」と言われたそうです。こちらはそんなこと聞くとエヘンとなってしまうのですが、そのときこの方は泣き出しちゃいました。当時、「どうして泣くの?」とわけがわからない状態になってしまいました。歯のことでコンプレックスのあった人はどれだけ自分も回りも認める“キレイ”な歯になったとしても見た目の悪い時期があったという心の傷はそう簡単には治らないのでしょう。歯医者にできることはきれいな歯にすることぐらいに考えていましたが、それだけでは心の傷までは癒せていないことがはっきりわかりました。ただここまでのことになると歯医者の守備範囲を越えているようにも思えますが何かできることもあるようにも思えます。具体的に何も思いついてはいませんが。私の返信したメールの後、次のようなメールをいただきました。
久米先生のご返信の文章に出てきた女性の気持ち分かります。私も手を口に当ててあまり笑うことができなかったから良く分かります。その人、すごく深く苦しんでいたと思います。その女性、久米先生に出会えてよかったですね。私も久米先生に出会えてよかったです。あまりにも美しすぎるので私の前歯は疑われたのでしょう。ご返信を読んでしばらくボーっと考えた結論は、きっと私が、本物って他人に見てほしかったのでしょう。 私もきれいな歯ですねって本当にそう思って言われたら泣いてしまうでしょう。 
久米先生にメール返信いただきまして、浄化されました。
 それを望んでいたのでしょう。助けてほしかったのです。
 私、やっぱり超幸せですね。運が良い。どうもありがとうございます。
私のメールで救われたと言われれば「よかった。」と思って一安心なのですが、治療が終わって患者さんに満足してもらったときに「終わった。」と思っていた自分の浅かったことがよくわかりました。処置が終わってお終いじゃなく考えなければならないことっていくらでもありそうに思えてきました。
やはり医療って底の深い仕事だと考え直させられる出来事でした。
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歯周内科

2012年05月21日 | 治療

 医療は外科と内科と大きく分けられます。大雑把なイメージで手術をするのが外科、薬で治すのが内科ととらえられて問題はないかと思います。子供の頃からお医者さんに何度もかかられていると思いますが、そのほとんどは内科ではないでしょうか。外科にかかるときは大騒ぎだったと思います。歯科は残念ながら外科に分類されます。投薬だけで治ることなんてまずありません。歯科は一番馴染みのある外科と言えます。虫歯や歯周病が薬を飲むだけで治ってくれたらと思うのは患者さんも歯医者も同じです。残念ながら今までありませんでした。しかし最近、外科処置をしないで済ませる処置がささやかれだしています。まず虫歯のワクチン。これができれば歯医者失業かというほどのインパクトがありますがまだなかなか難しいようです。そして歯周病ですが、細菌でおこる疾患であるなら抗生物質などで治るはずだということです。ただ真菌のようなカビみたいなものも関与しているらしく抗生物質だけでなくカビ対策の薬も併用してはどうかということです。歯周病は糖尿病のように生活習慣病の一面もあって生活のしかたを変えることを要求されるのでなかなかお医者さんだけが頑張っても良い結果が出ません。お医者さんから患者さんの生活に「ああしろ。こうしろ。」と言われてうっとしいことです。歯周病ではこんなふうに歯を磨けとかフロスを使えと言われるわけですがなかなか長年の習慣が変わるものではありませんから治るのが難しいです。こんなやっかいな病気が薬を飲むだけで治るとすればこんないいことはありませんね。
 一応、言われている処置を紹介いたします。①Azithromycin Hyrrate(商品名:Zithromax)という抗生物質と②Amphoterin B Fungizon (商品名:Fungizon)というシロップを使います。一応、タイで手に入るものか調べてみましたが、チュラ病院の近くの有名な薬屋さんで①は売られていました。6錠450バーツだそうですからあまり安い薬ではありませんね。②のほうは「ない!」と言われました。聞き方が悪かったのかもしれません。これに代わるものとしてMycostatin Oral Suspension(商品名:Naystatin)が使えるはずです。なんと1瓶50バーツですって。日本では2000円で売られているので?ですね。
 興味のあるかたは歯科医院でこれらの薬剤と歯周病(Periodontitis)の言葉を出せば、こういった方面に関心のある先生でしたらいろいろとアドバイスくださるかもしれません。
 虫歯のほうですが、実は私の体験談があります。30年以上前にされた貧弱なアマルガム充填がその後超音波を使った歯の掃除で取れてしまいました。既に歯科医師になっていたので信頼できる大先生にレジン充填してもらったのですが、歯医者の問題というよりも当時のレジンという材料の問題からか歯が一部欠けてしまいました。さぁ大変と当院のゴッドハンドに治療をお願いすると「かなり深い虫歯になっている。神経を取る!」と言われました。症状はまったくなかったし、その他の理由から残せる可能性ありと判断しました。3Mixという方法です。虫歯を削って治すのではなく抗生物質(metronidazoleなど)でやっつけるという方法です。削れば神経を取ることになりそうなのでダメ元で試してみました。1年ほどかかりましたが神経を取らずに充填という処置で現在問題なく過ごせています。一度、抗生物質を入れて数ヶ月待って簡単に除去できるところは削ってまた抗生物質を入れるという方法です。基本的には痛みを感じるほどには除去しませんから麻酔の注射なしです。しかし3回かかりました。こんな方法試してみたいと思われますか?ごく一部の人に限られるように思えるのですが。
 歯周内科も3Mixも成功例を聞くと素晴らしいことのように思えますが、まずメジャーな処置ではありません。それは歯医者の教科書に載るほど実績がないからです。またどんなケースで有効でどのようなケースでは使ってはいけないかというようなこともはっきりしていません。日本の保存学会では「認めない!」という判断をしているようです。ですから保険治療に認められることもありません。しかし私の例も含め良い結果のあることもあるので、自費診療で行っているところもあるようです。料金は天と地ほど差があります。取り組み方にも天地の差があるようですが。
 これを現状、どう考えればいいのでしょう?医院側としては確度を持った治療法でないので手放しでお勧めできるものではありませんし、ましてこんな不確かな処置に日本の一部の先生のように高額な料金設定も躊躇われます。といってそれなりの料金は取らないと永続できません。それよりも心配なのは良い結果がでなかったときの患者さんとのトラブルです。時間と費用をかけて夢を見たのにダメだったら歯医者に文句のひとつも言いたくなるかもしれません。
 興味のおありの方は歯周内科でも3Mixでもキーワードを紹介しましたのでキーワードをもとに相談されるといいですが、けっして過大な期待をもたないでむしろ「ダメ元」ぐらいの気持ちでやるぶんには歯科医師側、患者さん側にとってもハッピィーな結果になると思うのですが。
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金属アレルギー

2012年05月21日 | 日本とタイの違い
 今回は金属アレルギーの話です。一昔前にはお医者様から歯科は金物細工屋と揶揄されたこともあるほど歯科では金属をたくさん使ってきました。金、白金、パラジューム、銀、水銀といった比重の高い金属はもちろんニッケル、コバルト、クロム、アルミニュームといった卑金属までいくらでも挙げられます。おまけに実際の使用にあたってはそれらの合金になりますから、その種類はかなりものです。金属アレルギーの症状は湿疹などの皮膚症がほとんどです。歯科の場合だと粘膜の症状ということになります。ところが最近、肩こりや頭痛のような金属アレルギーの症状とは思われていなかったものまで金属アレルギーが疑われるようになってきたようです。問題はもし何かの歯科用金属でアレルギー症状が出たとしても、その症状からとなる金属の特定が難しいことです。日本人の口の中は金属天国ですからあちことにいろいろな種類の金属が入っています。どの金属がアレルギーの原因か特定するのは困難です。それどころかそれぞれの金属が何であるかも特定できません。見た目と処置したところ、保険治療かどうかでだいたいの見当をつける程度です。保険診療で使われている金属でも一言に金銀パラジューム合金といってもメーカーはたくさんありますし、値段もけっこうばらついています。乳歯に使われる保険対象の金属は銀合金ですが、あきれるほど金属が破折するということが続いたことがありました。調べてみると保険適用のうちで一番安いものを使っていたということだったので、大学病院でも使っていたメーカーのものに変えるとピタッと破折の問題がなくなったこともありました。合金の主な成分の割合は決められているはずなのにこれほどの差がありました。アレルギー症状のようにはっきりしない症状への影響だともっと差がありそうに思えます。たとえ保険の指定金属を使っていたとしてもこの程度ですから、どの金属がアレルギーの原因かは実際問題特定できないと思います。アレルギーの問題以外にガルバニー電量という問題もあります。ことなる2種類の金属の間には電位差を生じますから電流が流れるということです。この電流の刺激で痛みを感じたり味のようなものを感じたりといった症状があるようです。こんなことを書くと心配にある人が多く出るかもしれませんが、私はこのガルバニー電量のことはあまり心配しないほうがいいと思っています。名前は有名で歯医者なら誰でも知っているほどですが本当のところ実際にあるのかどうかもわからない程度の頻度しかないようです。大学の講義でも1人それらしい患者さんを見つけたときに周りにいる歯医者さんや学生を集めて見せたと言われていましたからかなり頻度は低いはずですから。私の経験では“もしかしたらそうかもしれない”という症例が2例だけでしたから。歯医者の教科書ではまったく言われていないことですが、アメリカの歯科材料屋さんのビデオでイオンになった金属が象牙質の管(象牙細管)に入っていくと象牙質がもろくなってくるという報告がありました。しかも短時間でダメージを与えてしまいもとに戻すことはできないというショッキングな内容でした。このことを知ってから20年以上経ちますが一向にこの話題が大きくなることがないのですが、私は心のどこかで気にするようにはしています。イオン化しやすい金属はなるべく象牙質に直接接触させないようにしようと。どうしても金属を使わざるを得ない場合はイオン化しにくい金属、すなわち貴金属金合金を使いたいと。見えるところに金を使いますか?と言う話はしやすいのですが、見えないところ(歯の内部)に使う場合は理解を得るのが簡単ではありませんでした。患者さんにしてもわかりにくいことではありますが。それに他の歯医者さんでそんなこというところはまずありませんし。
一方でセラミックがどんどん良くなって、金が値上がりしてオールセラミックをお勧めしやすくなったのは金属アレルギーの問題からもかなり楽になりました。さきほどの歯の内部に使う金属ということではポストコアとよばれるものがあるのですが、ファイバーのコアが実用化されたことでこちらもありがたい事態になってきました。すべてのケースに使えるというわけわけではありませんが、金属の欠点を解決してくれました。イオン化しない金属は金合金ということで高くつきますがファーバーならずっと安くなります。技工所を使わないのでその費用も来院回数も減らせます。将来、入れ歯でも金属を使わなくてもいいような素材がうまれるかもしれません。歯科治療でメタルフリーになるのはかなり先かもしれませんが、確実にメタルフリーの方向に向いていると感じています。
最後に気になる情報です。日本での保険治療でインレー、クラウンに使われているのは金銀パラジューム合金ですが、ヨーロッパのほうでパラジュームは使用しないようにしましょうと勧告が出ているようです。日本の保険治療を否定するような勧告ですね。そして日本の保険治療の素材は30年以上変わっていません。進化は止まっています。この事実をどのように受け止められるでしょうか。やはり日本の歯科治療じゃないと安心できませんか?それとも、、、
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スマイル入れ歯

2012年05月21日 | 日本とタイの違い
当院には人づてでいろいろな国から来られる患者さんがいらっしゃいますが、去年インドで住んでいるという日本人のかたから相談がありました。左上2番目の歯を失っているけれどブリッジのように隣の歯を削ることには抵抗がある。しかしインプラントは高いし不安もあるということでした。日本の歯科医院でそれならとスマイル入れ歯というものを勧められたということです。ご本人は日本まで行ってスマイル入れ歯にしようと決意しかかっているようでした。このスマイル入れ歯はグーグルなどで検索していただければ私の紙の上の説明よりももっとわかりやすいサイトがたくさんあると思いますので詳しいことはネットで見てください。過去に他紙コラムで“グニャグニャ入れ歯”と私が表現した入れ歯がこれにあたります。利点は通常の部分入れ歯のように歯にひっかける金具(クラスプといいます。)がないので見た目がすっきりします。また通常の入れ歯は入れ歯を安定させるために歯にひっかけを求めるのですが、グニャグニャとたわんでくれるのでへこんだ歯茎があれば歯茎に安定を求めることができます。こう書くととてもいい入れ歯のように思えますが一般にはあまり満足度の高い入れ歯ではないようです。素材と構造上通常の入れ歯ほど“ガッチリ”と固定できないので強く噛めませんし、コストもそれほど安くありません。日本では保険の入れ歯がとても安いですから保険の入れ歯と比較すると保険外は比較になりません。だいたい10万円から20万円というのが相場かと思います。人件費の安いタイではもっと安くできますからタイにお住まいの適応症の人にはいい話です。いい話ついでにこのグニャグニャ入れ歯の素材で歯にひっかける部分を作ることもできます。素材はプラスティックみたいなものですから歯の色にもできるので、通常の入れ歯のような金属ではなくなるので目立たなくなって見た目がかなり“まし”です。症例によってはお勧めできることもあるので入れ歯の“ひっかけ”の見た目の悪さを気にされているかたは歯医者さんに相談されるといいでしょう。一番の問題点は修理や補正が利かないことだと思います。年数が経てば顔も変わるように入れ歯の部分の歯茎も変化します。通常の入れ歯であれば足したり削ったりと合わせ直すことも可能ですが、これができません。作り直さねばなりません。そう考えるとランニングコストとして考えると高価な入れ歯ということになります。
 1990年に旅行者としてタイに来たときにこのグニャグニャ入れ歯のことを知りとても驚きました。保険外の治療のこともけっこう知っているとかってに思い込んでいたこともあり、まさか自分の知らない治療法がこんな後進国であるなんてと。当時電話ですら各家庭に普及していない国でしたからテクニカル的にも問題のあるようなものじゃないかと不信感すら持っていました。しかし、考えようによってはケースによってはメリットもありそうなのでずっときになっていました。日本に帰ってから大学の補綴科の人たちと話題にしたこともありました。結果はその道の専門家ですら知らない人がいるほどでした。またこれを作る技工所があまり日本にはあまりないとのことでした。彼らの意見は今と同じでかなり症例を選ぶということでした。たいていの症例で第一選択にならないということです。
 では、どんなときに有効かいうことになります。見た目や装着感はかなりいいのですが、上記のように数年で作り直さなくてはならないという費用的な欠点も考え合わせると、今はインプラントはしたくないけれど数年先には覚悟を決めてやろうと考えておられるような場合です。1本だけのインプラントなら高いというものの出せる金額であっても5本6本となると話は違ってきます。経済的に余裕ができるまで、あるいは貯金してインプラントが出来るまでの間といった一時しのぎの考えで用いるならかなり有効かもしれません。
 最初に紹介した患者さんですが、結局当院でグニャグニャ入れ歯ではない他の“とりあえず”の処置をしました。やはり見た目、装着感はかなりいいものではありますが、末永くというものではありません。その後、その友人から経過を聞くことができましたが、「かなり満足していてこれでいい。感謝しています。」と言われていました。感謝していただけたのは何よりですが、今はいいでしょうがダメになったときに大慌てになります。「あくまで一時しのぎですよ。」と念を押したつもりだったのですが。どうも当面の問題が解決されてしまうと本質が見失われることが多くあるようです。今回のように見た目、装着感が満足されてしまうと将来起こるであろう問題を指摘されていても警告はその場限りのものになってしまったようです。一時しのぎの処置の場合は将来の問題のこともしっかりと認識されておくことが重要です。
 ちなみにスマイル入れ歯というのは日本だけの名前です。こちらではFlexible Dentureと呼ばれています。興味のある方はこちらの名前で問い合わせればわかっていただけやすいと思います。
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入れ歯

2012年05月21日 | 日本とタイの違い
入れ歯

前回は「口の中に金属が見えるような処置をされているのは日本人だけ。」ということで、充填、インレー、クラウン、ブリッジと固定性の修復物の素材を日本と日本以外の地域での違いを含めて紹介しました。今回は固定性でないもの、そなわち取り外し可能なものとして入れ歯のことをお話いたします。今回は素材のことに言及するよりも日本の処置に照らし合わせたほうがわかりやすいと思います。日本では大きく分けて保険適用の入れ歯と保険外(自費)の入れ歯の2種類があります。保険のほうは金額のことを心配しなければいけないようなものではありません。逆に歯医者からするとどうやっても赤字項目です。できればあまりやりたがらない歯医者さんのほうが多いはずです。一方、保険外となるといきなり何十万円と目の玉が飛び出すような金額を言われます。素材の違いで説明されていますが、本当はそれだけでなく入れ歯作りにかかる手間暇、来院回数、下準備が違うのですが、このことは患者さんには説明しにくいところなのかあまり患者さんいはいわれていないようです。タイでも(日本以外では)大きく分けて2種類あります。Temporary PlateとRemovable Partial Dentureです。Temporary Plateというのは直訳すれば一時的な用途のプレートとなるのでしょうか。素材に金属はなく人工歯とレジンのプレートでできています。入れ歯を安定させるために歯にひっかけるもの(歯医者はクラスプとよんでいます。)はワイヤーです。これが日本の保険適用の入れ歯にあたります。保険適用の入れ歯の場合、クラスプは鋳造した金属のものも適用なのでTemporary Plateよりは少しましです。私は最初、日本の保険相当の入れ歯がTemporary Plate(暫間的な入れ歯)とよばれているのを聞いて情けなくなったのを覚えています。日本の歯科治療ってその程度?と。自費の入れ歯になるとレジンのプレートの部分が小さくなって金属のプレートになります。レジンのプレートとレジンでは何が違うかですが、まず大きさと厚みが違います。口の中に入れるものですから、患者さんにしてみれば出来る限り小さく、そして薄くというのが願いです。レジンで小さく薄くしてしまうと壊れやすくなります。保険で入れ歯をお作りすると、その後「痛みもないし食事も問題なくできる。でもここをおとしてもらえませんか?」とか「ここを薄くしてもらえませんか?」とよく言われたものです。入れ歯を患者さんはだいたいご高齢の方が多いのですが、そんな人生の先輩のかたから何度もこういった要求をされると無下に断るのもどうかなとついつい患者さんの言うとおりしたこともありました。向こうが透けるぐらいまで薄くしたこともありましたし、手で少し力を加えて歪ませると簡単に歪んだり。患者さんの要求だからと要求にこたえてやってはみたものの、壊れそうだなぁと弱気になったりもしたものです。実際、こんなことをすると壊れます。でも大きかったり分厚ければ不快なようです。その問題点を解決するのが金属床です。金属床は保険外ということでいきなり高くなってしまいます。京都大学で医療経済をやっておられる西村先生NHKで述べられていましたが、保険の素材で歯科の教科書に沿った作り方をした場合の適切な料金が15万円ぐらいと言われていました。なんと15万円の入れ歯を作って、歯医者の時間給は平均的なサラリーマン程度ということでした。最低の素材を使って15万円ですから金属床のような歯科でまっとうとされる素材を使うとそれにプラスされるわけですから数十万円というのは理解されると思います。ここで入れ歯でお困りの方への情報です。総入れ歯を例にとれば保険相当にあたるTemporary Plateがタイでは1つ1万バーツちょっとぐらいでしょうか。これだと日本よりも高いです。同じ素材でと考えると高いですが、日本と違って製作工程を省略されないのでずっと具合のいいものができているはずです。西村先生の言うところの15万円の入れ歯相当です。よくポリデントのような入れ歯安定剤が入れ歯には必要と思っているかたがいらっしゃいますが、そんなものなしで安定して食事できます。そして金属床のほうですが、日本では数十万円ですが、タイでは2万、3万バーツで手に入ります。安いからといって手は抜かれていませんし、日本での自費の入れ歯に使われている素材よりもいいものが使われていると言っていいほど素材もいいものが使われているはずです。逆に日本は金属床といっても、その素材はピンキリです。むしろ1級品が使われることがほとんどないと言っていいほどです。自費なのに。しかしタイはマーケットが小さいせいか逆に1級品しかないと言っていいほどです。安い素材を探すほうがむつかしいぐらいですから。歯科関係に知り合いのいらっしゃる人は「バイタリュームの金属床でイボクラーの人工歯を使っていくらぐらいですか?」と聞いてみられるといいです。(バイタリュームもイボクラーも1級の歯科素材です。)50万円はくだらないはずですから。ネットでも調べられるかもしれません。実はこの日本で自費扱いの入れ歯がもっともお得感のある処置だと思えるほどです。クラウンでオールセラミックが10万円以上が日本の相場ですがタイでは1.5万バーツ程度でお得感がありますが、そんなものが霞むほどのお得感が金属床の入れ歯にはあります。日本で入れ歯でお困りだったかたにはタイは治療費も安く、いい国に来られたと実感されるはずです。
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