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ベジタリアン3000年の歴史

 インド人のエンジニア、Van様ご一行が日本に来たとき、困ったことがあった。全員がベジタリアンだと言う。インドのベジタリアンには色々バリエーションがあって、当然肉や魚は駄目であるが、卵や牛乳については禁忌の具合が人によって違う。

 そして驚くことには海産物も摂らないのである。わかめとか海苔なども駄目。植物のようなものだろうといっても却下。陸上の地面から生えていなくてはならないのだ。個人の趣味ではなく、宗教上のタブーだから厳密に守る、融通が利かないのだ。

 Van様ご一行は比較的厳格なベジタリアンで、牛乳は良いが卵は駄目らしい。彼らと仕事先の野原の真ん中にある工場に出向いたとき、昼食に困った。社員食堂で食べるしかないのだが、ベジタリアンの食べるものは全く無い。蕎麦なら大丈夫と勧めたが、どこで仕入れたのか「そばつゆに昆布が入っているから食べられないのです」と申し訳なさそうに言う。昆布なんか使っているはずないし、かつお風味の合成調味料ならどうなんだと突っ込みたいところだったが、やめておいた。

 そうなると食べられるのはご飯だけ。ご飯に塩コショウをして食べていたが、そのうち一人がこんなものがあったと自販機からヨーグルトを買ってきた。えっ、ヨーグルトご飯??他に選択の余地が無いので申し訳ないけれどそれで昼食を済ませてもらった。まあ、後で聞くとヨーグルトご飯を食べるのはインドでは普通のことらしいので安心したが。

 こんなとき困るのはこちら。一緒に食事をするわけだが、隣で肉を食われたらたまらないだろう。じゃあ日本人側も蕎麦にしておこうとしたのだが、いつも食べているものを食べろと言う。ベジタリアンは自分の問題で、他人には関係ないともいう。さすが3000年の菜食の歴史を持つ国だ。

 これが本当なのはインドへ行った時に実感した。やはり一緒に食事をするわけだが、必ずノンベジと呼ばれる非菜食主義者用のレストランに連れて行かれた。彼らはそこでベジタリアン食を食べるわけだ。日本人の我々がベジタリアン食を食べたいといっても、必ずいつも食べているものを頼んだ上で、それでも食べたかったら自分たちの料理を分けてやるという。

 インド人との付き合いが気持ちのいいものだったのは、このようにまず相手がどうしたいのかを考えてくれるからだろう思う。

 東京でベジタリアンを含むアメリカ人ご一行を食事に連れて行ったことがある。このベジタリアン、自分は野菜しか食べないがどんなレストランでも良いと言う。それじゃあ典型的な日本を紹介しようと居酒屋へ連れて行ったのだが、料理が出てきたとき目をむいて、恐怖の表情をみせた。ああ、君も価値観押し付けのアメリカ人か。

 彼女の視線の先にあったのは鯵のたたきの生き作り。竹串に突き刺された体がまだ痙攣している。口はパクパクしている、、、、これはいけません、失礼、、、、



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