セロー君の不調はとても残念なことですが、この原因究明をする中で学ぶこともたくさんありました
その一つにキャブレターの構造や動作原理のイメージが湧いたということがあります。
セロー225は約20年間発売されており共通の部品も数多くありますが、キャブレターはマイナーチェンジによって少しずつ変化しています。
私のセローは2000年以降の5MPという型式で排ガス規制に対応したキャブレターがついているのですが、この5MPというシリーズは2004年までの5年間しか発売されていません。
つまりキャブレターの情報が少ない!のです。
そして5MPのキャブレターはそれ以前の物とかなり異なっているようで、ネットの情報を頼りに触ろうとすると全然違うので驚きます
そもそも形状がかなり異なっており、外し方すら分かりませんでした。
改めて調べても5MPのキャブの外し方について詳しく書いてあるページは見つからない…
なので頑張って気合いで外しました。
しかし、この作業を何回もするうちにだんだんコツがわかってきました。要するに“知恵の輪”です。
今では完成車体から取り外しまで10分以内でできるようになりました。もちろん組み立ても同様です。
5MPオーナーさんでこのキャブの取り外しに困っているかたも多いようなので、そのコツを紹介しようと思います。
メンテナンス記事の初回なのでタンクなどの外し方についても書いておきます。
タンクやキャブレターを外すときに内部に土やごみが入ると最悪ですので、あまりにも汚いときには洗車してから行うことをオススメします。
外装・シート・タンクを外す
左右の外装を固定しているのは赤丸のネジのみです。
ただし、それぞれ前後にツメがあるので初回はよく観察してもぎ取らないようにしてください。
シートは左右のボルトを外して後部を持ち上げながら後ろにずれせば取れます。
タンクを外すときは少し下準備が必要です。
まず燃料コックをOFFにします。これでタンクを外してもガソリンがダダ漏れになりません。
その後燃料コックを固定しているボルトを外します。
そして燃料コックの下から出ているホースを外します。
この時、燃料コックをOFFにしていてもホース内やキャブレター内のガソリンが溢れてきます。
火気厳禁です
そしてタンクを固定してるネジを外します。タンクを固定するネジはこれ一本のみです。
タンク後部を持ち上げて後ろに引いて外します。
ここで二つ注意点があります。
一つ目は燃料コックがブローバイホースに引っかかるので、引っかからないようにほどいてからタンクを持ち上げましょう。
二つ目は後ろに引き抜くときにクラッチワイヤーがタンクのシュラウドに引っかかりやすいので確認しながら後ろに引き抜いてください。
タンクを左右に動かしながら少しずつ引き抜くと簡単です。
これでタンクが外せます
タンクの真下からホースが出ているのでこのまま地面に置くのは躊躇われます。ダンボールなので傷つかないようにして壁に立てかけると良いかと思います。
ちなみに私はプレスカブのフロントキャリアにのせています( ̄▽ ̄)b
アクセルワイヤーを外す
キャブレターはアクセルワイヤーと繋がっているのでこれも外さなければいけません。
作業をしやすくするためにリアブレーキのマスターシリンダーを外しておきます。
5MPセローにはアクセルワイヤーが二本ありますが、左側のワイヤーから外した方が簡単かと思います。
まずは左の上部のネジを緩めます。
ツメに引っかからないくらいまで緩めたら下にずらして横に外します。
太鼓のワイヤーを下向きにして手前に引いて外します。
続いて右側も同じように外します。
これでワイヤーは外れました。
しかし5MPの場合、アクセルワイヤーだけでなくこの円盤も外さないとキャブレターが外れません。
この中心の薄いボルトを外します。
円盤を時計周りに力をかけながら引き抜きます。
そのまま引き抜くとバネの力で部品が飛んでいく可能性があります。
バネの力はそれほど強くないので大丈夫ですが、怖かったら軍手などをしましょう。
円盤の奥にあるプラワッシャとバネを外します。
これでアクセルワイヤー類は準備完了です。
チューブ・コード類を外す
5MPのキャブレターからはチューブやコード合わせて8本が出ています。
内訳はTPS(スロットルポジションセンサー)のコード1本、チョークワイヤー1本、ガソリン排出チューブ6本です。
私の場合このうち5本はキャブレターについたまま外します。
外すのはTPSのコードとチョーク、キャブレター下部のチューブです。
TPSのコードはここのカプラを外すだけです。
チョークは六角形を回して外します。
また、キャブレターから直接出ている訳ではないですが、インシュレーターから出ているAI(エアインダクション)のチューブも外す必要があります。
チューブを支えているフックからも外します。
キャブレターの取り外しをより簡単にするために、キャブレターから出る3本のチューブを車体から外します。
キャブレター上部のフレーム内に入っているホース一本を引き抜きます。
キャブレター下部に向かい、スイングアームまで延びている二本のチューブを引き抜きます。
(本来は半透明のガソリン排出用チューブも一緒に束ねられていますが、私は外しているので写真にはありません。)
これでチューブ・コード類の準備は完了です。
キャブレター本体を外す
キャブレターを外す前に中に入ったガソリンを抜いておきます。
まず、カムチェーンテンショナーのネジを外して
キャブレターの下にある六角を緩めると中に入ったガソリンが流れ出します。
地面に撒いてしまってもすぐ気化するので大丈夫だとは思いますが気になる人は何かで受けましょう。
(写真ではドレンホースがついていませんが、ついていれば車体の真下に排出されます。)
ガソリンが抜けたらドレンホースを下に引き抜きます。
次にエンジン側とエアクリーナー側のバンドを緩めます。
エンジン側は六角、エアクリーナー側は普通のネジです。
(写真はエンジン側のみです)
エンジン側の六角にはスペーサーが入っているのでなくさないようにしましょう。
エンジン側のバンドは無理やり開いて取り外しておいた方がキャブレターの脱着がしやすいと思います。
ここからが知恵の輪です
まずキャブレターをエアクリーナー側に押し付けてエンジン側の口を外します。
そのまま車体左側にずらして外すのですが、アクセルワイヤーを固定するツメがIN側のタペットカバーに当たりそうになります。
ここに当たらないようにキャブレターをしっかり後ろに押し付けながら、インシュレーター上部のパイプとの間にツメを通します。
今度はスロットルの軸がインシュレーターに引っかります。
接触せずに外すことはできないので、ゴムを変形させながら取り出します。
固くて大変であればスロットルの軸にグリスを塗っておくといいかもしれません。
万が一ゴムが裂けてしまうようであれば、交換時期だと思って交換した方が良いと思います。
このゴムが劣化すると二次エアを吸い込んでエンジンの調子が悪くなります。(経験済み)
劣化しやすいパーツのようですので、気になる場合はこれを機に交換しておくと良いと思います。
またキャブレターの下部がカムテンショナーに当たりそうになるので車体左側に少し回転させながら外します。
これで外れます。
キャブレターのオーバーホールをするのであれば残ったチューブも外します。
取り外し完了
初回は少し時間がかかるかもしれませんが、何回ややるうちにコツがつかめると思います。
私はアクセルワイヤーのツメを何回もタペットカバーにヒットさせて塗装を剥がしました
まあ、気にしませんが
取り付けのポイント
取り付けは基本的に取り外しの逆です。
ただし気をつける点は、“知恵の輪”の逆手順を、キャブレターのエアクリーナー側を一部でもよいので嵌めた状態(バンドは締めない)でつけることです。
エアクリーナー側の方は手が入らないのでキャブレターを元の位置に戻してから接続するのはとても難しいと思います。
もっと詳細に知りたい場合にはコメント頂ければブログ上で可能な範囲でお答えします
ぜひご質問ください
その一つにキャブレターの構造や動作原理のイメージが湧いたということがあります。
セロー225は約20年間発売されており共通の部品も数多くありますが、キャブレターはマイナーチェンジによって少しずつ変化しています。
私のセローは2000年以降の5MPという型式で排ガス規制に対応したキャブレターがついているのですが、この5MPというシリーズは2004年までの5年間しか発売されていません。
つまりキャブレターの情報が少ない!のです。
そして5MPのキャブレターはそれ以前の物とかなり異なっているようで、ネットの情報を頼りに触ろうとすると全然違うので驚きます
そもそも形状がかなり異なっており、外し方すら分かりませんでした。
改めて調べても5MPのキャブの外し方について詳しく書いてあるページは見つからない…
なので頑張って気合いで外しました。
しかし、この作業を何回もするうちにだんだんコツがわかってきました。要するに“知恵の輪”です。
今では完成車体から取り外しまで10分以内でできるようになりました。もちろん組み立ても同様です。
5MPオーナーさんでこのキャブの取り外しに困っているかたも多いようなので、そのコツを紹介しようと思います。
メンテナンス記事の初回なのでタンクなどの外し方についても書いておきます。
タンクやキャブレターを外すときに内部に土やごみが入ると最悪ですので、あまりにも汚いときには洗車してから行うことをオススメします。
外装・シート・タンクを外す
左右の外装を固定しているのは赤丸のネジのみです。
ただし、それぞれ前後にツメがあるので初回はよく観察してもぎ取らないようにしてください。
シートは左右のボルトを外して後部を持ち上げながら後ろにずれせば取れます。
タンクを外すときは少し下準備が必要です。
まず燃料コックをOFFにします。これでタンクを外してもガソリンがダダ漏れになりません。
その後燃料コックを固定しているボルトを外します。
そして燃料コックの下から出ているホースを外します。
この時、燃料コックをOFFにしていてもホース内やキャブレター内のガソリンが溢れてきます。
火気厳禁です
そしてタンクを固定してるネジを外します。タンクを固定するネジはこれ一本のみです。
タンク後部を持ち上げて後ろに引いて外します。
ここで二つ注意点があります。
一つ目は燃料コックがブローバイホースに引っかかるので、引っかからないようにほどいてからタンクを持ち上げましょう。
二つ目は後ろに引き抜くときにクラッチワイヤーがタンクのシュラウドに引っかかりやすいので確認しながら後ろに引き抜いてください。
タンクを左右に動かしながら少しずつ引き抜くと簡単です。
これでタンクが外せます
タンクの真下からホースが出ているのでこのまま地面に置くのは躊躇われます。ダンボールなので傷つかないようにして壁に立てかけると良いかと思います。
ちなみに私はプレスカブのフロントキャリアにのせています( ̄▽ ̄)b
アクセルワイヤーを外す
キャブレターはアクセルワイヤーと繋がっているのでこれも外さなければいけません。
作業をしやすくするためにリアブレーキのマスターシリンダーを外しておきます。
5MPセローにはアクセルワイヤーが二本ありますが、左側のワイヤーから外した方が簡単かと思います。
まずは左の上部のネジを緩めます。
ツメに引っかからないくらいまで緩めたら下にずらして横に外します。
太鼓のワイヤーを下向きにして手前に引いて外します。
続いて右側も同じように外します。
これでワイヤーは外れました。
しかし5MPの場合、アクセルワイヤーだけでなくこの円盤も外さないとキャブレターが外れません。
この中心の薄いボルトを外します。
円盤を時計周りに力をかけながら引き抜きます。
そのまま引き抜くとバネの力で部品が飛んでいく可能性があります。
バネの力はそれほど強くないので大丈夫ですが、怖かったら軍手などをしましょう。
円盤の奥にあるプラワッシャとバネを外します。
これでアクセルワイヤー類は準備完了です。
チューブ・コード類を外す
5MPのキャブレターからはチューブやコード合わせて8本が出ています。
内訳はTPS(スロットルポジションセンサー)のコード1本、チョークワイヤー1本、ガソリン排出チューブ6本です。
私の場合このうち5本はキャブレターについたまま外します。
外すのはTPSのコードとチョーク、キャブレター下部のチューブです。
TPSのコードはここのカプラを外すだけです。
チョークは六角形を回して外します。
また、キャブレターから直接出ている訳ではないですが、インシュレーターから出ているAI(エアインダクション)のチューブも外す必要があります。
チューブを支えているフックからも外します。
キャブレターの取り外しをより簡単にするために、キャブレターから出る3本のチューブを車体から外します。
キャブレター上部のフレーム内に入っているホース一本を引き抜きます。
キャブレター下部に向かい、スイングアームまで延びている二本のチューブを引き抜きます。
(本来は半透明のガソリン排出用チューブも一緒に束ねられていますが、私は外しているので写真にはありません。)
これでチューブ・コード類の準備は完了です。
キャブレター本体を外す
キャブレターを外す前に中に入ったガソリンを抜いておきます。
まず、カムチェーンテンショナーのネジを外して
キャブレターの下にある六角を緩めると中に入ったガソリンが流れ出します。
地面に撒いてしまってもすぐ気化するので大丈夫だとは思いますが気になる人は何かで受けましょう。
(写真ではドレンホースがついていませんが、ついていれば車体の真下に排出されます。)
ガソリンが抜けたらドレンホースを下に引き抜きます。
次にエンジン側とエアクリーナー側のバンドを緩めます。
エンジン側は六角、エアクリーナー側は普通のネジです。
(写真はエンジン側のみです)
エンジン側の六角にはスペーサーが入っているのでなくさないようにしましょう。
エンジン側のバンドは無理やり開いて取り外しておいた方がキャブレターの脱着がしやすいと思います。
ここからが知恵の輪です
まずキャブレターをエアクリーナー側に押し付けてエンジン側の口を外します。
そのまま車体左側にずらして外すのですが、アクセルワイヤーを固定するツメがIN側のタペットカバーに当たりそうになります。
ここに当たらないようにキャブレターをしっかり後ろに押し付けながら、インシュレーター上部のパイプとの間にツメを通します。
今度はスロットルの軸がインシュレーターに引っかります。
接触せずに外すことはできないので、ゴムを変形させながら取り出します。
固くて大変であればスロットルの軸にグリスを塗っておくといいかもしれません。
万が一ゴムが裂けてしまうようであれば、交換時期だと思って交換した方が良いと思います。
このゴムが劣化すると二次エアを吸い込んでエンジンの調子が悪くなります。(経験済み)
劣化しやすいパーツのようですので、気になる場合はこれを機に交換しておくと良いと思います。
またキャブレターの下部がカムテンショナーに当たりそうになるので車体左側に少し回転させながら外します。
これで外れます。
キャブレターのオーバーホールをするのであれば残ったチューブも外します。
取り外し完了
初回は少し時間がかかるかもしれませんが、何回ややるうちにコツがつかめると思います。
私はアクセルワイヤーのツメを何回もタペットカバーにヒットさせて塗装を剥がしました
まあ、気にしませんが
取り付けのポイント
取り付けは基本的に取り外しの逆です。
ただし気をつける点は、“知恵の輪”の逆手順を、キャブレターのエアクリーナー側を一部でもよいので嵌めた状態(バンドは締めない)でつけることです。
エアクリーナー側の方は手が入らないのでキャブレターを元の位置に戻してから接続するのはとても難しいと思います。
もっと詳細に知りたい場合にはコメント頂ければブログ上で可能な範囲でお答えします
ぜひご質問ください
それにつけてもこの5MP1というキャブはパイプがたくさん着いていて、どれがどのような働きをしているのか分かりません。目的が分かれば扱い方にある程度察しは付くのですが、多すぎてよく分かりません。お教え頂ければわいわいです。
cf 宗谷岬へのツーリングのレポート、とても感激しました。昔私の田舎の郵便屋さんはバイクにチェーンを付けて走っておりましたが、スパイクで、しかも自作というのには驚きました。これからも楽しみに拝見させて頂きます。
gooブログのシステムを理解しておらず返信が遅くなってしまい申し分けありません。
確かにkanpapa2002さんの仰る通り、目的を知ることで扱い方の察しが付くことが多いですね
しかし実は私もそれぞれのホースの目的をあまり理解しておりません(^^;)
キャブの横から出ている4本の細いホースと1本の太いホースの目的は何でしょうかね?
この記事は脱着編ということで脱着をメインにしましたが、時間があればキャブ内部の流路も記事にしようと考えております。その際に構造を見ながら役割を再考してみようと思います。
gooブログのシステムを理解しておらず返信が遅くなってしまい申し分けありません。
おがさんの仰る残り一本のホースは車体右側キャブレター上部に出ているホースのことだと思います。このホースはキャブレターを半時計回りに半周周り、キャブレターから出る太いホースと共にエアクリーナーボックスの上部が終端となります。ホースの曲がる部分が多く、しっかり固定される場所もないので、もともとのホースの癖に合わせることが綺麗に納めるコツだと思います。
返信が遅くなってしまい既に解決しておられるかもしれませんが、今後ともよろしくお願いいたします。