いつものように家族へのお土産は、ドイツに戻る国際間特急が発車する
北駅近く、オーガニックのパン屋さんのバゲットやカンパーニュ。
毎年2~3回、もう十年近くになる。
小さかった子供達の喜ぶ顔を思いながら、ショコラやプディング、タルト、
マドレーヌなども合わせて、いろいろと持って帰ってきた。
昭和30年代の終わり、週末ごとに両親に連れて行ってもらった銀座の映画館や
パーラーのパフェの味、輝かしいネオンの中、
母の胸に向かって一目散に飛び込んで行ったことなど、
自らの幼ない時の記憶と重なるよう。
それらは、その後に続く暗い年月の中、
時折、差し込む黄金の光のような存在だったのだろう。
「4月1日 上野着」
ドイツ・デュッセルドルフから成田への直行便が日曜日に開通しての第2便。
短い滞在だけど、京都の桜はまだ見れるだろうか。友人、知人に会えるだろうか。
さて、まずは上野到着。
20歳の頃の初めての彼女とデートした不忍池や、一人でよく通った上野文化会館の
コンサートホール。あるいは、4年近くのドイツ留学から戻って、降り立った上野の駅。
夏日のような秋晴れの空、駅地下の構内で買った手巻き寿司をほおばりながら、
不忍池を左に見つつ、公園の中、太陽の光が燦々と降り注ぐ中、一人逍遥するように
胸がいっぱいになりながら向かった大学院への道。
浅草・蔵前で育った僕には上野の街は本当に近い存在だったのだと思う。
ところで、下の写真は出発前の週末にたまたま見かけたドイツのにんじんのケーキです。
沢山のドイツの子供達が大人になって、それぞれの想い出をほおばる、
ドイツならではの春のお菓子だと思います。