伊勢崎市議会議員 多田稔(ただ みのる)の明日へのブログ

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今は何がほしいかわからない

2012-06-22 20:55:19 | 心の時代


(「いっしゅんのできごと」)

  三月十一日 十四時四十六分、東日本大震災が発生した。
  いっしゅんにして、多くの物と命をのみこんだ。ぼくの家も
  学校も町も...。(中略)

これは、当時小学4年生だった釜石市の
黒澤海斗(かいと)くんの作文の冒頭です。

月に1回ほど順番が回ってくる小学校の読み聞かせでは、
子どもたちの学年にあわせて読む本を選びます。

昨年八月「文芸春秋臨時増刊号」が出ました。
タイトルは「つなみ」。
被災地のこども80人の作文集です。
手書きの原稿用紙がそのまま載せてあるページもいっぱいあります。

子どもたち自身が見たり聴いたり感じたこと。
それを子どもの言葉でつづってあります。

東日本大震災は、たくさん報道されましたが、
でもそれは大人の目線でした。
坂東小のこどもたちにも、震災のことをもっと知って、
考えてもらいたいと思い、
5月の読み聞かせに、この作文集を選びました。





(同じ4年生の体験)

今後子どもたちが生きている間に、
こんな大きな災害が起こることはめったにないでしょう。
「つなみ」には、学齢前から高校生までの作文が入っています。
先月の読み聞かせは、4年生のクラスでしたので、
4年生の作文を中心に4,5編選びました。

やはり、
読み始めると、こどもたちはしーんと静まりました。
作文を書いた子どもの気持ちが、とてもよく分かったようです。
聴きながら涙ぐんでいる女の子もいました。
黒澤君の作文の一部を、つづけてご紹介します。

 その後、何日も大きなよしんが続き、
 なかなかねむれなかった。
 ふとんの代わりに、ダンボールと新聞紙を使った。
 食べ物は、せんべいやかんづめを2、3人で一つと、
 おなかがいっぱいになるものではなかっが、
 その時は、こわさで、くうふくも忘れ、それでも多く感じた。

布団のかわりに新聞紙を使ったことや、
食事の量の少なさに、読み聞かせを聴いていたこどもたちは
びっくりしていました。



(今なにがほしいのか?)

黒澤君が避難して1週間たったころ、避難所にも電気がついて、
テレビも見られるようになりました。でも。

 うれしいはずのテレビも、震災のことばかりで、
 三月十一日のあの日を思い出し、
 こわくて見ることができなかった。

 1ヶ月たった。ご飯もだいぶよくなり、
 ご飯・おかず・みそ汁がでるようになった。
 このころになると、店も開店して、
 買い物もできるようになった。

 母に、
 「何か買ってあげる。」と言われても、
 今なにがほしいのか?
 前は、ほしい物がたくさんあったのに、
 今はなにがほしいのか、わからないぼくがいた。



(どこでも、しっかり生きていける)

私も震災の報道はたくさん見ましたが、
被災地の子どもたちの心情は
この作文集を読むまで知りませんでした。



 ぼくから、大切な物をうばっていった津波が
 にくくてたまらない。けれどこの震災で
 たくさんの人に出会うことができた。
 そして、たくさんの人に助けてもらった。
 自衛隊の人、警察の人、市役所の人、ほうどうの人、
 ボランティアの人...。
 “ありがとうございます”と
 何回言っても足りないくらい。

 これから、宮古市で生活することになった。
 転校してしまうけれど、この震災でいろいろな人に出会い、
 勇気をもらったから、どこでも、しっかり生きていけると思う。
 そして大きくなって大人になった時、人を助けることのできる、
 りっぱな大人になり、お世話になった人達に、
 りっぱになったぼくのすがたを見せたいと思います。
 (後略)

海斗君の作文を読み聞かせしながら、
私も海斗君に、はずかしくないような生き方をしたいと思いました。
きっと聴いていた4年生の子どもたちも、そう感じたと思います。

読み聞かせの終了時間がきても、
 「もっと読んで」
とせがまれました。
「教室に置いていくから、自由に読んでね」
そう言って置いてきたのでした。





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