伊勢崎市議会議員 多田稔(ただ みのる)の明日へのブログ

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高齢者団地 愛を伝えられるか

2017-07-23 17:12:13 | 心の時代
広島市 基町住宅地区活性化計画

Ⅰ 概要
・戦後の住宅不足を解消するため基町地区公営高層住宅団地を建設。
・総戸数は約4500戸。
・市の中心部にあり、中層アパートと高層アパートから構成される。
・建物の老朽化と、住民の高齢化(高齢化率40%以上)が進行。
・バリアフリー化や、住宅規模拡大工事を行っている。
・要支援、要介護の住民増。
・外国人比率17.5%。


Ⅱ 分析

1 時代の中の位置づけ

・公共施設の老朽化と住民の高齢化は全国共通の現象。
・戦後の広島市は圧倒的な住宅不足があったが、現在は民間の供給もある。
・公営住宅を維持し続ける必要性はあるのか?県営団地は撤退しはじめている。


2 事業の構造:「基町住宅地区活性化計画」の3本柱

〇安心と笑顔
・若い世代を増やす
・高齢者が安心して、いきいきと暮らせるように
〇出会いと交流
・外国人との共存・交流
・屋上庭園の活用
〇にぎわい
・地域マップ作り
・商店街を活性化する
・情報発信


3 目標と成果の妥当性 「基町住宅地区活性化計画」

(1)活性化の課題
①高齢化に伴うコミュニティの活力低下 →
対策:若い世代を増やす、高齢者が安心して暮らせるようにする、など
(多田コメント)
子育て中の世代が多かった頃は、にぎやかで消費も多かったと思われるが、
高齢世帯が多くなった団地に、にぎやかさは必要なのか?
日本中で少子高齢化が進む中で、この団地だけ若い世代を増やす政策を採れば、
市内の他の地域の高齢化は一層高まるがその必要性はあるのか?

②中心商店街の空き店舗増加 → 対策:商店街を活性化する
(多田コメント)
団地に隣接して民間のスーパーマーケットがあり、
必要なものはそこで買えるので中心商店街が衰退したと思われる。
住民に必要とされていない商店街を行政が税金を使って振興する必然性がない。
その場所は介護・福祉施設等の新たなニーズに対応する施設に転換すべきと思う。

③外国人居住者との交流の難しさ → 対策:共存・交流する。
(多田コメント)
交流は推進すべきと思います。


(2)活性化の必要性 「基町住宅地区活性化計画」から引用
①計画策定の目的
「基町住宅地区では、建物の老朽化のみならず、少子高齢化に伴う
 地域コミュニティの活力低下や空き店舗の増加に伴う商店街の衰退など
 多くの問題が顕在化している。また、地元においても活性化への機運が
 高まっており、これらの問題に起因する種々の課題に対応し、
 該住宅地区の活性化が図れるよう、早急に取り組む必要がある」

(多田コメント)
・建物の老朽化や住民の高齢化は、行政が解決すべき「課題」というよりも、
 時代の変化に伴う「与件」ではないでしょうか。老朽化は修繕で対応できます。
 真の論点は、団地の耐用年数が過ぎた場合、再び市が公営住宅として
 新築・更新していく必要があるのか否かでしょう

 長期的な人口減少が予測され、民間の住宅供給も可能な中で、
 今後も市が限りある経営資源(金・人)をさいて直営の住宅団地を新築する
 必然性があるのでしょうか。住宅政策としては、行政が住宅を建設して貸し出す
 直接供給のほかに、家賃補助という選択肢もあります。

「市が公営住宅を建設する必要性はなくなった」と判断するなら、
現在の住民が住んでいる間は修繕等を行い建物の延命措置をとり、
住民の退去と団地の老朽化による取り壊しを徐々に行い、
巨大な公営高層住宅団地の自然消滅を図るというのが一つのスタンスになるでしょう。

それとも「市が公営住宅団地を維持し続ける必要がある」と判断するなら、
耐用年数が来た建物を建て替え続けて、
新しい住民の入居を促進し続けなければなりません。
判断の違いにより今後の経営スタンスは大きく異なります。

・地方都市における商店街問題にも共通しますが、
 空き店舗の増加や商店街の衰退は、
 行政が税金を使って解決すべき課題なのでしょうか?
 もし、あるお店が経営不振でシャッターを下ろしたとしたら、
 市役所はその店が繁盛するように税金を投入すべきなのでしょうか?

 市営のお店でない限り、商売や企業経営は、
 経営者の責任で仕入れや販売を行っているものなので、
 そのしりぬぐいに税金を投入するのはノーだと、だれもが考えると思います。

 では一つのお店の場合はノーなのに、たくさん集まって「商店街」になったら、
 なぜ行政課題になってしまうのか?私はそれが疑問です。
 消費者から必要とされていないから空き店舗になるのですから、
 経営者の責任において別の商売や業態に転換すべきと思います。

・「少子高齢化に伴う地域コミュニティの活力低下」と述べられていますが、
 比較する相手が違うと思います。昔の子どもや若い世代が多かった頃の団地と比べれば、
 当然ながら活気や活力は低下していると思います。
 しかし、現在の日本はどこも高齢化か進み、
 この団地も高齢化率40%以上なのですから、この状態はむしろ普通です。
 「活力」があるかないかを考えるにあたっても、
 若者世代が多かった頃の団地を基準に比較するのではなく、
 他の高齢化地区と比較すべきなのではないでしょうか。

・高齢化率40%以上という状態において、昔並みの活力を求めるのは
 妥当なのでしょうか。全国的な少子高齢化の流れの中で、
 高齢化率40%以上の地区で昔並みの活気を出そうとするならば、
 多くの高齢者に相当の無理や負担がかかるでしょう。
 住民がより幸せになるように地域に「活気」を求めているのだとしたら、
 「活気」を生むために住民に過度の負担をさせては本末転倒になりかねません。
 「昔はよかった、若者が少ないから若者を呼ぶ、活気がないから活気が必要、
 商店街が衰退したから振興が必要」というような単純な思考ではなく、
 これからの高齢者住宅団地にふさわしい幸せの在り方を
 模索すべきではないでしょうか。


②活性化の必要性
「多くの課題を抱える基町住宅地区では、地元において、活性化に向けての
 プロジェクトを立ち上げるなど、活性化への機運が高まっていることと、
 概ね市営住宅団地の居住者だけで基町地区コミュニティが構成されている
 特徴的な地区であることなどから、当該地区における活性化について
 取り組む必要がある」
(多田コメント)
・地元においてプロジェクトが立ち上がり活性化の機運が高まっているのは
 よいことでしょう。住民自治のあるべき姿だとおもいます。
 だからといって行政が主導したのでは官製自治になってしまいます。
・市営住宅団地の居住者だけで地区コミュニティが構成されているからと言っても、
 市営なのは建物などハード面であり、自治活動のソフト面は住民の力です。
 これは基町だけ特別ではなく、市内どの地区でも自治活動は
 共通のソフトだとおもいます。市が関与するとすれば、
 団地の共用部分が市の所有施設であるならば、その活用方法について
 住民と一緒に考えるという取り組みは必要だと思います。
 具体的には中心部にある空き店舗が多いシャッター商店街を、
 今の時代に必要な場所へ転換してくことが
 市の関与の中心課題ではないでしょうか。


4 高齢化地区の幸せ
高齢化率40%以上となった団地で、活性化を図ること、にぎわいを求めることは
住民の幸せとずれているように感じました。人口減少と少子高齢化は、
これからの日本では各自治体共通の与件です。それを踏まえたうえで、
より幸せな地域のありかたを考えたいと思います。

「基町住宅地区活性化計画」では、下表左側のとおり3つの将来像のもとに
短期と中期の各種施策を掲げています(施策は一部省略)。
私は一番下の「にぎわい基町」というテーマは、高齢化地区の幸せと
結びついていないように感じましたので、幸せの因子(注1)を参考にして
右側のように再整理してみました。

(注1)「幸せの因子」:東京工業大学の前野教授が唱える幸せの4因子と、
    井上僧侶が唱える幸せの5要因を、多田稔が整理したもの。



 前野教授と井上僧侶の幸せの要素を私なりに解釈します

「心を調える」は、自己肯定や他者への感謝を行うための前段階。

「ありがとう!」は、これまで受けた愛への気づき。
 自分以外の人や世界との強い繋がりを感じるとともに、
 自分は大切な存在であると思うことができます。

「やってみよう!」と「あなたらしく!」は、自分の存在に対する肯定の気持ち。
 その上で、「なんとかなる!」と自分を励ますことが有効なのでしょう。

「自分は愛されているんだ」「自分は自分でいいんだ」
「自分は人や世界としっかりつながっているんだ」
 こう感じられることが「幸せ」の最も重要な要件なのだと思います。

 自分の心の中で見つける宝とは、忘れていた古い記憶。
 それはきっと、「子どものころ受けた親の愛」。

 自分が何よりも大切にされたこと、それを思い出すことで、
 自分の存在を肯定し、他者・世界とのつながりを実感し、
 世界を、他者を愛することができます。


上記表の「心を整える」は、「基町住宅地区活性化計画」の
多田再整理案の中には出てきません。加えるとすれば、
現在の状況を理解するための与件を理解するという意味で、
次の表を考えました。





この地区では住民の高齢化が極端に進みますので、
多田案Bの「高齢者が安心・快適に暮らせるまちづくり」が、
地区のリノベーションの核になると思います。
幸せの因子では「なんとかなる」という安心感につながります。

多田案Cの出会いと交流は、幸せの因子では
「ありがとう、やってみよう、あなたらしく」という自己肯定感や
他者への共感につながります。

広島市の方針として、
将来は住宅団地の自然消滅を図るという経営判断をされるならば、
一番上の多世代・多様な世代の居住促進は、あまり力を入れなくてもよいでしょう。

しかし、巨大な市営団地を存続させる方針ならば、
若い世代の入居はコミュニティ存続のカギです。
(市民に必要だから公営団地をつくるのか、それとも公営団地の存続に必要だから
若い世帯の入居を促進するのか、目的が逆転しないように注意が必要です)

多田整理案Aについて解説します。
子育て世代や若年世帯など、多様な世帯の入居促進がなぜ
「ありがとう(共感・感謝・慈悲)」に分類されるのか
わからない方が多いと思います。

もし「高齢者が多くなって自治会役員も高齢化しているので、
若い世帯を入居させ、若い世帯に地区のめんどうな仕事をやってもらおう」という、
高齢者のご都合主義のために若い世帯の入居促進を行うのだとしたら、
入居してくる少数の若い世帯は幸せでしょうか?

自分が「幸せ」と感じるカギは、「感謝」の気持ちを持つことです。
人をうらやんだり、モノやカネを追い求めても際限ありません。
人はだれもが生まれてきたときは自分一人の力では生きられませんでした。
親や家族、広い意味では社会や国の支援のおかげで一人前になり、いまがあるのです。
そのことに気づき、祖先や育ててくれたたくさんの方に感謝の気持ちを持つことが、
自分の幸せに気づく第一歩。

では、祖先や育ててくれた方や社会に感謝し、恩返ししようとしても、
前の世代の方はすでに亡くなっていたりします。
だとすれば自分が受けてきた愛は、次の世代へ返すべきなのです。
「子どもは国の宝」という言葉があるように、これまでのご先祖は、
そういう気持ちで次の世代を育ててきたと思います。

ところが私たちの世代は次の世代のために何をしているでしょうか。
医療だ、福祉だ、介護だ、景気刺激だと、
自分たちの税金では賄いきれないほどのお金を消費し、
1000兆円以上の借金は次の世代へ有無を言わさず押し付けているのです。

これらのことから、公営団地を存続させるという判断をして、
若年世帯の入居を促進する場合は、その目的は
「若年世帯に高齢者の世話をさせるため」ではなく、
「高齢者が自分たちが社会から受けてきた愛を、次の世代へ返すため」
であるべきだと私は考えるのです。
このようなスタンスで地域コミュニティが構成されるならば、
子育て世代にとっては住みやすい天国のような団地となり、
高齢者にとっても自分が受けてきた愛を伝えられる
生きがいの場となるのではないでしょうか。



(参考ブログ)
幸せと思わない人っているの?
不老不死の霊薬はここにある
しあわせ とは

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