伊勢崎市議会議員 多田稔(ただ みのる)の明日へのブログ

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日本の財政を振り返る

2011-12-14 21:37:08 | 政治・政策・経済
いよいよ年も押し詰まってきました。
昨日のブログでは、日本国債を取り上げましたので、
本日は日経新聞を元に、今年の日本財政を振り返って見ましょう。

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1番目の記事 
8月16日付け日経「経済教室」から。
投稿は、一橋大学小黒教授。

ポイントは3点。
・財政赤字賄う公債発行で民間貯蓄食いつぶす
・日本経済は資本ストックの更新費用賄えず
・無理に投資を拡大すると経常収支も赤字に

日本財政は90兆円の歳出のうち44兆円を国債で賄っている。
GDPに対する公的債務残高は200%に迫る。
しかし長期金利は1%台で安定。

もっと国債を発行しても問題ないという声もあるが、
もはや日本経済の国債消化は限界に近い。
国民総所得GNIに対する国民貯蓄(民間貯蓄+政府貯蓄-固定資本減耗)は
90年以降減少し、2009年にはマイナスに転落。

次世代への富の移転とも言うべき「国民貯蓄」がマイナスになったのは、
政府貯蓄の赤字が民間貯蓄を上回ってしまったから。

「政府貯蓄」とは、国・地方公共団体等の税等-経常支出であり、
赤字公債の発行規模に相当する。

投資バランスに基づけば、
  「国民貯蓄」=(投資-固定資本減耗)+経常収支(外国との収支)
というISバランス式が導ける。

日本の国民貯蓄は赤字で、経常収支(対外収支)は黒字だから、
もはや日本経済が資本ストックの更新費用を賄えない状況
 (投資費用)<(固定資本減耗)
に陥っている事実を示す。


経常収支が黒字で、国民貯蓄が
マイナスのまま継続するということは、
資本ストックの食いつぶしが進むことを意味する。

日本が資本ストックを維持するために
対外純資産の取り崩しでまかなうと、
経常収支は赤字になる。

要するに、資本ストックを維持しようと投資を拡大すると
経常収支は赤字に転落し、経常収支の赤字を回避しようとすれば
資本ストックが食いつぶされ、国内生産が縮小するジレンマとなる。

日本財政の最大の課題は、
44兆円の財政赤字の縮小とともに、
毎年約1兆円づつ膨張する社会保障予算の効率化と財源確保である。
その意味で、政府が6月30日にまとめた
「社会保障と税の一体改革」案の推進は極めて重要。

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(1番目の記事はここまで)

赤字国債の発行は、限界に来ています。
破綻しないためには、公共事業を中心とした
資本ストックの更新費用はもう出せないところまできました。

先日ご紹介した
国土交通省の所管する社会資本を対象に、
今後の維持管理・更新費を推計したグラフも次のようになっています。



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2番目の記事
10月22日付け日経「国の借金1000兆円突破」。

国債や借入金など合計した国の借金が
2011年度末に1000兆円を突破する見通し。

金融市場で国債の売れ行きが鈍れば、
金利の上昇で利払い費が膨らみ、財政危機の恐れ。

日本銀行の資金循環統計によると、
6月末の個人金融資産の残高は1138兆円で、
国の借金1000兆円との差は約200兆円。

政府内には、近い将来国の借金が個人金融資産残高を
上回るとの見方もある。

11年度の一般会計当初予算では、
金利の支払いだけで年間9.9兆円も支払っている。
財政再建はまったなし。

(2番目の記事ここまで)
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日本国債は、大部分が国内の
生命保険や銀行が購入しています。
その原資は国民の預金や保険料です。

日本には国の借金のほかに、
地方自治体なども借金があります。
仮に国民の貯蓄をすべて国債の購入に充てたとしても
すでに1000兆円の国債を発行していますので、
あと200兆円が、国内消化できる限界です。

このような状況の中で、11月23日に、
最上級の格付けをもつドイツ国債の入札で、
応募額が募集額に達しない「札割れ」がおきました。


日本よりも財政状態が良いドイツで
国債入札が不調となったことに、投資家は敏感になりました。

IMF(国際通貨基金)は、11月23日付けのリポートで
日本の公的債務が維持不可能の水準になる可能性があると
警告しました。

11月29日付け読売新聞によれば、
「一部の国内銀行は長期債売りに踏み切った」との声も
出始めました。

日本国債の信頼性が揺らぐ中、
12月1日に日本の財務省で10年もの国債の入札が行わました。
「札割れ」はおきませんでした。

このような流れをふまえて、
昨日のブログで掲載した週刊現代の記事
「日本は倒産する。国債を買うのはバカだ」が書かれたのです。

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3番目の記事

12月5日付け日経
「国債『44兆円以下』綱渡り」

2012年度予算編成作業が本格化。
焦点は中期財政再建計画で定めた「44兆円以下」という
新規国債発行枠を守れるかどうか。

政府が8月に定めた「中期財政フレーム」。
政策経費71兆円以下、新規国債発行44兆円以下、
震災復興経費は特別会計として別枠。
それでも税収と新規発行国債では90兆円の必要額に届かない。

政策経費を71兆円に抑えるのも困難。
増額圧力が強いのは国が自治体に配る交付税。
社会保障は診療報酬と介護報酬の改定が焦点。

(3番目の記事ここまで)
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震災関連予算は、一般会計とは別枠とするようですが、
日本政府の赤字には変わりありません。

食事のあとの「デザートは別腹」といった言い訳が
世界の金融市場で、はたしてどこまで通用するでしょうか。

国は本当にお金がありません。
これ以上赤字国債を安易に増発すれば、
円そのものが大暴落します。

地方自治体も議員も、
「国費100%で事業をやってもらえばOK」というような
感覚では国の財政は持ちません。
言うまでもなく国が破綻すれば、地方も道連れです。

国の赤字を減らすには、
増税、支出の削減、の二つの方法があります。
増税については、議員は大反対していますが、
テレビのインタビューでは、止むを得ないと答えている国民も
多いように思います。

「増税の前にムダの削減を」という
ごもっともな意見も出ますが、
それを唱えてどれくらいの年数が経過していることでしょう。

完璧にムダを削減して行政改革が100%完成してから
初めて増税します、という順番では
いつになっても手がつけられないのではないでしょうか。

日本国債に対する信頼が
いよいよ危機的な状況に来ていますので、
今まで散々繰り返してきた増税の先送りはもうできません。

増税により財政破綻を回避しつつ、
ムダのカットと行政改革に絶えず取り組むという姿勢が
一番、実用的な対応ではないでしょうか。

まずは、国の来年度予算の編成と、
消費税のアップについて注目したいと思います。








































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