伊勢崎市議会議員 多田稔(ただ みのる)の明日へのブログ

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鹿児島のジャズ喫茶 門

2015-07-09 17:20:48 | JAZZ オーディオ
先日視察で鹿児島市を訪問した際、
夜の自由時間に、中央鹿児島駅のすぐ近くにある
JAZZ喫茶「門」(もん)を訪ねました。

中央鹿児島駅は、新幹線の駅であり、
目の前には鹿児島空港連絡バスの発着場もあります。
「門」は電車通り沿いで駅から徒歩3分。
わずかな待ち時間でも行けます。

かつては、
鹿児島市内にはジャズ喫茶は7軒ありましたが、
現在では門さんだけのようです。
全国的にジャズ喫茶は絶滅しかけていますので、
とても貴重です。





さて門さんの営業形態は少し変わっているので、
注意が必要です。



(一般的なJAZZ喫茶)

通常のジャズ喫茶は、
昼頃、あるいは午後から営業が始まり、
夜もやっているお店が多いと思います。

店に入れば、当然のことですが、
いいオーディオで、JAZZが流れている、
というのがJAZZ喫茶です。

お客さんはJAZZを聴くのが目的なので、
BGMではなく、しっかりとした音量で
JAZZを流します。

CDをかける場合もありますが、
基本的にJAZZ喫茶はLPレコードをかけます。
CDよりも、はるかに良い音でいかに鳴らすかが、
JAZZ喫茶店主の腕の見せ所。



(門さんの場合)

ビルの1階が喫茶店なのですが、
そこではJAZZは小さな音量、
なんとミニコンポで流しています。

JAZZ喫茶が、こんなはずはない。
そうです。
本当のオーディオシステムと4千枚のレコードは
2階の店にあるのです。

では、いつでも2階の音が聴けるのか、
というと実は金曜日の夜限定です。

それ以外の日は、1階の喫茶店が、
普通の「喫茶店」として営業するのみ。
(営業時間や休日は直接お店にお尋ね下さい。099-252-6575)

高級ビンテージのオーディオ・システムから、
最高のJAZZを聴くには、
金曜日の夜だけオープンする
2階のJAZZバーに行かねばなりません。

鹿児島に住んでいるなら、
毎週金曜の夜に通えるのですが、
はるばる群馬県から鹿児島に来たのです。
しかし、無常にも木曜日。



(男の秘密基地)

宿が目の前でしたので、
夕方の自由時間に門を訪問しました。
マスターの日高征さんに、群馬から来たと話すと、
2階のお店を見せてくれました。

壁には一面のレコード。
4千枚あるそうです。
窓のない薄暗い店内はジャズ喫茶の雰囲気満点。
JAZZ好き人間にとっては理想の空間。



お客さんが音に集中できるように、
昔のジャズ喫茶は、わざと店内を暗くしていました。
当時のお客さんは腕を組み、目を閉じて、
私語厳禁の店の中で真剣に音楽を聴いたのです。



目を凝らすと奥には大型のスピーカー。
JAZZ喫茶の定番、アルテックA7。
アンプは真空管。
見ただけで、よい音が出ると確信しました。



しかし、
しか~し、なんと見るだけ。
本日は木曜日なので、
見ただけで群馬に帰らなければなりません。

なんという蛇の生殺し状態。
う~ん、嬉しいのか、嬉しくないのか。

1階の喫茶店に他のお客さんがいるのに、
わざわざ2階のお店を見せてくださったので、
よーくお礼を言って宿に戻りました。



(貸切状態)

他の議員と一緒の委員会視察でしたので、
夕食は全員合同でした。

そのあとは各自自由時間ですので、
2次会を早めに抜けて、
夜の9時半ごろ再びJAZZ喫茶門を訪ねました。

お店が終わって他のお客が帰れば、
もう一度2階を見せてもらえるかもしれない。
そんな期待を胸に、店の前に立ったのですが、
なんということか完全に閉まっていました。

雨がザーザー降る中で、
あきらめきれずに立ち尽くしていました。
ビルを見上げると上のほうに明かりが見えます。
もしかすると、3階以上に御自宅があるのかも。

わらにもすがる思いで、お店の電話番号にかけてみると
マスターが電話に出てくれました。
しかも、
私のために特別に2階の店を開けてくださると。

ありがとうございます。
当然、他のお客はいませんので貸しきり状態。
わくわくとお店の中を見せて頂き、
レコードを堪能させて頂きました。

アンプの真空管は、電源を入れたばかりなので、
まだ温まっていないので、音が安定しないかもしれない、
とのことでしたが、十分素晴しい音でした。

大型スピーカーのA7が、
スカッとした自然で十分な音の広がり。
カーメン・マクレイとシナトラのボーカルの生々しさ。

すごい臨場感。そこで歌っているよう。
エリントンとシナトラのライブ盤の終わりには、
思わず拍手をしてしまいました。
レコードに拍手をしたのは初めてです。



(マスターはすごい)

マスターからいろいろ教えてもらいました。

ベイシー楽団と、エリントン楽団の対決レコードは、
今、どちらの楽団が音を出しているか、マスターから
実況で教えてもらいました。





「店のレコード針はオルトフォン。
 スピーカーのアルテックA7は形が気に入っている。」

「金曜の夜にバーをやる日は、午後3時から
 真空管アンプ(多分ラックスマンMQ70)に電気を入れて温めておく。」

コントロールアンプは恐らくラックスマンCL40。
パワーアンプのボリュームは9時で固定し、
コントロールアンプで調整するそうです。



「スピーカーの下はがっちりと固める必要がある。
 ブロックを積んでコンクリートで固めた上に置いてある」
 
高音を出すのは、
ボックス型スピーカーの上に乗っているホーンです。
左右のバランスだけでなく、奥行きの正確な立体感も出すために、
ホーンの位置調整には相当時間がかかったそうです。

お店のカウンター付近に多数ぶら下がっている電気の傘は、
実は飾りではありません。
スピーカーから出る高音を適度に散らせる
反射器の役目をしているそうです。
そのため位置決めも慎重に行われました。

「ジャズはリズムでなくメロディー。
 なぜならスタンダードとして残っている名曲は
 みんなメロディーで憶えているだろう。」

レコード針は、一般にはMMとMCがありますが、
1940年代以前のレコードはモノラル録音なので、
当時の針はモノ針です。

私はモノ針を聴いたことがないのですが、
マスターによればモノ針は音がくっきり太いそうです。
レコードの溝も、それに対する針の振動も
ステレオに比べてモノはシンプルですから
きっと、くっきり、すっきり、力強い音なのでしょう。

マスターから、モノ針は音が良いと聞くと
次の疑問が浮かんできます。

現在のオーディオは、ステレオ録音が前提なので、
スピーカーは二つ以上あります。
そのままでモノラル録音を再現すると、
左右から同じ音が同時に出ることになります。

ハウリングしないように、一つ外すべきなのか?
モノラル録音は、
スピーカーをどのようにして聞いたら良いのかたずねると、
モノラルスピーカーで聴けばよいのだと、
明快に教えてくれました。

オーディオでJAZZを聴くファンの中には、
大音量で聴かなければ、JAZZの良さは分からない、
という人もいますがどうなんでしょうか?

「大きな音で聞きたがるのは、
 JAZZファンではなくオーディオファン。
 音楽好きなら適音がある」

私は1950~60年代のJAZZを中心に聞いていて、
最近のプレーヤーや、和ジャズ(日本人が演奏するJAZZ)には
あまり興味がないんですが、と聞いてみました。

「人種差別があった時代のように、しいたげられたハングリー
 な精神がないと深みがないJAZZになる」

「自分は何十年と、一人で音の調整をしているから、
 音が安定している。人任せにしてしまうと音が崩れる」 

オーディオの音作りは、
高いレベルになるほど微妙な世界です。
スイッチを入れれば良い音がするというものではありません。
長い年月をかけて改良と調整を積み上げて、
今の門の音に到達されたのです。

水割りは薩摩焼酎。
店名「門」は、漢字一文字で考えていたそうです。
JAZZ「入門」の意味もあるのかもしれません。

木曜日の夜に、
私一人のために2階を開けて頂いて、
本当にありがとうございました。
感謝の気持ちでいっぱいです。
一生忘れません。


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