伊勢崎市議会議員 多田稔(ただ みのる)の明日へのブログ

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観光マーケティング

2011-10-11 20:25:58 | マーケティング
観光について思うこと。
観光の振興といえば、通常は観光客が
わんさか来ることを考えるのでしょう。

来れば来るほど良い、という考え方をするならば、
果たしてその地域に、その地域の観光業に
何をもたらすでしょうか?

お客を迎える側が「誰でもいい」と考えて
お客を誘致するならば、
そこに来るお客はきっと「どこでもいい」と考えていて
たまたま今回はそこに来ただけかもしれません。

大河ドラマの舞台になったり、
たまたまブームになっただけの観光地の人気は
一過性ではないでしょうか。

いっとき大勢のお客が来ても
ブームが去れば、閑古鳥が鳴くようでは
観光業は持続できません。

その地域にしかない物や、人、歴史や文化、風景などを目指して
観光客が来るならば、その魅力はすぐになくなるものではなく、
その地を訪れる人は一過性ではなくなります。

一見(いちげん)さんばかりがどっと押し寄せ、
リピーターゼロでは、観光政策として失敗です。

リピーターが何度も訪れ、家族や友人を誘ったり、
口コミでじわじわ訪問者が広がるようならば、本物です。

受け入れ側の宿泊施設や、飲食店、いろいろな対応の点からも、
一度に捌ききれないほどのお客が押し寄せて、不満を抱えて帰るよりも、
徐々に人数が増えて、あるいは維持して、来たお客には満足してもらうことが
持続する観光地としての成功に結びつくと思います。



思いつくまま書いてきましたが、
これはまるで、黒川温泉のことのようですね。

ウイキから少し引用して黒川温泉をご紹介します。

  町全体に自然の雰囲気を出すため、全員で協力して
  雑木林をイメージして木を植え替えた。
  その結果、町全体が自然に包まれたような風景が生まれた。

  さらに、彼らは町中に立てられていたすべての看板約200本を撤去した。
  結果、自然と鄙びた宿の雰囲気が見事に蘇り、
  ゴーストタウンのようだった温泉街が
  日本でも有数の人気温泉へと変貌をとげた。
  こうした甲斐もあり昭和53年頃からは
  旅館への養子縁組やUターンで若者が入り始めた。

  「街全体が一つの宿 通りは廊下 旅館は客室」、いつしかこの言葉が
  黒川温泉のキャッチフレーズとなった。
  現在では、全国の温泉経営者が見学に来るほどになり、
  各地で同様の試みがなされている。
  1998年に福岡の旅行情報誌「じゃらん九州発」の
  人気観光地調査で第1位となった。

黒川温泉では、どの宿も人気があるようですが、
例えば「山みず木」という旅館の客室稼働率は
2004年の情報ですが97~98%もあるそうです。

週末や休日前だけの稼働率ではなく、
平日も含めた通年の客室稼働率。
黒川温泉にしかない風景がそこにあるのです。

さて、ではどうすれば、
その地域にしかない物や、人、歴史や文化、風景などを目指して
観光客が来るようになるでしょうか。

それはその地域オリジナルの魅力を磨き上げると同時に、
日本中に、世界にその魅力が伝わるように発信することです。

よく行政がやる観光ポスターをべたべた張る手法は、
一時のブーム客は呼べるかもしれませんが、
持続的なリピーター客を増やすには、まったく効果がありません。

ぱっと見て分かるようなモノや食べ物は、
他の地域にも似たようなものがあります。
他の地域がまねできないもの、それはソフトです。

従来の観光政策は、観光施設の箱ものや、
食べ物、お土産など、ハード資源、つまり「モノ」ばかりに
目が行っていました。

しかしハードはよそでも簡単にまねできます。
ソフトとは、地域の歴史や文化、風土、習俗などを広く含みます。
ソフト資源は目には見えません。

「肝心なことは目に見えない」
サン・テグジュベリの童話「星の王子様」が言った言葉です。
見えないソフト資源を、体現し伝えてくれるのは、地元の人の口です。

地元の方がその土地の生活や歴史を語ることで、
その地域のソフトの魅力が現れるのです。
地元のじいちゃん、ばあちゃん、おばちゃん、おじちゃん、
子どもたちにも、訪問者と大いに語って交流してもらうことが、
訪問者に、目には見えない
地域のソフト面の魅力を伝えることになるのです。

観光地にとって、地元の人は最強の武器です。
おんなじ人はよそにはいません。
代わりは利かないのです。

旅の達人は、積極的に地元の人に話しかけます。
もし、観光地の側から、観光客にソフト資源の魅力を発信したいなら
地元の人から観光客に声をかけてもらう取り組みをすることが
とても有効です。

大金をかけて観光会館を作るより、
ポスターを何万枚も張るよりも、
地元の人に地域のよさを実感してもらい、
それを生き生きと語ってもらう郷土づくりに取り組むことが、
観光客に地域のソフトの魅力を伝える唯一の方法であり、
観光振興のコロンブスの卵です。

地域の人の生活を、
地域の人の言葉で効果的にPRする方法。
それは複数で取り組むブログだと思います。

大勢の住民や旅館、団体などが、
それぞれの立場でそれぞれの出来事や感じたことなどを
日々伝えていくことで、村や町の日々の魅力を、
そこに住んでいるかのように感じることができると思います。

おじいちゃんや、おばあちゃんが、
毎日自分でブログを書くのは無理でしょう。
そこは、役場の観光課や、観光協会の出番です。
いろいろな方にインタビューして
毎日いろいろな意見、お話を掲載すれば良いでしょう。

このような取り組みは、
すでにあるかもしれませんね。

地域の魅力がその場限りの一瞬のものではなく、
生活として継続しているのですから、
情報の発信も、テレビ番組や雑誌掲載の一過性ではなく、
継続的な形のほうが、適していると考えます。

地域の魅力も、PR方法も
独立した一場面で捉えるのではなく、
プロセスとして考えることが有効でしょう。


(参考)
黒川温泉 旅館「山河









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