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白兵戦経験者の説く「企業の社会的役割」@ 品川正治『戦後歴程』


財界の重鎮でありながら、晩年は積極的に平和や憲法9条擁護の発言をしてこられた品川正治氏。2013年夏に亡くなられましたが、その戦前、戦後を通じての自伝みたいな本です。

今回初めて知りましたが、品川さんは 東大では丸山ゼミの門下生だったんですね。日本火災に就職後も、労組専従をしたり、全損保(損害保険会社の産別労組)の委員長もされていたとのこと。そして、そもそも関西労働学校の卒業生だったんです。これで、なんで財界人がそんな政治的というか社会的な発言をどんどんしたんだろう という疑問が解けました。

 関西労働学校では 講師は林直道氏(大阪市立大学のマル経の教授)や、片岡昇氏(京大法学部の労働法の教授)などそうそうたるメンバーが講師陣だったとのこと。

そのような戦後の経歴の原点は、はやり戦争体験ですね。帝大卒で入隊しても、内地勤務のままだったり、ジャワでそれこそ貴族のような生活をしてた「青年将校」もいるなか、品川氏は、入隊の経過もあり最前線に送り込まれ 文字どうりの白兵戦を経験されたこと。

 そして、敗戦後、引揚げ船の中で、公布されたばかりの日本国憲法を報じる疎な新聞紙を見て、元の上官からその9条を読み上げるように言われ、みんな泣きながら聞いたと。これから日本は二度と戦争をしない国になる。二度と軍隊を持たない国になる。「これで死んだ戦友も浮かばれる」「これで悲惨な目に合わせたアジアの国の人に顔向けができる」と。

 そういう品川さんだからこそ、企業の社会的責任にも正論を吐き続け、実践し続けてこられたんでしょうね。「世の中がバブルの花見酒に酔いしれている時、わが社はその杯に手を付けない」これ名言ですね。

 今、多くの人に読んでほしいです。
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