とね日記

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タイム・シップ:スティーヴン・バクスター

2016年11月05日 14時33分05秒 | 小説、文学、一般書

タイム・シップ:スティーヴン・バクスター」(Kindle版

内容紹介:
1891年、時間航行家は再び未来へ旅立った。タイム・マシンを発明した時間航行家は、最初の時間旅行で出会ったエロイ族のウィーナを救うためマシンを再起動し、西暦80万2701年の未来をめざした。だが、彼がたどり着いたのは高度な知性を有するモーロック族が支配する異なる時間線の未来であった。H・G・ウエルズの名作『タイム・マシン』刊行百周年を記念して書かれ、英米独日四カ国のSF賞を受賞した量子論SFの傑作。英国SF協会賞、フィリップ・K・ディック賞、ジョン・W・キャンベル記念賞、クルト・ラスヴィッツ賞、星雲賞受賞。
2015年12月刊行。736ページ

著者について:
1957年、リバプール生まれ。ケンブリッジ大学で数学の学位を取得後、サウサンプトン大学で工学博士号を取得。学生時代からSFを執筆し、1987年〈インターゾーン〉誌掲載の短篇「ジーリー・フラワー」でデビューした。この短篇に始まる壮大な宇宙年代記〈ジーリー〉シリーズは、長篇第1作『天の筏』(91)、『時間的無限大』(92)、『虚空のリング』(93)などが発表され、新世代のハードSF作家として注目を集めた。バクスターは巨匠アーサー・C・クラークの後継者と目される存在で、長篇『過ぎ去りし日々の光』(00)、『時の眼』(03)に始まる〈タイム・オッデセイ〉三部作をクラークと共作している。本書『タイム・シップ』(95)は、H・G・ウエルズの古典的名作『タイム・マシン』刊行百周年を記念して、ウエルズの遺族の公認を受けて執筆された。英国SF協会賞、フィリップ・K・ディック賞、ジョン・W・キャンベル記念賞、クルト・ラスヴィッツ賞、星雲賞という英米独日の四カ国のSF賞を受賞した傑作である。

訳者について:
中原尚哉
1964年生、1987年東京都立大学人文学部英米文学科卒、英米文学翻訳家


H・G・ウエルズの名作『タイム・マシン』刊行百周年を記念して書かれ、英米独日四カ国のSF賞を受賞した量子論SFの傑作。

2年前にH・G・ウエルズの名作『タイム・マシン』を読んだときに、いつもコメントをくださるhirotaさんから「続編も面白いですよ。」と教えてもらった。その後、中古で購入していたのだが昨年Kindle化されていることに気が付いて読んでみた。通勤時の読書である。電車で片道30分で、週に2回しかオフィスに行かないので、700ページ以上ある本書は読み終えるまでずいぶん日数がかかった。(読み始めたのはたしか9月の中旬だったと思う。)

この続編は1995年に出版されたもの。H・G・ウエルズの子孫から正式にお墨付きがついている作品である。名作の続編を書くのは並大抵のことではない。ヒットしなければ作家としてのキャリアに与えるダメージは相当あると思うし、元の作品を大切に思っているコアな読者から批判の対象にされかねない。何より元の作品の雰囲気や良さを引き継ぎつつ、新しい話を創り出さなければならない。

このような意味で本書は成功しているのかな?と疑いを持ちつつ読み始めたのだ。これからお読みになる方のためにネタバレはしたくないので、あらすじは書かないことにする。

『タイム・マシン』が相対性理論に基づくタイムトラベルをもとに話を進めているのに対し、『タイム・シップ』はタイムトラベルだけでなく量子論が描き出す世界像を取り入れている。その結果、ふたたび未来に戻った時間旅行者は、前に戻ったときと別の世界を目撃する。タイムトラベルするとういう行為自体が、時間の流れを大きく狂わせてしまったのだ。

『タイム・マシン』の話のほうで行ったのは80万年後の世界である。『タイム・シップ』では今回もその世界に行き、最初の時間旅行で出会ったエロイ族のウィーナを救おうとしたのだが、80万年後の世界にはたどり着けず60万年後の世界に「不時着」してしまった。そこは前回の旅では存在していなかった高度な文明が栄えた世界だった。

『タイム・マシン』では1往復しかしなかった時間旅行も本書のほうでは、何度も繰り返される。また60万年後の未来で知り合う「相棒」も登場し、最後までよき友として時間旅行者と行動をともにする。

本書の面白さは、タイムトラベルによって着いた先々の世界の描写が予想を超えたスケールであることだ。よくもまあこんな世界を思いつけるなあと感心させられる。未来旅行するだけでなく、とてつもない過去にも行くことになる。そして過去への旅として「究極の目的地」が設定される。それがどこなのかは書かないでおくことにしよう。

このように話はどんどん膨らんで続いていくから、とりとめがなくなるものだ。最後はどのように結ぶのかと気になりながら読み進むと「ああ、なるほど!」という結びでこの長編小説は締めくくられる。心地よい読後感だった。

「科学的にこれはあり得ないだろ。」とツッコミを入れたくなる箇所はいくつもあるし、降りかかった難題が都合よく解決してしまうところも多い。けれどもSF作品なのだし、壮大な話をこれだけ楽しませてもらっているのだからそういった箇所も許せてしまうのだ。


『タイム・マシン』を読んだ人は、ぜひこの作品もお読みになってほしい。hirotaさん、面白い本を紹介していただきありがとうございました。


2015年に刊行された「合冊版」はこちら。

タイム・シップ:スティーヴン・バクスター」(Kindle版




格安の中古本をお求めの方は、こちらがよいだろう。

タイム・シップ〈上〉:スティーヴン・バクスター
タイム・シップ〈下〉:スティーヴン・バクスター

 


原書でお読みになりたい方は、こちらをどうぞ。ハードカバーのは高いのでKindle版がお勧め。

The Time Ships: Stephen Baxter」(Kindle版




関連記事:

タイム・マシン(創元SF文庫):H.G.ウェルズ
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/8da7aa290936e09141fb075eb9e6af31


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