とね日記

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寺川奈津美の気象講座 秋の気象と台風(朝日カルチャーセンター立川教室)

2017年09月10日 00時57分17秒 | 理科復活プロジェクト

寺川奈津美の気象講座(朝日カルチャーセンター立川教室): 詳細

講師紹介:
寺川奈津美(てらかわなつみ)
ホームページ(個人):https://sites.google.com/site/natumikann541/
Twitter: @natumikann541
気象予報士、気象キャスター。
1983年、山口県下関市生まれ。慶応義塾大学理工学部応用化学科卒業。第5回矢上祭で行われた理系美人コンテスト『ミス矢上』で初代グランプリを獲得。塾講師を経て、2008年よりNHK鳥取放送局のキャスターを務める。同年、気象予報士資格を取得。
2011年4月より『NHKニュース7』の気象情報を担当。2016年4月よりフジテレビ「直撃LIVEグッディ!」お天気コーナー担当。
【新・お天気キャスター!】寺川奈津美さんがスタジオに初登場!ブログ班が直撃!
http://blog.fujitv.co.jp/goody/E20160404001.html
テラカワのお天気マニア
http://blog.fujitv.co.jp/goody/C4713.html




今日は年に1度の「リケジョ萌え」の日である。おまけに前日に投稿した「自然法則: 量子力学による古典物理学の謎の解明」という記事のアクセス数が予想外に多いので、朝から気分は絶好調だ。

9月9日の土曜は朝日カルチャーセンター立川教室で、寺川先生の気象講座を受講してきた。昨年9月以来、3度目である。もちろん超人気講座なので早い段階で満席になっていた。

講座の開始は午後1時。早めに行って昼食をすませてから列に並ぼうと思って1時間半前に会場に着いたのだが、ちょうど整列開始というタイミングだったのでそのまま僕も列の後ろに着くことに。昼食は講座が終わってからとることになった。

台風や大雨、大雪、異常なほど高温が続くように気象災害への警戒が予想されるときは寺川先生のお天気コーナーで通常の気象情報の枠以外で詳しく解説するので録画して見るようにしている。

気象に関する知識は中学生の頃、天体観測に熱中していたころに集中的に学んでいたくらいだから、NHKの気象情報でも解説しないくらい詳しい寺川先生の解説はとてもためになる。

気象キャスターの中での人気はおそらくダントツで1位だと思う。アイドルには関心がない僕でも惹きつけられているのは、おそらくリケジョ萌えだ。

1年ぶりで爽やかで溌剌とした寺川先生の講座を受けられる。毎年の恒例行事になりつつあるのはうれしい限りだ。

時間になり寺川先生と朝日カルチャーセンターの担当スタッフが登壇。昨年までの新宿教室で行われた講座は70人教室だったが、今回は小ぶりの30人教室。講座が始まるまでに壁際にも椅子が置かれたので、受講者はおよそ40人くらいになった。

登壇された寺川先生は、ベージュ色のワンピース。スクリーンに映し出されたスライドを確認して講座が始まった。

まず、著書の宣伝。本を書くに至ったいきさつをお話しされた。これまでの講座に受講されたか、本をすでに読んだか、「直撃LIVEグッディ!」を見たことがあるか、など受講者がどれくらいの知識を持っているかを確認。朝日カルチャーセンター以外にも講演をしているので、余裕綽々とした感じだ。


NHKでの仕事とフジテレビでの仕事の違い

寺川さんは5年間『NHKニュース7』の気象担当を務めて、昨年4月からフジテレビの「直撃LIVEグッディ!」でご活躍されている。硬派なスタイルからくだけたスタイルへと大きな変化があったわけだが、2つの職場の違いや「激動の1年」をとても楽しそうにお話された。以下箇条書きで紹介しよう。

- 体調を崩したとしてもNHKには気象キャスターを他の人に代わってもらえる。
- 直撃LIVEグッディ!ではアドリブのスキルがとても重要。安藤さんは何を質問してくるか予想がつかないので、適切な返事を返すように努力している。
- 『NHKニュース7』での掛け合いは台本があり、そのとおり進めなければならない。自然に見せるのが大変。
- 直撃LIVEグッディ!では夏休みは台風シーズンが終わる11月からとる。
- 直撃LIVEグッディ!では番組の雰囲気や流れの中に気象コーナーがあるということを心がけて仕事をしている。
- 直撃LIVEグッディ!では月に一度、出演者でご飯を食べに行く(つまり飲み会)。安藤さんか高橋(克実)さんが連れて行ってくださる。この時間はとても大切。
- 直撃LIVEグッディ!では安藤さんが素の私(寺川さんらしさ)を引き出してくれる。
- 予報が外れたとき、NHKでは釈明する機会がなく、釈明するくらいなら次の予報をしっかりやれと言われる。
- 予報が外れたとき、直撃LIVEグッディ!では「寺川さん、雪になるって言ってなかった?」と突っ込まれるので、釈明すべきかすべきでないか非常に悩む。気象予報士としてのプライドと自分の印象を保つというジレンマ。上手にかわせるようになりたい。
- フジテレビへは「とくダネ!」が始まる頃に出社し、『NHKニュース7』を見てから退社している。
- NHKでは放送開始前にブリーフィングを行ない、当日の気象についてNHKの見解として他の気象予報士と伝える内容をまとめる。(フジテレビではブリーフィングはしない。)
- NHKでは尺(話す時間)が厳密。秒単位での調整が求められる。
- そのおかげで現在は残り時間が5秒、10秒あるとき何を話せばよいか考えて話すことができるようになった。
- NHKでの伝え方は教科書のように分かりやすくを心がける。
- 直撃LIVEグッディ!での伝え方では、「絵の見せ方へのこだわり」がある。
- 上司は厳しくて怖いが、とても自分のためになっている。
- 直撃LIVEグッディ!での伝え方では「自分自身がちゃんと生きること」が重要。つまり運動会や季節のイベントなど視聴者が日ごろの生活でどのように気象情報を必要としているかを考えて伝える。そのためには自分が「普通の生活をちゃんとしていること」が大切だと考えている。


秋の雲の話

寺川先生のツイッターをご覧になっている方はご存知だと思うが、ご自身で撮られた美しい夕焼けや雲の写真をたびたび投稿されている。フジテレビがあるお台場からの景色は最高で、NHK勤務とは大きく違う。スライドで雲の写真を順番に映されて「この雲の名前は何というでしょう?」と受講者に質問を投げかけていらっしゃた。受講者の多くは他にも気象講座を受講していたり勉強していたりするものだから、たいてい間違えることはない。次のような雲と気象との関係を説明された。

- 積乱雲
- かなとこ雲(圏界面の説明)→ 寺川先生はいちばん好きな雲なのだそうだ。
- うろこ雲、いわし雲(巻積雲)、ひつじ雲(ひつじ雲のほうが塊が大きい、親指の範囲より大きい塊)
- 波状雲
- V字型に映った飛行機雲の写真

この後、台風5号が通過した後の美しい夕焼け雲の写真を映された。夕焼けの色彩が変化するのは空気中の塵の影響によるもの。放送終了後に外に出て写真をとる夕暮れ時の時間が寺川先生にとって至福のときだという。特に彩雲はぜひ直接自分の目で見てほしいとおっしゃっていた。

家族旅行では、雲の写真を撮るのに熱中していたため、旅行のスケジュールが遅れて母親からおこられたという話もされた。


日本列島の気象を左右する4つの高気圧の話

日本の気象を左右する4つの気圧との話をされた。

- シベリア高気圧(大陸性、乾)
- 移動性高気圧(大陸性、乾)
- オホーツク海高気圧(海洋性、湿)
- 太平洋高気圧(海洋性、湿)

今週の予報が外れまくったのは秋雨前線の位置が予想より南にずれてしまったため。


台風の話

台風: 熱帯の海上で発生する低気圧を「熱帯低気圧」と呼びますが、このうち北西太平洋(赤道より北で東経180度より西の領域)または南シナ海に存在し、なおかつ低気圧域内の最大風速(10分間平均)がおよそ17m/s(34ノット、風力8)以上のものを「台風」と呼びます。

発生地域の違いで「サイクロン」、「台風」、「ハリケーン」と呼ぶ。

予報円: 70パーセントの確率で進むと予想されるエリアを示す円。(円が台風の大きさと誤解しないように注意。)

講座で紹介されたものではないが、これは僕が生まれた頃に使われていた台風の進路予想図。今とは比較にならないほど粗い。



台風はそれ自身ではほとんど移動しない。まわりの風に左右されて動く。(偏西風、太平洋高気圧)


2016年の台風10号の話: 初めて東北に上陸した台風。老人ホームが被災した。

「楽ん楽ん」9人犠牲 高齢者施設、どう防災 綿密に避難計画策定/立地場所のリスク確認
https://mainichi.jp/articles/20160925/ddm/016/040/008000c

雨量が増える予報はあったが、想定外の雨量になってしまった。夕方になって役所は電話応対に追われて避難指示が出せなかった。

気象予報士として、そしてニュースキャスターも避難指示を適切に出せなかったことを後悔している。

避難した人もいて、その方は昔の水害の経験を生かし、安全と思われた家に避難していた。


2011年の台風12号の話: 寺川先生が気象キャスターになった年

紀伊半島で山の斜面が深層崩壊を起こした台風として知られている。予報では30ミリの雨がじわじわと降るとされていた。しかし実際は1000ミリの豪雨により深層崩壊がおきてしまった。

2011年台風12号により,紀伊半島において発生した深層崩壊
http://www.slope.dpri.kyoto-u.ac.jp/gallery/top_flash/dsl.html

寺川先生は自分の言葉で「いますぐ逃げてください!」と言えたのではないかと思っている、どのくらい自分が危険度を感じていたかによって伝わり方が違う、助かった人がいたかもしれないと反省しているとおっしゃっていた。

僕の感想: 深層崩壊という言葉がこの台風によって知られるようになったことから、この災害は本当に「想定外」なのだと思う。東日本大震災を経験した後のこととはいえ、NHKが災害避難呼び掛け放送を「命令口調」へ変更したのは翌年3月、そしてそれは津波を想定したものだった。2011年8月の台風12号に際して強く避難指示をするのはかなり無理なことだと僕は思うのだ。とても悔しいことだが、この災害の原因は予報の精度にあったと思う。


大曲の花火の話:

前日に大雨が降ったが、翌日には花火を見れた。1か月前にも大雨があったが状況が違っていた。(住宅地の被害が大きかった。)

寺川先生は2つの大雨の違いを把握しておくべきだった、河川についての知識を増やしておくべきだったと反省されていた。

九州北部の豪雨: 中小河川の災害
鬼怒川の豪雨: 大河川の災害

気象以外にも河川の知識を増やしたい。今後、気象予報士に求められる能力は気象以外についての知識が求められる。どのような知識が必要なのか、これから探っていきたい。気象予報士として求められる人材にも、その点が重要である。


講座はこのようにして締めくくられた。

質問コーナーは設けられなかったが、もしあったとしたら次のようなことを聞いてみたかった。

- 「直撃LIVEグッディ!」で仕事を始める前には進行方法や仕事の進め方など、準備に相当の時間が必要だと思うが、直前までNHKでお仕事をされていたと思う。どのようにこなしていらっしゃったのか?
- 雲や月の写真を撮影するときの機材はどのようなものを使っているか?
- 年々、気象災害の激しさは増しているが、それに伴って気象予報士試験や教本の内容も変化しているのか?
- フジテレビでも他の番組で気象予報を担当している人がいると思うが、情報交換などをする機会はあるのか?
- NHK勤務の頃は代々木公園でランニングをされていたが、いまはどうなのか?

あと全体を通して次のことを僕は思った。今回は気象がテーマなのでカバーされなかったが、私たちは気象災害以外にも、地震や津波、火山災害、火災(、そしてもしかすると原発のメルトダウンや北朝鮮による攻撃)など避難を必要とするあらゆる危機に目を配らなければいけない状況にある。自然は虚を突いた形で災害をもたらすものだ。それぞれ避難対象地域や避難方法は違うと思うが、「避難」という共通の事がらを主軸に置いて防災や伝達方法や避難計画策定を準備するのがよいのではないだろうか。

精度の高い予測から迅速で的確な避難警告、避難行動の最適化、避難後の生活を維持する方法の確立、効果的なインフラ整備など科学や技術、人工知能研究を活かすべきテーマは山のようにある。防災はとかくお金がかかり目に見える利益を生み出さない。平常時の経済活動と関連付けて進めることも必要だと思った。


著書の販売、サイン会

講座の後は著書の販売とサイン会である。2冊目の購入となった。自分の順番がきたとき、名前を言って本に書いてもらうのだが、僕がもじもじしているうちに寺川先生が「とねさんですね。」とおっしゃってくださったので「あ、覚えてくれていたんだ!」と嬉しくなった。そのようになったのもこのブログを書いていたおかげだと思う。昨年のサインは「とねさん」だったが、今年は「とね様」に昇格。w




今年の講座もとても楽しく過ごせました。予想外のこと、判断に迷うことはこれからもたくさんでてくると思いますが「なっちゃん」の持ち味を生かして切り抜けていくことを願っています。寺川先生ありがとうございました!


寺川先生の著書はこちら。

気象キャスター寺川奈津美 はれますように~未来はきっと変えられる」(感想記事


内容紹介
人気の気象キャスターが初めて語る
気象予報士の仕事、そしてプライベート

NHK 『ニュース7』の気象キャスター(平日担当)として活躍する寺川奈津美さん。 6回目の受験でようやく合格した気象予報士試験の苦労談から、気象キャスターの仕事の魅力、プライベートまでを赤裸々に語ります。
寺川奈津美さんは慶応大学理工学部卒の、いわゆる“リケジョ"。卒業後、いったんは一般企業に就職しますが、仕事になじめず1年で退社。その後、故郷・山口県下関市に戻り、アルバイトをしながら気象予報士の試験勉強に専念するが…。
これから「気象予報士」を目指す人はもちろん、目標や夢を諦めずに追いかける人たちにエールを贈るエッセイ集です。
「自分には認めてもらえるものが何もない」

ダメダメな自分に終止符を打つべく
気象予報士試験に6度チャレンジ。

『とにかく自分に自信がほしかったのです。
難関といわれる資格を取れば、
「頑張った証」をもらえる気がしました。
ダメダメな自分に終止符を打ちたかった』


会場を後にして

講座が終わり、ようやく昼食にありつけた。1つ下の階でチキンカツカレーを食べてから地元の笹塚のカフェに移動してこの記事を書き始めたわけである。




この日の夜9時から、タイミングよく気象に関する番組が放送されたので、気象ずくめの一日を過ごすことになった。この番組はいたずらに不安を煽るのではなく、気象予測に関して現在行われている研究の最前線をいくつも紹介しているのがよかった。再放送は2017年9月14日(木) 午前1時00分(50分)総合テレビ。

NHKスペシャル MEGA CRISIS 巨大危機Ⅱ 第2集「異常気象」
https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/46/2586957/index.html


関連記事:

気象キャスター寺川奈津美 はれますように~未来はきっと変えられる
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/bd5b4615a4468919445a010183866934

寺川奈津美の気象講座 秋の気象と台風(朝日カルチャーセンター)- 2016年9月
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/eb9ab40025ffeb53d6b5f9b9fc91e94e

寺川奈津美の気象講座(朝日カルチャーセンター)- 2015年10月
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/960f1e03a34fd2e3727b65252ea96159

知識ゼロからの異常気象入門:斉田季実治
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/0294a67d1755964cb572b65f029624e4


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