末期高齢者になってしまった老人の日記

我が家の花の写真を中心に、日々の暮らしの中で起きたこと等を書かせていただきます。

ローマ その6 ナヴォーナ広場 2 噴水

2012-02-29 09:33:45 | 海外旅行
今日はナノーヴァ広場の噴水についてご紹介します。

四大河の噴水

四大河の噴水全景

広場の中央にある四大河の噴水は
4つの大陸を流れる大河、ガンジス河(アジア)、ナイル河(アフリカ)
ラプラタ河(南アメリカ)、ドナウ河(ヨーロッパ)を擬人化した
4人の男性彫像を配した岩礁と
その中心に空高く聳えている古代エジプトのオベリスクから出来ています。

この噴水はイノケンティウス10世の法王就任を記念して
法王の依頼で1651年ベルニーニの設計により作られたものです。

オベリスク

泉の中心にあるオベリスクの頂上には、
聖霊のシンボルであるオリーブの小枝を備えたハトと
法王イノケンティウス10世一族Pamphili家の家紋が付いており
その下に4つの大陸の4つの主な川を表わことで
法王権がそこに広がっている事を表しています。

このオベリスクは、西暦80年のローマの大火の後に建てられたものですが
その後6世紀には倒れて5つの断片に壊れてしまいました。

法王イノケンテイウス10世は、この広場に噴水を作る際
壊れたオベリスクを再建することを思いついたのだということです。

次に四大河噴水の擬人像について詳細に見ましょう。

四大河噴水東側の擬人像

東側。左ガンジス川、右ナイル川の擬人像

左はガンジス川、右がナイル川の擬人像で、中央には椰子の木があり
椰子の木の根元近く、写真下中央にライオンが吠えています。

ガンジス川

ガンジス川の擬人像

ガンジス川の擬人像は最も立派な顔をしており
下に鎌首をもたげる蛇を櫂で従えています。

ナイル河

ナイル河

ナイル川の擬人像は、布を被って目隠しをしており
それはナイル川の水源がわからないことを意味しています。

この目隠しに関連して次の様な話が語られています。

噴水の向かいにあるサンタニェーゼ聖堂は前述したように
当時ベルニーニと並びバロック芸術の担い手として活躍した
建築家ボッロミーニが設計しました。
この二人はいつもライバル心を燃やしていた様です。

そのため、布を被っているのは「見るに堪えない教会」だからという事で
ベルニーニがボッロミーニに向けた皮肉という話です。

ただ実際には噴水が完成したのは1651年
教会はその4年後に完成しているので不仲を揶揄したローマ人の作り話です。


4大河西側の擬人像

西側。左ラプラタ河、右ドナウ河

左にラプラタ河、右にドナウ河の擬人像があり、中央洞窟には馬がいます。

ラプラタ河(Rio de la Plata)

ラプラタ河

左のラプラタ河の擬人像は、アメリカがヨーロッパに提供出来た富のシンボル
コイン(plataはスペイン語で銀を意味します)の上に座っています。

ドナウ河

ドナウ河

ドナウ河がローマに近い大河川であるので
右手でローマ法王の盾形の紋章に触れています。
上の写真ではそれが見えませんので、像は裏側になりますが
次の写真で紋章がご覧いただけます。

紋章に手を触れるドナウ河

各擬人像に加えて、沢山の花、外来植物、それに馬、クジラ類、ヘビ、イルカ、
ワニ、ライオンおよびドラゴン等の動物で飾られています。


ムーア人の噴水

ムーア人の噴水

ナヴォーナ広場南側の噴水です。

ムーア人の噴水は、底にピンク大理石が敷かれており
イルカと格闘する逞しいムーア人の銅像の周囲を
4対の少しおかしな顔をしたトリトン像と
これもおかしな顔をした小さな像が取り囲んでいます。

ムーア人の噴水。上の写真の反対側

この噴水には次の様な色々の出来事がありました。

噴水は最初Giacomo della Portaの設計で1575年に
イルカおよび4つのトリトンからなるものが作られました。

1653年になって、中心像としてベルニーニのデザインになる
イルカに乗る逞しいムーア人(多分元々はネプチューンを意味したと思われます)
の彫像が加えられ、噴水はムーア人の噴水と呼ばれる様になりました。


付け加えられたムーア人の中央像

更に1874年には、噴水の改修中にオリジナルの彫像は
市内のボルゲーゼ公園市内のボルゲーゼ公園に移され
現在ここの噴水に設置されているのは、その時作られた複製です。

そして2011年9月3日早朝
侵入者が噴水内の像や小さな彫刻類をハンマーで
破壊するという被害を受けました。

破壊された大理石の塊は全て回収されており
元通りに修復されたと思います。


写真左の顔だけの像も破壊された様です

ネプチューンの噴水

ネプチューンの噴水。先には四大河の噴水

広場北側にあるネプチューンの噴水は
蛸と闘うネプチューンの堂々とした彫像が中央に立ち、周囲には
ネレイス神話をベースニしたキューピッドやニンフと海象の彫刻があります。

蛸と闘うネプチューンと美しいニンフ

実はこの噴水にも色々の歴史があります。
16世紀になってローマで送水管の整備が進むにつれて
幾つかの公共の泉がつくられるようになりました。

法皇グレゴリウス13世により、
ムーア人の噴水を設計したPortaのデザインで1574年に作られたここの噴水は
当初は彫像の無い泉でした。

池の下方部分は、白い大理石
そして上の部分はこの地の石でつくられました。
それ以降300年の間、泉は彫像なしで存続しました。

19世紀になってローマのインフラ整備が進んだため
泉は飲み水や洗水の目的に使うことは減り
更に1871年以降ローマがイタリアの首都となったため泉の視覚的な重要性が増し
広場の四大河の噴水やムアー人の噴水と彫像とのバランスをとって
彫像が加えられました。

反対側から見たネプチューンの噴水全体

その結果今日残っている1878年に完成した噴水は
上述した彫像が加えられた噴水になっているのです。


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26 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
寒い! (getteng)
2012-02-29 10:26:10
ktempleさん、
法事で鹿児島に行っておりました。
留守中、コメントをいただきありがとうございました。
コメント (田舎者)
2012-02-29 10:43:37
お早うございます、

色々の彫刻と噴水素晴らしい写真ですね、見せて頂き有り難うございます。
こんにちは~ (IKUKO)
2012-02-29 11:03:08
四大河の噴水・・・立派なものなんですね!!
水は命と同じで古代から大事にされて来たんですね。
今日はそちらも雪が積もっているのでしょうね。きれいに咲いた福寿草も埋もれているのでしょうか・・・・
おはようございます (ヒューマン)
2012-02-29 11:16:28
4大河の噴水 歴史を感じますね
こういう像は日本にはありませんね。
歴史の違いなのでしょうね
Unknown (三面相)
2012-02-29 14:09:04
素晴らしい彫刻や噴水がたくさんなりますね。
歴史を感じる物ばかりですね。
Unknown (bella)
2012-02-29 14:58:42
ナヴォーナ広場と、今日の噴水の記事、拝見しました
特にこれから行こうという人には、これだけ詳しいと 
ものすごく参考になりますね
4つの大河を擬人化するなんて 見事なアイディアです!
勉強になりました
美しい奥様に 気がとられました~
Unknown (ばたやん)
2012-02-29 20:10:38
オリベスクの塔は高くて一度は倒れたのですね。ガンジス川の擬人像や顔を隠したナイル川
の擬人像は大きいですね。馬や植物や動物も沢山彫られて豪華ですね。ムーア人の噴水がハンマーで壊されたり、バランスの関係で後から彫像が作られたんですね。説明でよく分かりました。勉強になりました。
今晩は! (まっくんの館)
2012-02-29 21:09:15
素晴しい四大河の噴水そして彫像、
歴史を感じます~!
目を見張るものばかりです。
Unknown (hashiba511)
2012-03-01 07:50:36
貴重なお写真を沢山収めて来られたんですね。
小生ヨーロッパへは1度も行ったことがなく珍しく目を見張る物ばかりです。
おはようございます (imaipo)
2012-03-01 08:38:04
大きな噴水ですね
ヨーロッパにはこうしたものが現存し
素晴らしい景観を醸し出していますね
見たこともないものばかりで得した気持ちです。

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