健保のつぶやき

食事、トイレと他人様に頼る必要はないが、薬に頼る生活がソロソロ始まりました。当面は「親鸞さん」に照準。

福田医師のケトン食

2016-01-30 15:20:19 | 銀座東京クリニック

467)ケトン食が寿命を延ばすこれだけの根拠

図:超低糖質ケトン食(低糖質食+高脂肪食)は抗老化作用や寿命延長作用が確認されている。そのメカニズムとして、①糖質摂取量が少ないと、タンパク質の糖化が減少し、インスリン/インスリン様成長因子-1(IGF-1)シグナル伝達系が抑制され、オートファジーが促進され、老化が抑制される。②低糖質・高脂肪食はケトン体の産生を増やす。③ケトン体のβヒドロキシ酪酸はヒストン脱アセチル化酵素を阻害してヒストンアセチル化を亢進し、転写因子のFOXOが活性化され、酸化ストレスに対する抵抗性が亢進し、アディポネクチン産生を亢進する。これらの作用は老化を抑制し寿命を延ばす作用がある。

これは大事でしょう。もともと若さを保つため蛋白質を分解していた。それも食べる以上に。とすれば、糖質制限してエネルギーがなくなったら筋肉が痩せてくる。だから糖質制限は危険と。糖新生、脂肪がケトン体になることを一切言わないで、筋肉がやせ衰えると。こんなことであれば、まったく問題なし。糖の代わりに充分なタンパク質、脂肪の摂取をする糖質制限。なんら問題なし。なぜ誰も言わないのか。

糖質摂取を減らせば細胞や組織が若返る】  
細胞内のタンパク質は絶えず分解して新しいタンパク質と入れ替わっています。

このタンパク質の若返りに重要な役割を担っているのがオートファジーという現象です。  
オートファジー(Autophagy)という用語はギリシャ語の「自分」(オート;auto)と「食べる」(ファジー:phagy)を組み合わせた用語で、文字通り、「自分を食べる」という意味を持ちます。日本語では「自食作用」と訳されています。  
オートファジーは細胞内の一部を少しづつ分解する細胞内のリサイクルのようなものです。例えば、私たちは食事から1日50~100グラム程度のタンパク質を食べています。一方、私たちの体内では、1日に200グラム程度の自分のタンパク質をアミノ酸に分解し、それに相当するタンパク質を合成しています。つまり、口から食べているタンパク質より、ずっと多い量の自分のタンパク質を食べているのです(図)。

図:体内ではオートファジーによって1日に200グラム程度の自分のタンパク質をアミノ酸に分解し、それに相当するタンパク質を合成することによって、細胞内のタンパク質の若返りを行っている。  

肥満の子供にも、体操より糖質制限のほうが効果がある。もともと、蛋白質や脂肪が不足しのは糖分の取りすぎ。逆をすれば利の当然。

【ケトン食はアディポネクチンの産生を増やす】  
ケトン食がアディポネクチンの産生を増やす効果があることが報告されています。  
肥満した小児および青年を対象にして、低カロリー食とケトン食の代謝に対する影響を比較した研究が報告されています。(J Pediatr Endocrinol Metab. 25(7-8):697-704.2012年)  
この研究では、58人の肥満者をケトン食と低カロリー食のどちらかに振り分けて6ヶ月間の食事療法を行いました。食事療法の開始前と終了時(6ヶ月後)の比較において、低カロリー食とケトン食の両方のグループにおいて体重、体脂肪量、腹囲、空腹時インスリン値、インスリン抵抗性指数の著明な減少あるいは低下が認められました。しかし、効果はケトン食の方が高かったということです。両グループともインスリン感受性は統計的有意に上昇しましたが、活性の高い高分子量アディポネクチンの増加を認めたのはケトン食のグループだけでした。  
この論文の結論は、「ケトン食療法は、体重の減量や代謝数値の改善において低カロリー食よりも効果が高く、肥満小児の体重減量の治療法として、安全で実施可能な食事療法であることが明らかになった」と記載されています。  
この研究で最も注目すべき点は、高分子量アディポネクチンの値が、低カロリー食では有意な上昇を認めず、ケトン食でのみ増加が認められた点です。  
アディポネクチンは脂肪細胞から分泌される善玉ホルモンのような蛋白質で、肝臓や筋肉細胞のアディポネクチン受容体に作用してAMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)を活性化し、インスリン抵抗性を改善し、動脈硬化や糖尿病を防ぐ作用があります。さらに、がん細胞におけるAMPKの活性化は様々な抗がん作用を発揮します。  
アディポネクチンは血中に1分子ずつバラバラにではなく、複数個がくっついた形で存在しています。低分子量(3量体)、中分子量(6量体)、高分子量(12~18量体)です。中でも高分子量アディポネクチンが生理活性が強いことが知られていますので、活性の高い高分子量のアディポネクチンの値がケトン食で増加したことは、ケトン食が寿命の延長やがんの予防に効果があることを示唆しています。  
また、ラットを使った実験で、ケトン食が、脂肪組織におけるアディポネクチンmRNAの量を増やすことが報告されています。(J Clin Neurosci. 17(7):899-904.2010年 )  
アディポネクチンには、がん細胞の増殖や転移の抑制など様々な抗がん作用があることが報告されています。人の胃がん細胞を移植したマウスにアディポネクチンを注射すると、がんが著しく縮小したという報告があります。 

 ガンの治療予防は糖質制限は理にかなっている
ケトン食は、がん細胞へのブドウ糖(グルコース)の供給を減らし、さらにインスリンやインスリン様成長因子の産生を減らすことによって増殖シグナルを低下させるメカニズムなどによって抗がん作用を発揮します。さらに、ケトン食が寿命延長作用と抗がん作用のある高分子量アディポネクチンの産生を増やすという臨床試験の結果は、ケトン食の抗がん作用と寿命延長効果をさらに支持することになります。 




468)ケトン食が認知症を改善するこれだけの根拠

 
図:①ケトン体のβヒドロキシ酪酸はアセト酢酸に変換されてグルコースの代替エネルギー源となる。②ケトン体は神経細胞のミトコンドリアを増やし、ミトコンドリア機能を正常化してミトコンドリアにおける活性酸素の産生を減らし、酸化ストレスを軽減する。③βヒドロキシ酪酸はクラス1ヒストン脱アセチル化酵素阻害作用があり神経細胞の核のヒストンアセチル化を亢進し . . . 本文を読む
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以上のような多くの研究から、ケトン体のβヒドロキシ酪酸の血中濃度を1~2mM程度に高めるケトン食(中鎖脂肪酸を多く使うとβヒドロキシ酪酸の産生を高めることができる)はヒストン脱アセチル化酵素阻害作用や、ミトコンドリアの機能改善、グルコースの代替エネルギー源としての作用、抗炎症作用(インフラマソーム阻害作用)、脳血流改善など複数の機序でアルツハイマー病やハンチントン病などの神経変性性疾患の治療に効果が期待できると言えます。またケトン体の血中濃度を高めることは、認知機能や学習機能を高めるので、頭が良くなります。(トップの図)

471)糖尿病とインフラマソームとケトン食

 

マウスの1型糖尿病のモデル(Akita)と2型糖尿病のモデル(db/db)を使って、糖尿病性腎症(アルブミン尿で確認)を自然発症させたのち、半分のマウスをケトン食に変更した。
ケトン食に変更して8週後にマウスをして、腎臓組織の遺伝子発現の状況と病理学的所見について評価した。
アルブミン/クレアチニン比とストレス誘導性遺伝子の発現で確認された糖尿病性腎症は、2ヶ月間のケトン食で完全に正常化した。
糖尿病性腎症の病理組織学な改善は部分的であったが、これらの結果は、ケトン食によって糖尿病性腎症が改善する可能性を示している。
グルコース代謝の減少がケトン食による改善効果と関連しているかどうかは今後の検討が必要である。

糖尿病治療にケトン食を検討する時期に来ているようです。

 


73)循環器疾患とケトン食

 
図:①絶食や飢餓やケトン食で産生されるケトン体のβ-ヒドロキシ酪酸は脂肪細胞やマクロファージに発現しているGPR109A(HCA2やHCAR2とも言う)に作用し、②LDLコレステロースや中性脂肪(TG)を低下させ、HDLコレステロールを増やし、炎症を抑制し、アディポネクチンの産生・分泌を促進して動脈硬化を抑制する。③β-ヒドロキシ酪酸はヒストン脱アセチル化酵素阻害作用によって心 . . . 本文を読む
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このように次から次にβ-ヒドロキシ酪酸の薬効が明らかになると、ケトン食が様々な難病に効果を発揮するというのは、驚くことでは無くなったようです。