読書とかいろいろ日記

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『最貧困女子』 鈴木大介

2017年05月12日 | 読書日記

『最貧困女子』 鈴木大介
¥780+税 幻冬舎(幻冬舎新書) 2014/9/30発行
ISBN978-4-344-98361-8

> 「世の中の、誰にも世話をしてもらえない人をこそ、親切に世話をしてあげたいものだなあ」
>  この言葉は、正田篠枝さんという女性の書いた『ピカッ子ちゃん』という童話集の中にあった。広島に落ちた原爆の被爆者たちをケアしてきた正田さんのこの言葉を僕は子供の頃に読んだが、これこそが社会的弱者への福祉・支援の根本精神だと思う。(13頁・まえがき)

鈴木大介の根っこが、これなんだろうな。
脳関係書が好きという理由で読んだ『脳が壊れた』で、鈴木大介を知ることができたのは大きな収穫だった。
この人すごいわ。天使なんじゃないの?

 

本書でいちばん仰天したのは、北関東某地方都市の22歳女性のエピソード。
本業は事務員、週一でデリヘル嬢のバイトをしていて、そのバイトが職場にも家族にもバレている。容姿が劣っていたらデリヘルで働くことすらできない。「デリヘルで稼げる自分への誇り」がある。
時代は変わったのね……。

だからこそ、鈴木は恐れる。
精神的にも肉体的にも、さらに知能的にも問題を抱え、対人関係を築くことができず、かろうじて売春で最低限の生活費を稼ぐ最底辺の女性は、セックスワーク女子からすら糾弾され、救いのない生活は果てがない。


読了し、最貧困女子の現状に胸を痛める。……が、救いの手を差し伸べることができるかと言えば、すいません、と逃げるしかない。
ごめんなさい、鈴木さん。