昨年1年間の全国の自殺者は前年より757人少ない2万1140人で、8年連続で減少したことが1月19日、警察庁の集計(速報値)で分かった。
減少率は3.5%。
男性は22年ぶりに1万5千人を下回る1万4693人。
女性は6447人で1978年に統計を始めてからの最少を2年連続で更新した。
確定値は3月に発表する。
人口10万人当たりの自殺者数(自殺死亡率)は16.7人と0.6人改善した。
データを分析した厚生労働省自殺対策推進室は「景気回復や自治体などの取り組みにより、着実な減少傾向が続いている」としている。
政府は昨年7月に閣議決定した自殺総合対策大綱で、自殺死亡率を2015年の18.5人から2025年中に米国やドイツの水準に並ぶ13.0人以下にするという数値目標を掲げており、人口推計などを考慮すると、1万6千人以下となる計算だ。
2017年12月のデータの分析が済んでいないため、同年1~11月の集計を前年同期と比較すると、成人の自殺者は減ったものの、19歳までの世代は増加し、29人増の516人。
この世代の自殺者数はここ20年横ばい状態で、20~30代も、上の世代と比べると、減り幅が小さい傾向が続いている。
2017年10月には、神奈川県座間市で、インターネットで自殺願望を示唆するなどした10~20代の男女9人の遺体が見つかる事件も起きており、若者への効果的な対策が求められる。
加藤厚労相は「若者を対象とする会員制交流サイト(SNS)を使った相談体制の整備など具体的な対策を進める」と話している。
速報値では、31都道府県で自殺者が減少し、16県で増加していた。
最多は東京の2146人。
神奈川(1256人)、大阪(1167人)が続き、愛知、埼玉も加えた5都道府県が千人を超えた。
最小は鳥取の98人。
自殺者の増加率では、鳥取(19.5%)と三重(11.9%)の2県が10%を超えた。
減少率は和歌山(16.9%)、高知(16.6%)、岩手(15.5%)が大きかった。
都道府県ごとの自殺死亡率は、秋田(24.2人)、青森(22.1人)、山梨(21.9人)の順番で高かった。
年間の自殺者は統計開始から1997年までは2万人台で推移していたが、1998年から14年連続で3万人を超えた。
最多は2003年の3万4427人。
最少は1981年の2万434人。