厚生労働省は9月15日、2016年度に病気やけがの治療で全国の医療機関に支払われた概算の医療費は41兆2865億円で、前年度に比べて1762億円(0.4%)減つたと発表した。
減少は2002年度以来14年ぶり。
高額薬の値下げが要因だが、厚労省は「高齢化や医療の高度化による医療費の増加傾向に変化はない」としている。
1錠で約6万~約8万円と超高額だったC型肝炎治療薬「ソバルディ」や「ハーボニー」が2016年度に約30%値下げとなり、薬価と薬剤師の技術料を合計した調剤費が4.8%減少した。
これらの薬が登場した2015年度は調剤費が激増し医療費を押し上げており、高額薬の動向が全体を左右する構図が続いている。
医療機関に支払われる診療報酬が、2016年4月の改定で0.84%引き下げられたことも影響した。
2018年度の診療報酬改定でも薬価引き下げが焦点で、厚労省は効果に見合わない高額な薬を値下げする。
「費用対効果」の考え方を導入し、社会保障費の抑制を図る方針。
診療別では、入院が16兆5千億円で、全体の40.1%を占めた。
そのほかは外来が14兆2千億円(34.3%)、調剤が7兆5千億円(18.2%)、歯科が2兆9千億円(7%)だった。
―人当たり医療費は2015年度より2千円少ない32万5千円。
都道府県別では、東京が4兆4039億円と最高で、大阪(3兆1824億円)、神奈川(2兆5457億円)が続いた。
概算医療費は公的医療保険と公費、患者の窓口負担を集計したもの。
労災保険や全額自費分などを除き、医療費全体の98%に当たる。
全体額を示す国民医療費は、2015年度分が9月13日に発表され、42兆3644億円だった。