国立がん研究センターは7月22日、2006~2008年にがんと診断された約64万4千人が、5年後に生存している割合を示す「5年生存率」は62.1%だったとする分析結果を発表した。
患者が多い主要ながんは大腸が71.1%、胃が64.6%、肝臓が32,6%、肺が31.9%だった。
全体の生存率は3年前の前回調査より3.5ポイント向上。
多くの部位で早期診断が良好な結果につながることが判明した。
センターは向上を「わずか」と判断している。
統計的な基準を満たした広島、岡山、島根、鳥取の中国地方4県を含む東北から九州までの21府県の患者データを分析した。
分析に用いた患者数は過去最大規模という。
男女別の生存率は、男性が59.1%、女性が66.0%で、女性の方が6.9ポイント高かった。
部位別にみると、男性では前立腺が97.5%と最も生存率が高く、皮膚、甲状腺、ぼうこうと続いた。
女性では甲状腺(94.9%)、皮膚、乳房、子宮体部の順だった。
センターは、前立腺や乳房など予後の良いがんの患者数が増えたことが、全体の生存率を上げた主な要因とみている。
逆に生存率が最も低いのは男女とも眸臓でいずれも7%台。
次いで20%台前半胆のう・胆管で、男性は肺、女性は肝臓が続く。
卵臓や胆のう・胆管は診断時に既に進行している場合が多いという。
がんの進行度を3段階に分けて分析したところ、がんが臓器や組織にとどまっている早期の生存率は90%だったが、ほかの部位にも転移した進行した段階では14%に下がった。
年齢による生存率の差が大きかったのは多発性骨髄腫や白血病で、若い年代ほど経過が良好だった。
集計は、各府県の全ての医療機関が対象となる「地域がん登録」のデータを利用。
がん以外による死亡の影響を除いた「相対生存率」を算出した。
センターの松田全国がん登録室長は「日本の半分近い地域のデータが集まり、がん患者の平均値として精度が高まった」と話している。