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道成寺縁起絵巻が360年ぶりに全面修復され今秋公開 〈2017年6月15日〉

2017年06月15日 08時30分00秒 | 記事

安珍清姫物語の原書となる道成寺縁起絵巻

安珍の額がずれた修復前の絵巻

修復で安珍の額も元通りの姿に


 安珍清姫物語で知られる日高川町鐘巻、道成寺(小野俊成住職)に所蔵されている同物語の原書となった「道成寺縁起絵巻(国の重要文化財)」が、江戸時代(1655年)以来362年ぶりに全面修復が施された。紙の継ぎ目でずれが生じていた安珍の顔が修復されるなど、安珍と清姫の姿が鮮やかに蘇った。10月14日から11月26日まで県立博物館で開催される「道成寺と日高川~道成寺縁起と流域の宗教文化~」で、絵巻修理後、初めて公開される。

「道成寺縁起絵巻」は、日本法華経験記や今昔物語からの説話が応永時代(1394年~1428年)に絵巻物となった世に有名な道成寺霊験記の1つで、安珍清姫物語の原書。寺伝によると後小松天皇が勅筆、絵は土佐光重が描いたといわれる。上下2巻で幅31・5センチ、全長21メートル50センチ。天正時代に将軍・足利義昭が絵巻を拝観して「日本無双の縁起なり」と感嘆して花押を巻末に加えて末代の寺禄を寄附したと奥書にあり、その時に寄進された来国光の名刀も寺宝として所蔵されている。
 修復の記録は残っておらず、明治時代以降に数回の小修理が行われているとみられるが、古文書によると、1655年に当時の紀州藩主・徳川頼宣公が寄進し、本堂の修理とともに絵巻も全面的な解体修理が行われたとあり、それ以来約360年ぶりの全面修復。国や県、町と公益財団法人朝日新聞文化財団から補助を受けて約2500万円をかけ、京都国立博物館の国宝修理場で平成26年度から行われた。
 絵巻はコウゾ99%の「楮紙」と言われる紙が使用され、本体を包む布は、頼宣公が愛用していた能装束の龍が描かれた小袖の布「龍蜀江文錦」が使われている。修復作業では、絵巻の調査から解体、クリーニング、裏紙の除去、補修、表紙の修理、補彩などが2年以上かけて行われた。絵と裏打ちの紙の二重仕様だったが、今回の解体修復で両紙の間に肌打ち紙を挟み、絵巻の上下の縁に帯が加えられるなどした。安珍が現在の御坊市名田町付近を逃げている様子を描いた場面では、紙の継ぎ目で安珍の額が大きくずれていた部分などもきれいに修復された。
 同絵巻は美術館などでの公開はあるが、同寺で公開されたのは過去に3度。天皇陛下が皇太子時代の昭和58年7月18日、美智子さまとともに全国豊かな海づくり大会ご臨席のため来県された時にご覧になられたあと、平成17年は33年に一度の北面秘仏の千手観音像(重要文化財)公開に合わせて初めて地元で一般公開。その後、高円宮妃久子さまがこられた際に約1時間だけ公開されている。また、明治21年に天覧に供えられ、当時の宮内省で写されたものが皇居に収められている。絵巻の写本による絵解き説法は毎日数回、道成寺縁起堂で行われており、多くの参観者が訪れている。

解体修復で新発見も
江戸時代にも予算節約?

 362年前に徳川頼宣公によって絵巻が全面修復された当時、徳川家の名声を高めようと県内各地でも寺院などの修理が行われた。その時の絵巻解体修理には不明な点も多くあったが、今回の解体で当時の修理では、絵巻の裏紙を使い回していたことが分かるなど新たな発見もあったという。小野住職は「大がかりな修復と伝えられてきたが、裏紙をリサイクルしているなど、江戸時代にも予算を節約するという思いがあったことが分かるなど面白い発見もありました」と目を細めていた。


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