録画人間の末路 -

人は記録をしながらじゃないと生きていけない

つらい話

2017-04-22 16:25:41 | Weblog
できれば書きたくないのですが、父の状態の話です。そういう話が嫌いな方は、読まないでください。




先日書きました父の思考・記憶能力低下の話ですが、進行がかなり速いです。ただ、計算に関しては、相変わらず桁は一桁多く間違えることがあるものの、足し算引き算の区別くらいはつく程度には戻ってきました。正直桁の間違いくらいなら電卓を使って表記通りボタンを押し、表記通り書いてくれればある程度補えるのですが、父はガンとしてソロバンを使い、間違った桁を足したり引いたりするので、計算結果が相変わらずおかしくなります。出来ないのならやらずに任せてくれればいいのですが、計算は自分の仕事だとして譲らない父は意地でもソロバンを使って計算をし、わたしが記載された数値をその場で全部チェックして全部書き直す、そんな閉店作業を毎日行っています。

まぁこれはまだいいいのです。問題は日常生活の方、ややですが支障が出始めています。全体的に普段やっていたことをそのままやろうとする、のはいいんですが、細部をかたっぱしから忘れている印象で、例えばテレビ番組の録画をしたい、その中でみたい番組を再生したい、と思っても一覧表に録画された番組が表記されているにも関わらず、全く別の番組を再生して「おかしいおかしい」と騒ぐ、録画したいのに録画済番組一覧表を出して「どうすればいいんだ?」と首をかしげる。見かねた母が「わたしがやってやるよ」と申し出ると、怒ってテレビのリモコンを離さず、じーっとテレビとリモコンを眺めている、そういう状態です。

一番酷かった現象が先ほど起きました。店で仕事しているわたしを呼ぶのです。全く要件は言いませんが、これは昔からのこと、なぜか下らない用事の時は呼ぶ要件を絶対言わないのが父です。ブツブツいいながらついていき、部屋に入れられるとテレビではケーブルテレビの競馬番組が映っています。
父「ほら、テレビからは音が出ているのに、電話からは音が出ないんだ。電話から音を出してくれ」
・・・?何を言っているのかさっぱり分かりません。テレビから音が出るのと電話の音はなんの関係もありません。別に電話機が壊れたり断線したりしてつながらなくなった様子もありません。電話の音は電話をしなければ出るわけがありません。いくらそう説いても「テレビから音が出るのに電話から音が出ないのはおかしい、助けてくれ、早くしてくれ」とわめくばかり。本当に何を言っているのか理解できませんでしたが、四苦八苦の上、やっと何が言いたいか見当が付きました。電話で競馬の馬券が買いたかったんです。父は馬券を買う時は電話のスピーカーモードを利用しているので、「電話をする」を「電話から音が出る」と称したのでしょう。ただ、父はほんの3時間前まで普通にその電話で馬券を買っていました。父が電話で馬券の購入を始めたのは最近のことではありません。もう何十年も、それこそ入院中ですら馬券を電話で購入することだけは毎週欠かさなかった父が、わずか3時間の間にそのやり方を忘れてしまっているのです。その3時間の間に父がやったことと言えば軽い昼寝、テレビ鑑賞、昼食、そして薬を飲むことだけです。あまりに物忘れが早すぎます。しかし、そういわれてもわたしは電話で馬券を購入する方法なんか知りません。突っぱねて諦めさせました。しばらくすると、今度はリビングのテレビで「競馬の放送が映らない!」とわたしを呼びます。そりゃそうです、競馬専門チャンネルが映るケーブルテレビのチューナーは父の部屋にしかついておらず、時間的に地上波での競馬中継もやっていないのですから。そう説いてもダメ、「やってるはずだ、おかしいおかしい」とわめき、仕事しているわたしを何度も呼びつけて「なんとかしろ、つけろ」と言うばかり。自分の部屋で見ろ、といくら言ってもダメになっています。このわずかな時間で、電話操作に続いてほんのさっきまで見ていたケーブルテレビの存在まで忘れてしまったようです。

父の思考能力・記憶能力の低下、それ自体は避けられないのかもしれませんが、長年の習慣をわずか数時間で忘れてしまう、そんなことはあるのでしょうか? 先日、付き添いの母に頼んでここ最近の父の様子を主治医の先生に話したところ、「抗がん剤の副作用の可能性が高い」と言われたそうです。もっとも、そうでもなければ時間単位での記憶の欠如にはいくらなんでも説明が付かないですが。覚えられないのではなく、記憶を取り出すことが困難になっている、そういう状況です。ただ、「日常生活に支障がないのなら」とあまり真剣に取り合ってくれなかった模様。専門家に診せてなんとか進行を食い止めたいところですが、原因が抗がん剤治療にもあるとすると、例えば精神科医だけではどうにもなりません。ガンの先生の協力が不可欠なのですが、なんとか気を利かせてもらえないものでしょうか。
この状況に一番参っているのは、わたしでも父でもありません、母です。ここ最近の分からない要求、間違いを認めない態度、それにやたら食べ物ばかり食べたがる行動、かなり疲れているようです。今日はリビングから何度も母の父に対する怒りの声が響いてきます。父はわたしが言うことを聞かない(要求に答えようがないだけですが)ものだから、その矛先を母に向けているようですが、もちろん母とて同じこと。我慢しきれずに怒ってしまったようです。先ほど「ちょっと逃げてくるから」と買い物と称して飛び出してしまいました。
ただ、父本人がまだ終わり切っていません。さきほどから「電話で馬券を買う」だけは思い出せたらしく、予想したメモを元になんとか電話を掛けようとしています。が、手順を守っていないので、空しく電話不通を示すプーップーッという音が部屋から響くばかり。それもつかの間、延々と電話を弄っている間にレースと地上波の中継はすべて終わったにも関わらず、「早く競馬を映せ、朝からずっとやってるんだ!!!」とチューナーのつながっていないリビングテレビの前で怒鳴り散らしてこちらに無理難題を要求しています。わたしもとうとう「こっちのテレビは競馬専門チャンネルなんかつながってないんだよ!いい加減にしろ!」と怒って殴るポーズさえとってしまいました。それでも父は興奮するばかりで「早く映せ、やってるんだ!」とわめくのをやめません。中途半端に地上波の競馬中継を見てしまったのがまずかったのでしょう。今、ブログを書いているのはその喧噪から逃れるためです。

追記:この時は電話のことを思い出したと思っていたのですが、違いました。なんと、電話の子機とテレビのリモコンの区別がつかなくなっており、普通のリモコンがダメなら電話を弄ることでリビングのテレビで競馬専門チャンネルが映ると思い込んでいたようです。

父がおかしくなり始めて以来、一日一日が非常に長く感じます。わたしなどは仕事が終わってしまえば部屋に閉じこもって趣味に没頭すれば辛いことを忘れて時間を過ごせますので、まだマシな方です。仕事が終わっても寝るまで父に付き合わなければならない母の方がキツイ印象です。最近は早く寝る、と称してさっさと自室に引っ込んでしまうようですが。気休めかもしれませんが、「抗がん剤の影響によるああいった状態は元に戻るものなんだ。父は回復できるよ」と母を励ましてはいます。が、母は半分諦めている様子。
昨日、親戚がお見舞いにやってきました。その様子と、「主治医の先生が言うには抗がん剤の副作用らしい」と言うと、「ああ、そういうことにしてそれにすがっているわけね」と言われてしまいました。まぁ慰めの言葉を望んでいたわけでも協力を期待していたわけでもありませんが、落ち込む言葉です。

三歩下がって一歩戻る、を繰り返している感のある父。一歩の戻りが見られるのが救いですが、三歩の下がり方が速すぎます。しかし、今日は土曜日。明日も競馬は開催されますし、次の診察まで数日あります。それまでに父は、また何か忘れていくのでしょうか。それが母に負担をかけることでなければいいのですが。
仮に回復したとしても、数か月前の水準、わたしが父に店を数日任せられるところまで戻ることはちょっと無理でしょうね。店を休みにでもしない限り、もう東京へ行ったりするのも無理そうです。数年後には二度と行けない秋葉原などをわたしも懐かしんだりするのでしょうか。

追記:翌日曜、父は前日と異なり、ちゃんとケーブルテレビの利用の仕方を思い出し、電話機を使って競馬の馬券を買うこともできるようになっていました。この日の惨状は一時的なもので済んだようです。少なくとも一歩、戻ってきたその様子につい涙が・・・。
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9 コメント

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Unknown (アンドロメダ)
2017-04-23 14:46:16
老齢の父親にはR-1ヨーグルトは数年前から
それとオメガ3系脂肪酸とかビタミンDのサプリメントや
最近はカカオ80%以上のチョコレートとか脳の血流や血管の柔軟性などに効果が有るとされてる
のを飲ましてるけどねー

彼は元々性格が良く無くなるべく近くに寄らない様にしてるので
変化に一憂する様な関係では無い。
Unknown (krmmk3)
2017-04-23 21:40:35
>アンドロメダさん
割り切ってドライな関係の親子でいるのも一つの手なんでしょうね。
ヨーグルトや苦みの強いチョコなどはもともと父の好物で、割とよく食べています。それでも、おかしくなる時はなっちゃうみたいです。
Unknown (Unknown)
2017-04-24 07:02:59
こんにちは。

採血で、血中のアンモニアやカルシウム値は大丈夫なのでしょうか?
あと、一度は頭部CT or MRIの評価が必要に感じます
Unknown (MGF)
2017-04-24 09:02:41
こんにちは。

仕事柄多くのご老人に接しますが、認知症様症状の進行具合は様々です。特に「がん」と同時の場合は進行が急速な場合も…、そして不可逆的な案件が多いです。

いずれにしても、ご家族が倒れてしまうのは一番避けなければなりません。時には精神科の処方で落ち着く(ボーっとするとか傾眠傾向にするとか)ことも必要な時があります。ぜひ近隣の施設(できれば社会福祉法人が運営しているところ)のケアマネージャーさんに一度ご相談してみてください。

自分も30の頃に母をがんで亡くしましたが、日に日に日常を忘れていく状態に戸惑いました。専門職でも自分の身内のことは、なかなか受け入れがたいです。最後は私のことも妹のことも全く分からなくなり、入院させてもらったホスピスにお見舞いに行っても知らない他人が室内に入ってくるという感じで、話をすると16才ということになってました。でもそれは最愛の子どもたちと別れるという悲しみをなくしてくれる幸せなことなのだろうと思えるようになりました。

ぜひご家族の良い距離感を見つけてください。
Unknown (krmmk3)
2017-04-28 21:54:01
>2017-04-24 07:02:59さん
採血は病院にいくたびに行われていますし、異常があれば報告もあるとおもいます。頭部の検査は、やはり一度やらせたいですね。ただ、わたしが病院に同行するわけにはいきませんので、付き添いの母に頼むしかないのがもどかしいです。

>MGFさん
身の回りから忘れていく、という事例は聞いていますし、そうなるのが恐ろしかったのですが、今のところ、そこまで行く気配は消えました。現状は可逆な状態を保っているようなのですが、いずれは施設への相談なども必要になるのでしょうね。
こんな話もありますね (稲葉)
2017-05-20 00:50:10
恐怖のアルコール その1 (酢を昼間から飲んでいた酒豪のクラスメートの謎がようやく解けた)
http://blog.livedoor.jp/beziehungswahn/archives/28140763.html

がんの中鎖脂肪ケトン食療法  
http://www.f-gtc.or.jp/ketogenic-diet.html

抗がん剤の毒性も聞きますが、がん患者は糖質を摂取してもがん細胞に栄養を横取りされる。そもそも、糖質を分解吸収する機能自体が低下している→栄養の必要な短期記憶メモリーに影響が出る、ということのようです。

ご飯やパンをやたらと食べたがるのも、足りない栄養を補おうとする行動ですが、結局インシュリン抵抗性が高まっているので解消されない。

上の世代にご飯やパンを制限させるのは難しい事ですが、日清のマクトンオイルなどを利用した、糖質制限食に切り替えたほうがいいと思います。
Unknown (krmmk3)
2017-05-22 00:25:18
>稲葉さん
それなりの食事量をとっている父ですが、なかなか肉がつきませんし、実際ガン細胞に栄養を取られている、というのはあると思います。
ただ、糖質制限、というのもちょっと疑問もあるんですよね。むしろある程度糖分は必要なのではないか、とさえ思ってます。
糖質制限もいろいろあって (稲葉)
2017-05-23 18:34:55
糖尿病向けのものから、ライザップのようにダイエット目的にがん対策と、それぞれ方針が異なっています。

進行速度の速いがんだと、未知の形で糖質以外からもエネルギーを得ているとする説もあり、全てをこれだけで解決するというのは困難のようです。

ただ、現状の理論上では糖質を減らしてケトン体を増やすのは、全てのがん細胞の増殖を阻害するので、やって損はないと思います。

がん向けの糖質制限にしても、一週間に1~2度ほど軽い糖質摂取をして「リセット」をかけた方がいいという主張もあって、各自が合うスタイルを模索しています。

がん細胞が筋肉を分解していくので、糖質よりは魚や肉の摂取を優先し、たくさん食べるのが無理ならドラッグストアで売ってるEPAやBCAAの錠剤を摂って補うのも手です。
筋トレでがん克服という話も、間接的な糖質制限になっています。

一発でがん細胞だけを殲滅する方法は今のところありませんが、増えていく過程1つごとに少しずつ邪魔をすることで、全体的にはそれなりの効果が期待できるのでは、と今もいろいろ調べたり実践しています。

参考になれば幸いです。
Unknown (krmmk3)
2017-05-25 00:17:57
>稲葉さん
父はそれなりの年齢である点と、発覚してから全く主要に成長が見られない点から、少なくとも進行速度の速いものには見えません。
なるほど、たまに軽い糖質制限くらいなら具合もよさそうですね。ちなみにまだたくさん食べられます。「焼肉くいに行きたい」とか平気で言いますし。筋トレはできるほどの筋力がないのでまだ難しいみたいですが、3か月前と比べるとようやく重いものも持てるようになってきたみたいですし、少しずつ運動させるくらいならいいかもしれないです。

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