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三井物産、減損にめげず資源に活路

2016年12月28日 | 社会・経済

三井物産の飯島彰己会長が16日、ロシアとの経済協力の一環で北極圏の液化天然ガス(LNG)開発の覚書に署名したころ。地球の裏側のブラジルでは安永竜夫社長が資源大手ヴァーレの鉄鉱山の開所式に出席した。どちらも同社が重視する資源プロジェクトだ。

三井物が資源分野で攻勢を掛けている。2017年3月期に米国の原油・ガス権益など4件で新規投資を決めた。総額で1500億円を超えるとみられる。来期から始まる3カ年の新中期経営計画では「強い資源をより強く」(安永社長)する方針で、資源投資に慎重な競合とは一線を画す。前期に巨額の減損損失を計上したが、「資源商社」に活路を見いだした。

   

「稼ぐ力」は黒字

今月5日には英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルから米メキシコ湾沖合の権益取得を決定。三菱商事にも持ちかけられた案件だが同社は動かず、三井物の資源権益への積極姿勢が浮き彫りになった。

 資源分野を中心に約3500億円の減損損失を出し、前期に戦後初の最終赤字に転落した三井物。それでも強気を崩さないのには理由がある。

 読み解くカギは、企業活動で得る現金収入を示すキャッシュフロー(CF)だ。「稼ぐ力」を示す指標は、最終赤字と違う景色を映す。資源分野で、在庫処理の影響などを除いた基礎営業CFは前期も3400億円強の黒字だった。

 減損を計上したのは、権益獲得競争の中で11~12年ごろに高値づかみしたチリの銅鉱山などだ。60年代から保有する鉄鉱石や原油・ガス権益の多くは、安価に取得したため資源安の影響が軽微だった。安永社長は今後も「我々にしかアクセスできない資産を徹底的に安く買う」と力を込める。

 市況悪化は収益に大打撃を与える半面、上昇は恩恵をもたらす。権益を安価に得れば効果は大きい。例えば鉄鉱石。三井物が提携するヴァーレが鉄鉱石1トンの生産に必要な現金ベースのコストは10ドル台前半だ。輸送費などが掛かるため実際の損益分岐点はもう少し上になるが、9月まで50ドル台で低迷した市況は足元で80ドル程度で推移する。

 鉄鉱石1トンあたり1ドルの上昇は年間の純利益を約32億円押し上げる効果がある。三井物は11月に今期業績の予想を上方修正した。製鉄用材料となる石炭だけではなく、鉄鉱石でも利益が期初予想を上回る見通しだ。

 もっとも、投資家にとって巨額減損の記憶はまだ新しい。三井物は営業活動と資産売却で得たキャッシュの範囲内で株主還元と投資をする枠組みを設定。投資額に制限を設けて高値づかみを防ぐ狙いだが、三菱商は資源分野での新規投資には保有資産を売却して原資を用意し、規模を増やさないルールを設けた。

ブレーキは必要

  相対的に三菱商の投資規律は厳しくなり、高値づかみの危険は減る。野村証券の荻野和馬クレジットアナリストは「三井物はチャンスでアクセルを踏みやすい一方、ルールがない分、リスクは大きくなる」と指摘する。

 三井物の株価は商品市況の回復を背景に9月末比で2割上昇したが、株式市場では高値づかみを警戒する雰囲気は根強い。投資家を安心させる程度の「ブレーキ」は必要だ。「資源分野の変動を抑える」(松原圭吾最高財務責任者)仕組みを盛り込むべく、同社は次期中計を議論する。

 資源に比重を置く三井物に対し、ライバルの伊藤忠商事は中国事業、三菱商は非資源分野の成長に注力する。同じ「総合商社」とはいえ、大手3社の戦略は異なる。リスクを減らしつつ、利益を最大化するのはどこか。投資家も選球眼を問われている。

=12/28 日経web

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