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三井金属「極薄スマホ材料」の知られざる実力~シェアほぼ100%、なければスマホが作れない

2017年06月19日 | 社会・経済

世界中でスマートフォン(スマホ)の普及が拡大し、今や年間の出荷台数は15億台を超える。2016年以降、成長がやや鈍化してきたとはいえ、今後も3%以上の伸びが見込まれている。

そのスマホ向け材料でほぼ100%のシェアを握る日本企業がある。非鉄金属大手の三井金属だ。ここ数年、スマホの小型・軽量・薄型化は目覚ましいが、それを材料面から支えてきたのが同社である。

三井金属は極薄銅箔をほぼ独占供給する。読んで字のごとく、極めて薄い銅箔である。製品名は「Micro Thin(マイクロシン)」。スマホの中にあるパッケージ材料として、微細な回路に適した薄さと、剥離の際の強度を併せ持った製品だ。

従来の5~6倍の使用量

銅箔事業は三井金属の大きな収益柱に育ったが、ここにきてその拡大に拍車がかかっている。これまでの用途は、アプリケーションプロセッサー、メモリ、モジュールといったパッケージ基板向けだったが、マザーボードであるHDI基板(ビルドアップ基板)へも用途を拡大し、今年度から本格販売に踏み切る。

マザーボードには多くの電子部品を固定し配線する。パッケージ基板と比べて、面積が大きく、基板層数が多い。つまり、極薄銅箔がより多く使用されるということだ。スマホ1台当たりで見ると、パッケージ基板の5~6倍の使用量になる。

5月中旬、三井金属はこの極薄銅箔の生産体制を見直し、大幅増強すると発表した。

現在、銅箔の主力工場である上尾工場は、月産150万平方メートル。フル生産状態が続いている。そこでマレーシア工場の生産量を2018年1月までにほぼ倍増の月産120万平方メートル、さらに7月までに月産180万平方メートルに引き上げ、合計で月産330万平方メートルとする計画だ。

今年度は平均で月産173万平方メートルを見込んでいるが、すでに数社に対してHDI向けにサンプル出荷を終え、本格販売に向けて増産体制を整えている。

生産量の単位は「平方メートル」

ここで注目したいのは、生産量の単位が重さを表すトンではなく、面積の平方メートルであること。薄さが重要な製品ならではの単位だ。幅1.3メートルで、長さ1万メートルまで連続して生産可能。これをロールにするのが一般的な出荷形態だが、顧客の要望でシート状で出荷するケースもあるという。

この「極薄」銅箔はどの程度薄いのか。その薄さの進展は、三井金属の銅箔事業の歴史でもある。

1995年ごろから試験的な生産をしていたが、1999年ごろから携帯電話のパッケージ基板向けに出荷が始まった。大きく伸びたのは2006年以降。iPhone発売の前の年からである。

「最初は70ミクロン(1ミクロンは100万分の1メートル)、35ミクロンから、それが18ミクロン、さらに12ミクロン、5ミクロンと薄くなっていった。現在の極薄箔は2ミクロンが主流で極薄箔全体の約8割、顧客の要望で1.5ミクロンのものも生産している。技術的には1ミクロンまで対応が可能だ」と、入社以来銅箔一筋の三澤正幸・執行役員銅箔事業部長は振り返る。

三井金属が銅箔事業を手掛けていることは、実は業界関係者の間でもあまり知られていなかった。きっかけは、2011年の東日本大震災だった。携帯電話やスマホの生産でサプライチェーンの問題が表面化したことで、三井金属の存在が知られたという。

マレーシア工場はBCPのためだった

「ほぼ独占」というスマホ向け極薄銅箔では、供給責任も求められる。「実は、今回増産投資をするマレーシア工場は、もともとBCP(事業継続計画)のための製造ラインだった」(三澤事業部長)。そのマレーシアは今後、主力の上尾工場をも上回る生産工場となっていく。

三井金属は多くの特許も所有している。銅箔を剥がす有機剥離層といわれる技術や基板そのものに関するものなどさまざまだ。

国内の主要な特許は2019年3月までに切れるが、だからといって他社の追随は簡単ではなさそうだ。「生産技術そのものが長年積み上げてきたものであり、そう簡単に持てるものではない」(三澤事業部長)。マレーシア工場も上尾工場と遜色ない技術レベルになっているという。

今後は自動車分野も有望だ。電子化や自動運転技術が進む中で、部品の小型・軽量は必須条件。半導体などパッケージ基板を使った部品が増えていく。三井金属の極薄銅箔が活躍する場は、ますます増えそうだ。

=6/16 東洋経済オンライン  
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