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中国:伸びるリサイクル産業~三井金属 現地に足掛かり築く

2016年12月20日 | 社会・経済

成熟化した経済の中で、先端の高付加価値分野とともに今後の伸びが期待されるのがリサイクル産業だ。今年3月の全国人民代表大会でもリサイクル法制について扱われている。リサイクル産業は地産地消とされ、中国でもさまざまな企業が参入し始めている。貴金属やレアメタルの省材料化によってスクラップの低品位化と同時に環境規制の機運が高まっており、中国側も日本企業の持つ高効率かつ低環境負荷型のリサイクル技術に注目している。

ただ、日系企業を含む海外企業の参入は容易ではない。当局による許認可の関係や立地の確保、集荷システムの確立など課題は多い。現実的には現地有力企業との連携が鍵になる。そうした中で先行するのが、三井金属子会社の上海三井鑫云貴稀金属循環利用(上海市金山区)だ。

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上海三井鑫云貴金属循環利用は、三井金属が80%、現地で廃バッテリーなどのリサイクルを手掛ける上海鑫云貴金属再生が20%を出資し、06年に設立され、07年に操業を開始している。上海市内の工業地帯である金山区張堰鎮工業区に事業所を置く。ISO140001、電子廃物折解利用処置許可、危険廃物経営許可証などを取得しており、中国国内の生産工場などで発生する基板、コネクター、リードフレーム、めっき材料、スラッジ、電池などの電子スクラップを集荷・処理し、金、銀、粗銅などを回収・精製している。

年間処理能力は乾式工程2400トン、湿式工程2600トンの計5000トン。スクラップの種類に応じて処理プロセスを組み合わせ、高効率な回収を実現する。湿式工程で使用するシアン化合物や塩酸、王水などの取り扱いには注意が求められる。乾式工程では還流炉などの設備を日本から持ち込み、セ氏1000度以上のプロセスで処理することでダイオキシンなどの有害物質の発生を抑制するなど環境対策を日本基準で徹底している。

製造した銀地金や粗銅はユーザーに直接販売する。金地金については自由売買が制限されているため、上海黄金交易所へ納入する。操業開始以来、着実に処理量を増やし、現在は能力のおよそ半分程度を確保している。

現在の課題は、処理量の増大と、作業員の能力アップによる効率化など。従来は上海周辺の日系企業の製造拠点で発生するスクラップが中心だったが、現在は江蘇省の蘇州、無錫、常州などへも範囲を広げている。今後はフル操業に向けて、日系企業に限らず欧米系、中国現地系メーカー工場も対象に顧客の開拓を進める。

現在の回収対象は金、銀、銅のみだが、プラチナやパラジウムなど白金族元素回収のための付帯設備追加も検討しており、将来的にはニッケルやコバルト、インジウムなどレアメタルの回収も視野に入れている。阿部孝・副総経理は「将来的に大きく伸びていく分野。早めに足掛かりを築けたことは大きい」と話す。

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中国でのリサイクル事業への展開を進めるのはメーカーだけではない。中国で資源ビジネスを手掛ける日系商社は「中国現地のリサイクル企業と手を組んで、スクラップを納める、あるいは回収した再生原料を引き取る、リサイクル技術に付加価値を与えていくといったことが必要になってくる」と話す。

経済成長率が鈍化しても、引き続き中国は世界最大規模の巨大市場であり続ける。しかし、変わりゆく巨大市場で収益を確保するために、新たなビジネスの在り方を模索する時期に来ている。

=12/19 日刊産業

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