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ゾンビ企業増殖 強権も通じぬ経済の持病

2016年10月18日 | 社会・経済

人民元の切り下げや上海株の急落が世界の市場を激震させた昨夏と比べ、足元の中国経済は表向き落ち着いている。だがその背後では「またか」と思うような問題の先送り機運が漂う。

「指導であり、命令ではない」。山西省の銀行監督当局トップ、張安順(57)らは9月20日、記者会見で強弁した。同省政府は石炭業界向け短期融資を中期融資に切り替えるよう銀行に促していた。不振企業の資金繰りを支えるためだ。

 「多くの人が気にかけている。中国は改革開放を続けられるのか、と」。9月3日、国家主席の習近平(63)は浙江省杭州で国内外の企業家らを前に、構造改革の遅れに対する懸念を払拭しようと努めていた。

 習は2012年秋に中国共産党トップに就いて以来、景気への配慮か、改革の推進かという2つの課題の板挟みにあってきた。一党支配の体制を守るためには社会不安を招く景気の悪化は容認できず、改革の先送り機運が持病のようにまとわりつく。しかも中国経済は10年をピークに成長が鈍り続ける局面に入った。

 「心配するな。カネはある」。3月、河北省邯鄲。地元金融機関「河北省農村信用社」に現金輸送車が横付けされ、窓口に百元札が山積みされた。住民の周飛(28、仮名)は朝から並び、3万5千元(約54万円)の預金全額を下ろした。「農村信用社がつぶれる」との噂を耳にしていた。

 08年のリーマン・ショック後、中国は4兆元対策で銀行融資を膨らませた。国際決済銀行(BIS)によると、中国の企業債務の国内総生産(GDP)に対する比率は08年9月末の97%から16年3月末には169%まで急上昇した。過大な借金が金融不安の震源だ。

 「破産させるべきは破産させる」。5月、共産党機関紙・人民日報の1面で匿名の「権威人士」は訴えた。習の側近、中央財経指導小組弁公室主任の劉鶴(64)らが書いたとされ、習が改革断行への決意を示したと受け止められた。だがその威光も絶対ではない。

 石炭、鉄鋼など主要産業の不振でマイナス成長に沈む遼寧省。省内の国有鉄鋼大手、東北特殊鋼は10日、破産した。一見すると「権威人士」の主張通りだが、同社は社債の元利を期日通り払えない債務不履行を繰り返し、その数は9回に上った。雇用を守りたい地方政府と救済を期待する銀行のなれ合いの壁は厚い。

 同じ日、北京では国務院(政府)が「債務の株式化」の指針を公表した。企業の借金を株式に替え、利払い負担を軽くするという。だが「権威人士」は「安易に債務を株式化するな」と訴えていた。経済の非効率という病根は残るからだ。

 中国では上場する鉄鋼業の半分が借金まみれで利益の出ない「ゾンビ企業」とする研究もある。市場の規律を無視した安易な企業救済がはびこりはしないか。強権を誇る習も、経済の持病を癒やす処方箋を探しあぐねている。(敬称略)

=10/18 日経web

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