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UACJ、中国銅管製造から撤退

2016年11月08日 | 社会・経済

競争激しく採算改善困難

日系各社、東南アジアに傾斜

UACJが中国の銅管製造子会社の解散を決めた。中国では古河電気工業と日立金属が昨年、共同出資していた銅管製造会社の株式の大半を現地の大手銅管メーカーに譲渡し、同国での銅管製造から事実上撤退している。同国では世界的な銅管の大手メーカーが価格競争でしのぎを削っており、中長期的に見ても日系銅管メーカーが収益事業として継続していくことは難しいとの判断が背景にある。

UACJは2日、連結子会社の日鋁全綜(広州)銅管を解散・生産すると発表した。今月末で操業を停止し、転造機、スプーラー、探傷器などの設備は今後、売却を進める予定。

同社は前身の住友軽金属工業が1995年に設立し、UACJ銅管(本社=愛知県豊川市)の本社工場や現地の銅管メーカーから仕入れた銅管の、エアコン用内面溝付き加工を手掛けてきた。月産規模は数百トンとみられる。

UACJは撤退する理由について、「中国市場における需要環境が厳しいことが想定される」としている。日鋁全綜は15年度決算が赤字で、今期も赤字を見込んでいるという。

中国は世界最大のエアコンの消費国。家庭用と業務用を合わせた中国エアコン需要は2015年に3233万台と、世界需要の4割弱を占める。一方で、同国には年産能力50万トンを誇る世界首位の金龍精密銅管をはじめ数多くの銅管メーカーが存在し、価格競争は厳しい。日系企業の連続押出方式より投資コストが安いと言われるキャスト&ロール方式が主流で、能力拡大の容易さも過当競争を生み出しているとみられる。

昨年4月には古河電工と日立金属が折半出資していた銅管一貫製造子会社の上海日光銅業について、株式の7割強を金龍精密銅管に譲渡。これも稼働率低迷により中国での事業展望が持てなくなったことが理由だ。中国では、今後も銅管生産能力の拡大が見込まれる。

年産能力20万トン台で世界3位グループに位置する浙江海亮は昨年4月、資金難に陥っていたとみられる金龍精密銅管を買収することで合意。しかしこの合意は今年5月に破棄され、9月には浙江海亮が中国3拠点とベトナム、米国で能力増強し、年産能力を60万トンに引き上げると発表した。


浙江海亮と金龍精密銅管の統合案件は、日本の銅管メーカー関係者からは「需要家は複数社からの購買が基本のため、有力な2社が1社になれば我々の入る余地が増えるかもしれない」と歓迎する声が聞かれていた。しかし、浙江海亮が独自で能力を高める方針を打ち出し、こうした期待感も消え去った。

日系銅管各社は最大の需要地である中国での事業展開をあきらめ、増産投資は東南アジアに傾斜配分する。国内銅管大手3社のコベルコマテリアル銅管(本社=東京都新宿区)、UACJ銅管、古河電工は、いずれもタイかマレーシアに工場を有する。

東南アジアで造られるエアコンや空調関連部品は欧州などほかのエリア向けに輸出されるものも多く、部材への機能性要求も比較的高い。中国製の銅管も当然入り込んできてはいるが、現状は日系銅管メーカーが技術力で競争できる市場になっている。

日本国内のエアコン市場は人口減少に伴い今後の拡大が期待しにくい。また、世界的に空調部材を安価で軽いアルミに切り替える動きも広がりつつある。日系銅管メーカーが事業規模を維持、拡大していくためには、省エネ志向や温暖化ガスの排出規制に伴い需要拡大が見込まれる精密・高強度な銅管開発、そして東南アジアでの存在感を高めることが一段と重要になってくる。

=11/7 日刊産業

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