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中国が再び揺さぶる世界の鉄鋼業界

2017年07月12日 | 社会・経済

ドナルド・トランプ米大統領は鉄鋼輸入品に高い関税をかけると息巻いている。ドイツ北部ハンブルクで開かれた20カ国・地域(G20)首脳会議で、欧米の指導者らは鉄鋼業界の雇用を巡る非難の応酬に明け暮れた。

 一方、中国では奇妙な現象が起こっている。国際価格の押し下げに寄与した過剰な鉄鋼生産能力を持つ同国で鉄鋼価格が上昇しているのだ。ただし、同国では他の大部分の国際商品(コモディティー)価格が下押し圧力にさらされ続けている。欧米全体で鉄鋼労働者の苦境が深刻な政治問題として残されているため、こうした傾向が続けば世界市場だけでなく国際政治にも重大な影響を与えかねない。

 過去とは異なり、ここでは足元で鉄鋼価格を押し上げているのが国内で相次ぐ高層ビル建設だけではないことが暗示されている。国内産業の悩みの種で、膨大な債務問題の主因でもある過剰生産能力は「動く標的」だ。現在のように経済が比較的好調な時には常に工場稼働率が上がる。

 しかし、今回はこれで話が終わるわけではなさそうだ。鉄鋼価格が上昇する半面、全体的なインフレは停滞している。中国国家統計局が10日発表した6月の生産者物価指数(PPI)では大半の業種で価格が横ばい、または下落する一方、鉄鋼は上昇率が拡大した。また、今年は鉄筋価格の上昇が特に目立つ。通常、鉄筋は小型の誘導炉を使ってスクラップから生産されるが、この誘導炉こそ、中国当局が今年の主要な抑制ターゲットとしてきたものだ。当局は今年半ばまでに誘導炉を廃止すると宣言した。

 こうした活動が奏功している証拠はいくつかある。住宅在庫の減少が建設活動を下支えしている内陸部の都市では不動産開発業者からの需要が好調だが、中国における鉄鋼製品の生産量は前年よりも減少している。

 供給の減少と適度な需要により、国内鉄鋼セクター全体の1-3月期の粗利益率は2008年以来の高水準に達した。粗利益率は現在まで9カ月連続で8%を上回り、世界金融危機以降では最も好調だ。これが一因となって河鋼や宝山鋼鉄を含む上場製鉄会社株はにぎわい、河鋼は年初来で34%高、宝山鋼鉄は14%高となっている。鉄鉱石とは対照的に、鉄鋼価格は昨年の米大統領選挙後の上昇幅の大半を維持している。

 中国には鉄鋼と石炭の過剰生産能力を「閉鎖」しても、インフレ率が上昇すればそれらの猛烈な復活を許してしまうという、長くて複雑な歴史がある。そして、経済全体で物価上昇圧力が再び強まれば、同じパターンが自然と繰り返されるかもしれない。確かに、一定の進展があったとはいえ、過剰生産能力は深刻なままだ。2000年代前半には粗利益率が10%を超えていたことを考えると、8%という数字は特に素晴らしいわけでもない。

 それでも、何らかの進歩の兆候があれば歓迎される。鉄鋼問題でとことんやり合う世界の指導者を眺めている投資家は、どんなに小さくとも中国で物事が望ましい方向に進んでいる兆しが見られれば、いくらか安心できよう。

=7/11 WSJ

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