こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『道然寺さんの双子探偵』岡崎琢磨

2017-02-21 19:49:15 | 読書感想
福岡県のちょうど真ん中を占める夕筑市の北部に道然寺はある。
今のお寺は檀家が少なく、他の仕事と兼業する僧侶が多いが、幸いにも道然寺はアクセスの良さからか三百軒以上の檀家があり、主人公の僧侶・窪山一海と父の真海は、専業でやっていけている。

ただ、お寺を慈善団体のようにみなす人が多いためか、動物がよく捨てられ、里親探しに奔走するはめになる。
だが、人の子が捨てられていたのは、一海が十六歳の初夏の頃、一度きりだ。
発見者は一海。
双子の男女の赤ん坊が、手紙とともに産着と毛布に包まれて置かれていた。
手紙によると、女の子の名前はラン、男の子はレン。
その年の四月八日に産まれたが、育てられないと書かれていた。

警察に届け出て、マスコミにも知られ、報道もなされたが見つからずじまい。
いよいよ児童福祉施設にあずけるか、という時に、真海が家で育てると言いだしたのだ。

あれから十四年。
レンは性悪説、ランは性善説を取る中学生となった。

葬式で仏の子どもたちの香典だけ行方不明になったり、妊娠しているのに子どもに恵まれないと、前の子の水子供養をした女性がいたりと、次々と不思議な事が起こり、レンとランがそれぞれに推理する。

それぞれに双子が推理した謎は、結局、交互に真相に到達することになるのですが、善悪ではなく、人の心の奥底をどれだけ理解できたのか?ということにかかっているように感じられました。
最終話に至って、レンの心が少しほぐれてきたのかな?と思えるようになったのが、救いでもあります。
また、一海さんは、住み込みで働いているみずきちゃんと、ゆくゆくは 連れそうのではないかと勝手に思っています。すでに、尻に敷かれていますしね。

岡崎さんが福岡出身なだけに、福岡弁が自然で、安心して読めたのも良かったです。
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