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煙の警告

2014-12-28 14:48:27 | 怖い話・心霊体験

まだ結婚する前、実家に住んでいた頃の話。
私は仕事が忙しく、毎日残業が続き自宅マンションに帰宅するのは22時をすぎていました。食事とお風呂をすませ、母とおしゃべりをしたりテレビを見たりして0時頃、ベランダに出てタバコを吸うのが日課でした。目の前の景色は国道と川が交差していて、真っ暗な中まばらに走る車や魚を探す渡り鳥。昼間のドタバタした生活とは正反対の静けさが好きでした。ゆらゆらと漂うタバコの煙は私のもの1つだけではありません。隣から、上から下から2つ3つ、声や物音はせずただ煙がゆらゆらと漂っています。いわゆるホタル族というやつです。どれが誰の煙かは分かりませんが1つだけ。我が家の真上にある最上階の部屋に住む家族は知っているので、上からの煙はご主人のものだと分かりました。


皆さんお疲れさま。心の中で労いの言葉をかけ、タバコを消して自室のベッドに入るのは深夜2時頃でした。


翌朝。ギリギリまで眠ってドタバタと身支度を整え家を飛び出しエレベーターに乗ると、いつもの面々と顔を合わせます。『おはようございます』『おはよう。ゆうべも一服、吹かしていたね』上の部屋のご主人に話しかけられ、『お宅も残業続きですか?』会釈を返しながらこたえると、うんうんとご主人を含む何人かが頷きました。

それは夜中のホタル族。世帯数の多いマンションですが同じようなタイムスケジュールで生活をしているのか、朝夕のエレベーターにはだいたい同じような顔ぶれがそろうものです。『あまり無理をするもんじゃないよ。身体を壊したって、会社は何もしてくれないんだから。』ご主人に諭され、そうですねとこたえつつも相変わらず残業の日々。

そんな生活を続けて3ヶ月がたった頃
いつもの如くベランダでタバコを吸っていた時、心なしか辺りをただよう煙の数が減ったような気がしました。繁忙期を過ぎたからです。世間様はそろそろ年の瀬。お盆も正月も関係なく残業三昧な私には年末が近づくにつれ日々消え行く煙を羨ましく感じました。ただ、真上の部屋からはいつも必ず煙が漂っていました。

年が明けて間もないある日の夜中2時。いつものように自分の部屋に入ると天井から音がしました。

ガタッ…ドタドタッ

若干不愉快ではありましたが真上の部屋はご夫婦と小さなお子さん3人の5人家族。正月休みで子供達が夜更かししているのだろうと気にせず就寝しました。ところが、翌日も、その翌日も。正月休みが過ぎて2月、3月に入っても夜中2時の物音は鳴り続けました。日増しに音は大きくなり、音響で部屋の家具が揺れる程になったのです。一言文句を言おうと思うのですが、やはり繁忙期を過ぎたせいか年明けからエレベーターでご主人に会う事がなくなり機会は来ず。毎晩、ベランダで煙草を吸う時上から漂う煙を睨み付けるのが精一杯でした。

桜の花が咲き始めた3月下旬のある夜。いつにも増して大きな音が鳴り響き…遂に私の我慢は限界をむかえました。

ガタッ…ドタドタッ…ドンドンドンダンダンダン!

『やっっかましいわぁーーっっ!!!』ブチ切れた私は力いっぱい怒鳴り付けました。ピタリと止む音。まったく…いくら子供のいる家庭といえど毎晩毎晩こんな真夜中。非常識にも程がある。明日一言言うてやろう。怒りがさめやらぬまま眠りにつき、翌日。
やはり行きも帰りもエレベーターで出くわす事はなく。
とはいえ、3ヶ月も溜め続けた私の怒りは治まらず。
22時と遅い時間ではありましたが、今日こそはと意気込んだ私は真上の部屋の玄関まで押し掛けチャイムを押しました。しかし返事はなく。さすがに寝てたかしら。冷静になり、少し反省。その夜は自宅に帰り、いつものように就寝。

物音は鳴りませんでした。

翌朝、1階のロビーでマンションの管理人さんに遭遇し、世間話のかたわらなんとなくこの話をした所…

『あそこのお宅のご主人は…今年のお正月に亡くなりましたよ?』

え…?
仕事が忙しくストレスが溜まって鬱になり、自分の部屋で自殺されたのだそうです。奥様とお子さん達は年明け早々に引越しされ真上の部屋には誰もいないとの事。私が怒鳴り付けた一昨日が契約満了日で、そろそろ次の入居者を募集しようか考えていたのだよと話す管理人さん。

ご主人のお部屋は…私の部屋の真上。

身体中から力が抜け、しゃがみこんでしまいました。そのままスマホを取り出し会社に電話。『今日は体調が悪いので休みます。勤務体系について相談したいので、明日お時間頂けますか?』

そして桜が散り、4月。
残業やめました。

身体を壊したって、会社は何もしてくれないんだから。

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