はりぶろぐ

鍼灸師のブログです。東京の国分寺市にて孔和堂鍼灸院を開業しています。
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美の壺『砥部焼』を観て

2017-07-11 23:28:00 | 日記
愛媛では砥部焼という磁器が作られています。
私も小さい頃から親しんでいましたが、高校の時に陶芸を始めてからはより身近な存在となりました。
高校卒業後は砥部焼の窯元に就職、絵付け作業を5年ほどしていました。

先日放送された『美の壺』で砥部焼が取り上げられており、その中でかつて働いていた窯元の作業場や一緒に働いていた方々が映っていて、とても懐かしい気持ちになりました。

中でも特に懐かしかったのは、工藤省治さんです。
青森県出身の工藤さんは、砥部焼の代名詞とも云える「唐草模様」を考案されたすごい方なのですが、気さくなお人柄で、入職仕立ての新人にも温かく屈託なく接してくださいました。
私が担当していた絵付けは「唐草模様」ではなかったので、直接絵付けを教えていただく機会は少なかったのですが、同じ作業部屋で絵付けをされている姿をこっそり見るだけでも嬉しくて、お話できた時はもっと嬉しかったのを覚えています。

番組内で、誰にでも描けるように太い筆でシンプルな模様にされたという説明がありました。
そのおかげで、特に絵付けをきちんと学んでいない人でも、しっかり練習すれば、みなさん描けるようになれました。
でも、工藤さんの描く唐草模様は一味も二味も違いました。ひときわ美しくて、ずっと眺めていたくなるのです。
工藤さんの考案された中で私が1番好きなのは、柘榴文。
薄めの呉須(磁器に絵付けする際に使う藍色の顔料)で描かれた柘榴はなんとも可愛らしく、砥部焼の特徴であるぽってりした器にも合うし、薄く作られた繊細な器にも合います。

初めて工藤さんにお会いした時から20年以上の月日が経ちました。
80歳を超えられてもお元気そうなお姿を拝見できて、良かったです。