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<このミス大賞>がんの誤解を解く 医療ミステリーの狙いは

2017-03-20 14:56:57 | ニュース
毎日新聞 3/20(月) 10:00配信

◇『このミステリーがすごい!』大賞、岩木一麻さんインタビュー

 2016年の第15回『このミステリーがすごい!』大賞(宝島社主催)を受賞した「がん消滅の罠 完全寛解の謎」は、がんをテーマにした本格医療ミステリーだ。治療不可能なはずのがんが完全に消滅するトリックはどのようにして生まれたのか、作品に込めた思いは--。著者の岩木一麻さんに聞いた。

 ◇研究中にトリックを思いつく

 --受賞を聞いた時の感想は。

 勤務先の医療系出版社の仕事を少し早めに切り上げて、自宅で心静かに待っていたら電話がかかってきました。自分では「ひょっとしたら受賞できるかもしれない」と希望を持っていたので、うれしさ半分、ほっとした気持ち半分でした。

   ×   ×   ×

 日本がんセンターの医師、夏目は、肺内に複数の転移が見られる肺がん患者を担当することになった。抗がん剤治療をしても余命は半年程度と考えられ、生命保険会社から「リビングニーズ特約」の生前給付金を受け取った患者は、臨床試験中の新薬による治療を受ける。半年後にはがんが跡形もなく消え、良好な経過をたどっていた。奇跡が起きたのか? だが“奇跡”は立て続けに4例起こっていた。夏目は、友人のがん研究者らとともに、この奇妙な「活人事件」の謎を追う--。

   ×   ×   ×

 --がんをテーマにした理由は。

 国立がん研究センター(東京都)で研究をしていた当時、がん患者さんと接する機会がありました。がんというのは大変な病気なんだと分かる一方で、世の中の人たちはあまりがんのことを知らないとも感じました。研究中に今回の小説のトリックを思いつき、それをミステリー小説にして、がんという病気を物語の核にすると、無理なくがんを知ってもらえるのではないかと思いました。

 ◇社会ががんを受け入れる助けになれば

 --文中に「最近の分子標的薬の中にはがんのタイプさえ合っていれば,良く効くものが多くある」というセリフが出てきます。

 薬剤の進歩は著しく、がんの患者さんでも長い間、社会生活を普通に送れるようになっています。しかしまだまだ働ける人が、本人の意思にかかわらず、仕事を続けられない風潮がいまだにあります。がん治療が変わっていることを多くの人が知れば、そんなことにはならないのではないでしょうか。社会全体ががんを受け入れる助けになればと、治療の進歩の記述は力を入れました。

 --『このミス!』大賞への応募は、海堂尊さん(「チーム・バチスタの栄光」で第4回大賞を受賞)という先達がいたからでしょうか。海堂さんは受賞作で死亡時画像病理診断(Ai)という概念を広く知らしめました。

 おっしゃるとおりで、私は海堂先生の姿勢に感銘を受けていました。ただ、海堂先生はAiの第一人者ですが、私は研究をして論文も書いたもののがんの専門家ではありません。でも全然知らない人とがん専門家の間ぐらいの立場なので、ちょうどいい「さじ加減」が分かる。だから、一般の人にも読みやすいと言っていただけるのではないかと思います。

 ◇ミステリーと研究の共通点は「謎解き」

 --現在のお勤め先でのお仕事は。

 海外の論文、特許情報、製薬会社のリリースなどを集めて、情報としてまとめる仕事です。毎日必ずというほど「これ、小説に使えるな」「小説で伝えたい」という情報があります。

 神戸大学大学院で昆虫の研究をしていたのですが、モンシロチョウから見つかった抗がんタンパク質の研究ができる人をがんセンターが探していたのに応募し、キャリアが昆虫からがんに移りました。3年いて、放射線医学研究所(千葉市)に移り、ラットやマウスを使ってがん予防や発がん因子に関する研究をしていました。その後、昔から情報に携わる仕事をしたいと思っていたので、今の会社に移りました。

 --これまでに小説を書いたことは。

 前々回(14年)の1次選考を通った作品が、生まれて初めて書いた小説です。ミステリーも研究も「謎解き」という共通点があります。ミステリーを書く時は自分に謎かけをしますが、研究は自然そのものが謎を提示し、それを解く。今回の作品の中で、話が二転三転するんですが、これは研究のプロセスと同じです。研究のおもしろさも伝えられたら、と意識して書いたつもりです。

 --次回作は。

 「感染症とバイオテロの話」ということになっていますが、バイオテロの話ってこれまでにもたくさんあるので、毛色の違う話にしていこうと思っています。
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