flow Trip -archive-

「漂い紀行 振り返り版」…私の過去の踏査ノートから… 言い伝えに秘められた歴史を訪ねて

尾瀬 富士見峠越え

2013-10-23 00:00:10 | 水のほとり

(群馬県利根郡片品村 日光国立公園 特別天然記念物 2004年8月14日)

勾配
 竜宮から新道を上っているとき、一人の登山者が休んでいた。その登山者曰く、急な山道なので休みながら行かなきゃ無理!…と言っていた。確かにえらい。今回私は"修験者の様"と言われる様に颯爽と駆け歩いていたのだが、ここではかなりのslow down 長沢沿いに上っていくと、眼下の眺めは次第に良くなるが、峠は未だか未だかの気持ちであった。尾根上となり些か緩やかなになっていた。然しその頃には霧雨に見舞われ、予報通りの状況となりつつあった。そしてようやく、標高1905mの峠へと差し掛かったのである。峠には池があり、標高が高いのを忘れさせる。
    

小屋から 
 少し下ったところに山小屋がある。ここで暫しの休み。入ると、お茶と牛蒡の煮付けを出された。この小屋の習わしらしい。屋内は電気も辛うじてあるが、メインはランプ、そして薪ストーブがあった。
 小屋を後にし、富士見下へ。下り始めてすぐに飲料水と書かれた清水があった。触れてみると氷水の様であった。雪溶け浸透水が出ているのである。先程からの霧雨は噴霧状となり、疲れの出始めた体には心地良い。500m下った辺りから雨も止み、時折晴れ間も見せる様になっていた。富士見下を更に下る。

     

極楽後油断 
 富士見下を過ぎると、野花が多くなる。そして蝶々が乱舞する。やがて早朝降り立った南麓の戸倉に戻った。ここは温泉地でもある。小さな宿が十軒程あり、各々内湯を持っている。そのうちの片品川を見下ろすことのできる湯に浸った。 行程が早く経過してしまったため時間がやや余ってしまった。そこで谷下の川面に触れようと崖を下りた。然しダム工事中の土砂の上を歩いたため崩れてしまい、諸共滑り落ちてしまった。幸い「休日」は反射神経が○であるため、服を汚しただけで済んだ。 山の難所でも平気であるのに…。



山女登場 
 大人しくバスを待とうと夕刻間近の停留所に佇んでいた。暫くすると、単独の登山女性が話しかけてきた。この人は確か夜行のバスに乗車していた人だと思った。「時間が余りますねぇ」見るからに健脚そうで、この人も早く動き過ぎたのかと何処へ行ったのか聞くと「至仏山へ登ってきました」最初の峠から私は北に、この人は西に向かったわけである。この山は標高2200mを越える風光明眉な山である。「この辺は今迄に殆んど見て歩いてしまったので、ここしか残ってなかったのです…」 …この人は山女かもしれない…。

正体
  「私は今迄、日本百名山のうち、八十は登ったわね。この前は屋久島に行ったわ。それと北アの雪山登山も好き。次の日が仕事でも登ってしまうわ」 …完全に山女確定である。こんな大自然に浸りっ放しの女性であるが、東京池袋在住の都会人。感服致しました…に尽きる…。私とは若干次元が違う。私は雰囲気で漂う遊行人。 然しまた何れこの地に訪れてもいいかな? …とTDR自然版リピーターの気持ちが分かった様な気がした。

 そしてこの「片品」の地を離れる時がきた。


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