・「紅輪たんぽぽ」のことを「絵筆草」ともいう。
「紅輪たんぽぽ」と言われると、その全身に黒い毛を生やした毒々しい花を思い出すが、
「絵筆草」というと、何となくかわいらしい草花を思い描くことであろう。
「角川俳句大歳時記」で「蒲公英」の傍題として「紅輪たんぽぽ」とは出ているが、
「絵筆草」ではまだ収録されていない。そのほか、「講談社日本大歳時記」「講談社新日本大歳時記愛蔵版」その他の歳時記にも
「蒲公英(たんぽぽ)」はあるが「紅輪たんぽぽ」「絵筆草」は少ない。
「蒲公英」は中国の描き方を日本でもそのまま借りて「たんぽぽ」と読ませているが、
中国読みでは「pu/gong/ying//プーゴンイン」とよんでいる。
なお、中国では牡丹の花や芍薬の花や菊の花は見ることは出来るが、蒲公英の花を見ることは非常に難しく貴重である。
それは、蒲公英の芽が1cmほども伸びると、奥さん方が総出でたんぽぽの若芽を摘み、茹でてピーナツ和えや、
炒めて食べてしまうからである。春の摘み草で蒲公英には花を咲かせたくても咲かせることが出来ないのだ。
黄色い蒲公英に話が流れたが、中国では「紅輪たんぽぽ」を見ることは出来なかった。
・・絵心の無きことかなし絵筆草
・・毛深きは紅林たんぽぽ父似ゆゑ
・・母無くばいつも母描き絵筆草
・・野にあれば紅林たんぽぽ華やげり
・・絵筆草紅蓮の日輪描く子等
・・絵筆草鴉歩むめる車庫の屋根