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核兵器禁止条約ってなに?~被爆国なのに、なんで日本は決議案に反対したの!

2016-10-31 00:23:46 | 核爆弾 広島長崎

http://sealdspost.com/archives/4953より転載

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NEWS

国連で核兵器禁止条約交渉会議が始まるかも?①何が起こっているのか

文: 林田光弘

10月27日(日本時間の28日)、核兵器を法的に禁止する初めての条約の制定を目指す決議案が国連総会の委員会で採決にかけられ、123か国の賛成多数で採択されました。

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しかし、日本はこの決議案に「反対」票を投じました。

これは、どういうことなのでしょう?「核兵器」というワードを聞いた時に皆さんはどんなことをイメージしますか。約71年前の広島・長崎の記憶、北朝鮮の核実験、などなど・・・。日本は世界で唯一の戦争被爆国ですが、今置かれた状況をよく分からない人も多いのではないでしょうか。

というわけで、今回はこの決議について、ざっくりとした解説を行ってみようと思います。

なんで日本は「反対」しているの?
今回、日本が反対に票を投じたということは、一体どういうことなのでしょうか。このことについて、とりあえず2つに分けて、考えてみたいと思います。

①核の傘の下にある唯一の被爆国

今、日本がとっている立場を簡単に表すなら、こうなります。

“核兵器は絶対に廃絶しなければならない。唯一の被爆国として、日本はリーダーシップをもって取り組んでいく。日本の役割は、核保有国と非核兵器国の橋渡し。でも、私たちはアメリカの核の傘に入っているので、核兵器を非人道的な兵器だとは言えないし、核兵器禁止条約も反対する。”

*「核の傘」というのはようするに、アメリカの核兵器に守ってもらっている状況にある、という認識のことです。

「でも」以下が不思議な感じですね。その前までなら分かりやすい話です。つまり、唯一の被爆国として、日本は核兵器に反対するし、そのためにがんばる、ということです。

だけど、アメリカの核の傘の下にあるから、核兵器禁止条約に反対するということです。これは完全に矛盾した話です。だって、核兵器を禁止するルールに、「核兵器は絶対にダメだ! 我々は当事者だからこそ」と言っているその国が反対するわけですから。

これまでの日本の立場は、言ってしまえば「二枚舌」的でした。つまり、核兵器反対を唱えつつ、実質的にはアメリカの核の傘にいる。しかし今回は明確にアメリカの側についたということになります。

②「反対」という立場にたつこと

そう、この点が重要なんです。つまり「反対」としたことで、日本は「橋渡し」どころか、明確に核保有国側に立場を置いてしまったのです。

今回の採決では、核兵器国と非核兵器国の対立関係が、これまで以上にはっきりしました。反対に票を投じた国を見ると、核兵器国とその同盟国が反対しています。


*NPTについては次のページで解説します。

アメリカを中心とした核保有国は、「段階的に核兵器廃絶を目指すべきで、核兵器禁止条約は今日までの段階的な廃絶の努力を無駄にするものだ」と主張しています。これに対して、オーストリアをはじめとした非核兵器国は、「ここ20年間まるで進歩していないではないか」と批判します。

もともと、日本が今回「賛成」に入れることへの期待は低かったといえます。とくにアメリカは、ここ最近、核兵器禁止条約の議論に対して緊張感を持っており、直前にNATO諸国に反対に投じるよう文章も送っていました。日本の「賛成」は、政治的に難しいだろうと思われていたのです。

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しかし同時に、唯一の被爆国の日本が「棄権」ではなく「反対」を投じることは、多くの人が予想していませんでした。「棄権」ならまだ中立っぽい立ち位置になれるのに、明確に立場を示す「反対」に入れたのです。

これを受けて被爆者のみならず、世界中の指導者やNGOが驚きと失望の声が出ています。核兵器の「非人道性」が注目されている今、核兵器がどれだけ恐ろしい兵器なのかを被爆者の体験から知る日本こそリーダーシップをもって「人道的アプローチ」を進めていくべきだというのが被爆者やNGOの願いです。

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まとめ-核兵器禁止条約は可能なのか

あらためて、今回採択されたのは

“まずは国連の場で話し合いの場を持ちましょう”

という提案です。日本は反対しましたが、提案は賛成多数、これから核兵器禁止条約に向けた議論が本格的に始まります。

今、私たちは何をすればいいのでしょうか? まずやるべきことは、被爆者の声に耳を傾けることです

被爆者の多くは家族を失い、怪我や放射線による病気に苦しみながらも声をあげています。また、語ることはあの悲惨な光景を思い出すことを意味するため被爆者の精神的苦痛を考えると、話をすることそのものが辛いことであることを私たちは理解するべきです。

何より、被爆者の平均年齢は80歳を超えています。遠からず、私たちが被爆者の声を聞くことはできなくなってしまいます。今、被爆者の語りに耳を傾け、真摯に受け止め、深く考え、核のない世界に向けた責任を、私たち若い世代が継承していかなければならないはずです。

核保有国が核兵器禁止条約に反対する理由も、国際政治の視点から当然考えなければなりません。ただ、まずは被爆者の声に耳を傾け、話し合いのスタートラインをその犠牲の上にしなければなりません。「抑止」の議論の前にやるべきは核兵器がもたらす脅威の大きさを想像することです。

日本はその声を世界に訴えていって欲しい。その行動は必ず世界から支持されるはずです。

 

Bonus track: そもそも、核兵器禁止条約って?

ここから先は、もうちょっと細かい説明で、核兵器禁止条約に至るまでの経緯を、ざっくりと書いていきます。

まず今回、国連で採決された決議案は

“「核兵器を法的に禁止するための条約(通称、核兵器禁止条約)」の制定を目指すために国連で話し合いの場を設けるかどうか”

を決めるためのものでした。

ようするに、条約を採択”ではなくて“話し合いの場を設けるかどうかを採択したということです。なんか随分とまどろっこしい気もしますが、実はこの段階に来るまでもこれまで紆余曲折がありました。

ちょっとした基礎知識

核兵器の恐ろしさについては、知っている人が多いでしょう。日本では義務教育で必ず習いますし、修学旅行で広島・長崎に行ったり、『はだしのゲン』を読んだりしたことがある人もいると思います。

そんな核兵器ですが、実は、国際法で禁止されていない唯一の大量破壊兵器なのです。核兵器は大量破壊兵器の中で最悪のものと言わていて、この大量破壊兵器は国際人道法によって規制をうけています。

*大量破壊兵器とはその殺傷力、もたらす被害の大きさ、無差別さから他の兵器(通常兵器)と区別するために呼ばれている兵器を指し、他には生物兵器や化学兵器があります。特定の兵器や戦争の手段を条約で禁止することは、国際人道法と呼ばれる法体系に含まれています。武力行使の時の、「やっていいこと」と「やってはいけないこと」の区別の基準です。「やってはいけないこと」と言われる兵器は非人道兵器と呼ばれ、大量破壊兵器の他に、対人地雷やクラスター爆弾があります。

実は、核兵器を除く多くの非人道兵器が、すでに国際法で禁止されています。それでは、なぜ非人道的で、最悪の大量破壊兵器たる核兵器はいまだに禁止されていないのでしょうか?

NPTってなんだろう

現在、核兵器を保有している国は、9つもあります。

でも、核保有国が増えるのはやはり大変なことです。そして、これ以上核保有国の拡散を防ぐために作られたのが、核不拡散条約(NPT)です。

NPTはそれ以外の国を非核保有国と定めました。

NPTは、この5カ国を核保有国として公認したうえで、核軍縮を「誠実に交渉する」義務を負わせ、また非核保有国には保有しないことを定めるものです。したがって、イスラエル・インド・パキスタン・北朝鮮の4カ国は、保有が認められていない核保有国となります。

しかし、核保有国はこれまで核軍縮に「誠実に交渉」してきたとは言えないのが現状でした。4カ国は「5カ国にだけ保有が認められているこの体制は不平等だ」と主張し、この4カ国は実際にNPT体制に参加していません。

NPTは5年おきに会議の場を設けてきましたが、不平等とも言われる体制のもと、核軍縮はなかなか前進しませんでした。

核兵器禁止条約へ

しかし、その流れが大きく転換したのが、2010年4月の赤十字国際委員会の総裁声明でした。

この声明の最大の注目ポイントは、「核兵器の非人道性」に着目したことでした。この視点によって、「核兵器のない世界を達成し維持するための枠組み」と、「核兵器禁止条約」の提案が、「留意」されることになったのです。言い換えれば、今のままではいけないし、核兵器禁止条約はいつか定めるべきだということを各国が認識したのです。

こうして、非核兵器保有国を中心に、「核兵器禁止条約」が国際社会のなかで議論されるようになりました。スイスを中心に核兵器の「非人道性」に関する共同声明が打ち出されました。その流れに並行してノルウェーを中心に核兵器の「人道上の影響」に関する国際会議が行われるようになりました。

で、日本は何をしているの?というのがポイントです。日本はこの流れでどのような立場なのか、気になりますよね。なにせ唯一の戦争被爆国ですし、核軍縮/廃絶をめぐる議論のなかで、日本の位置は重要なものになるはずです。

しかし日本は、基本的には「核兵器の非人道性」を認めていません。アメリカの「核の傘」(アメリカの核兵器の「抑止」によって守られた状態)に入っているので、非人道性を認めるわけにはいかない、というのが日本政府の態度です。

まとめると、こういうことです。核兵器が落とされてから71年、核兵器の数も核保有国も多くなってしまいました。その一方で、近年、「核兵器の非人道性」が国際社会で認識されるようになり、実際に核兵器をなんとかしなくてはならない、という流れが強まりました。核兵器禁止条約はこの流れの上にあるものです。

そして日本はというと「核の傘」の下にあるから、そもそも「核兵器の非人道性」を認めていない、ということです。

今回の一連の解説のために以下を参考にしました。
特に川崎さんの『核兵器を禁止する』は安価に手に入り読みやすいのでオススメです。

 

核兵器を禁止する (岩波ブックレット) 川崎 哲 (著)

  

 

長崎大学 核兵器廃絶研究センター(RECNA)

www.recna.nagasaki-u.ac.jp/
長崎大学核兵器廃絶研究センターRECNA)は世界でも前例のない核兵器廃絶問題の公的な教育研究拠点です。国内外の核兵器情報を蓄積した『市民データベース』を構築し、さまざまな情報を発信しています。

 

 

 
 

 

 

 

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